じじぃの「科学・地球_492_温度から見た宇宙・生命・超新星爆発」

遥か未来…ベテルギウス超新星爆発は150万年も後である可能性が浮上

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=itbr_OyZJfw

当分お預け…ベテルギウス超新星爆発は150万年後と判明!?

2022/9/17 クリエイターズプログラム
●大減光で騒がれたベテルギウス
ベテルギウスが減光しただけでなぜここまで騒がれるのかというと、ベテルギウス超新星爆発という宇宙の中でも最大級のエネルギーを放つ現象を起こし、世紀の天体ショーを見せてくれるかもしれないと期待されている天体だからです。
https://creators.yahoo.co.jp/uchuyabaichkyabechi/0100308745

『温度から見た宇宙・物質・生命――ビッグバンから絶対零度の世界まで』

ジノ・セグレ/著、桜井邦朋/訳 ブルーバックス 2004年発行

第5章 太陽からのメッセージ より

星の誕生

地球の中心温度は数千Kである。太陽のような中規模以下の星の中心核は、数百万Kほどの温度である。例えば、質量が太陽の25倍もある大きな星では、中心温度が数十億Kにも達する。そこでは、どんなことが起こるのだろうか。この大きな星は、一体どんな種類のニュートリノを放射するのだろうか。どうすれば、そうした星の中心核の温度を測れるだろうか。ここで、星の誕生と死を示すいくつかの歴史的記録を見てみよう。

アリストテレスの教義にしたがえば、星は死にも生まれもしない。こうした見方は、16世紀のヨーロッパでもまだ通用していた。望遠鏡発明以前の大天文学者であるティコ・ブラーエは、1572年11月11日の夕方、夕食後の散歩にでかけた。慣れ親しんだ夜空を見上げながら彼は、アリストテレスの言明に反して、新しい星が出現しているのに気がついた。見間違いなどではなかった。彼はこのことについて、後に次のように語っている。
  びっくりし我を忘れて、この星を一心に長い時間見つめていた、その星は、古代人がカシオペアになぞらえた星々の近くにあったが、こんな星は以前にはそこには輝いていなかったのだ。私は、信じられないことで心乱され、自分の目を疑い始めた。

ティコは、現在私たちが「超新星」と呼ぶ、天空に新しく出現する存在を見たのである。ティコは知らなかったのだが、こうした現象を見たのは彼が初めてではなかった。

中国と日本の天文学者たちは、1054年7月4日、かに星雲中に新しく明るい星が出現したのを記録している。

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未来の太陽の終局段階では、中心核にある水素が消費されてしまい、最高温度に達すると、上層部にある水素が燃焼するようになる。太陽はふくらみ、雲状になって温度を下げ、色が黄色から赤へと変わっていく。また表面温度は5800Kから3500Kへと下がる。太陽は赤色巨星となり、熱くて広がったガス雲は、現在の火星軌道にまで広がっていく。
すべての熱源が消費され尽くすと、太陽は冷えながら収縮し始める。その時までに地球は消え、この熱い雲に飲みこまれて蒸発してしまっている、もしかしたら、ほぼ100億年前に地球にまで成長することになった岩石塊の痕跡を、あとに残しているかもしれない。普通の星であった太陽は、後に赤色巨星を経過したあと、収縮していく。ついには潰れた白色矮星となって、忘却の彼方に消えていくことになる。
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1940年に、ジョージ・ガモフとブラジルの物理学者、マリオ・シェーンベルグが、収縮していく星の中心核の冷却メカニズムとして、ニュートリノのバーストを考慮した最初の論文を書いた。期待に違わぬユーモアをこめて、ガモフはこの過程を、リオ・デ・ジャネイロにあるウルカというカジノに因んで、ウルカ過程と呼んだ。ここでは、賭けをする人たちのポケットから、お金がどんどん流れ出ていくからであった。
この種の星の爆発は、50億年の間に1億回以上は起こるので、中国の天文学者、ティコ・ブラーエ、ケプラー、それからガリレオが見たように、数百年に1回は、肉眼でこのような星が見えると予想される。しかし、爆発する星の中心核からのニュートリノを観測し、星の中心核温度を決定することは、極めて難しいのである。