じじぃの「ルーウィン教授の感動講義・重力によって崩壊し最後を迎える星・ブラックホール・これが物理学だ」

[IFSV2012]ブラックホール 動画 YouTube
http://www.youtube.com/watch?v=qXkxx1EnoAU
Cosmic Journeys : The Largest Black Holes in the Universe 動画 YouTube
http://www.youtube.com/watch?v=xp-8HysWkxw
ブラックホール ウィキペディアWikipedia)より
ブラックホール (black hole) とは、極めて高密度かつ大質量で、強い重力のために物質だけでなく光さえ脱出することができない天体である。名称は、アメリカの物理学者ジョン・ホイーラーが1967年に命名した。それ以前は、崩壊した星を意味する“collapsar” (コラプサー) などと呼ばれていた。
【想定される誕生】
質量が太陽程度から太陽の数倍までの星の場合には、主系列星の後に赤色巨星の段階を経て、白色矮星となり次第に冷却して一生を終える。星が若い間は、水素の原子核が互いに結合してヘリウムが生まれる。この時のエネルギーによって星は自らの大きさを支えている。
質量が太陽の約30倍以上ある星の場合には、自己重力が中性子の核の縮退圧を凌駕 (重力の強さで中性子が潰れ始める) するため、超新星爆発の後も核が収縮 (重力崩壊) を続ける。この段階になると星の収縮を押し留めるものは何も無いため永久に縮み続ける。こうしてシュバルツシルト面より小さく収縮した天体がブラックホールである。

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『これが物理学だ!マサチューセッツ工科大学「感動」講義』 ウォルター・ルーウィン著、東江一紀訳 文藝春秋 2012年発行
中性子星からブラックホール (一部抜粋しています)
星の終焉の迎えかたとして、最も派手なのは重力崩壊型超新星であり、それは宇宙で最もエネルギーに満ちた現象と言えるだろう。これについて詳しく述べていきたい。大質量恒星の原子炉の勢いがしだいに衰え(永遠になくならない燃料はない!)恒星の生み出す圧力が弱まってくると、残った自己質量からの永続的で執拗な引力が、その圧力を凌駕する。
この燃料の尽きる過程は、実際にはかなり複雑なのだが、非常に興味深くもある。大半の恒星と同様に、大質量の恒星も、まず水素を燃やしてヘリウムを生成するところから始まる。恒星のエネルギー源は核エネルギーであり、それは核分裂ではなく、次のような核融合で得られる。超高温状態で4個の水素原子核(陽子)が融合してヘリウム原子核になり、熱が発生する。恒星が水素を使い果たすと、そのコアは(重力の作用により)収縮し、その結果、温度が上昇し、ヘリウムが融合して炭素が生成される。太陽のおよそ10倍以上の質量を持つ恒星の場合、炭素を燃焼したあとは、酸素の燃焼、ネオンの燃焼、珪素の燃焼が起こり、最終的には鉄のコアが形成される。
燃焼の各サイクルを終えてコアが収縮するたびに、温度が上昇して次のサイクルが始まる。それぞれのサイクルでは、その前のサイクルより生じるエネルギーが減少し、時間も短くなる。たとえば(恒星の正確な質量によるのだが)水素燃焼サイクルは、温度が約3500万ケルビンで1000万年続くが、最後の珪素燃焼サイクルは、温度約30億ケルビンでわずか数日しか続かないのだ! 恒星は各サイクルにおいて、その前のサイクルの生成物をほとんど燃やしてしまう。リサイクルとはまさにこのことだろう!
この一連の流れの最後には、珪素融合により鉄が生じる。鉄は周期表の元素の中でいちばん安定した原子核を有する。鉄を融合してさらに重い原子核を形成しようとすると、エネルギーが生み出されるどころか、むしろエネルギーを必要とするので、恒星のエネルギー生産炉はこの段階で稼働しなくなる。恒星が次々と鉄を生み出すのにつれて、鉄のコアは急速に成長する。
この鉄のコアがおよそ太陽質量の1.4倍に達すると、チャンドラセカール限界(偉大な天文物理学者チャンドラセカールにちなんで名付けられた)という不思議な限界に達する。この時点でコアの圧力は、重力による強大な圧力にそれ以上抗(あらが)うことができず、コアはみずからの中心に向かって崩壊し、外に向かって超新星爆発を引き起こす。
かっては堅固さを誇った城塞が大軍に包囲され、外壁が崩れ落ちるさまを思い描いてほしい(映画『ロード・オブ・ザ・リング』、際限なく現れるオーク軍により城壁が破られる戦闘シーンのような)、コアはほんの数ミリ秒のうちに崩壊し、光速のほぼ4分の1という、とてつもないスピードで内側に落ちていった物質によって内部の温度は1000億ケルビンという想像を絶する高温まで上昇する。これは太陽のコアのおよそ1万倍の温度だ。
単独星が太陽の質量のおよそ25倍以下(かつ太陽の質量のおよそ10倍以上)だった場合、この崩壊により、まったく新しい物体が恒星の中心に創り出される。それが中性子星だ。太陽質量の8倍から10倍ほどの単独星も、最終的には中性子星になるのだが、コアの核反応の進行は前述したシナリオとは異なる。
崩壊を起こしている高密度なコアでは、電子と陽子が結合する。個々の電子の負電荷が陽子の正電荷を相殺し、両者が結びついて中性子ニュートリノが生み出される。もはや個々の原子核は存在しない。いわゆる中性子縮退物質(満を持して登場した興味津々の名前だ!)となって消滅してしまったからだ。中性子縮退圧――重力と拮抗する圧力を表わすこの用語はわたしのお気に入りだ。やがて中性子星になるはずのこの物質が、太陽質量のおよそ3倍以上に成長した場合、つまり単独星(である超新星爆発前の元の恒星)の質量が太陽質量のおよそ25倍以上である場合、重力は中性子縮退圧さえ凌駕する。次に何が起こるだろうか? さあ、当ててみよう。
ご明察。答えは、ブラックホール以外にはありえない。物質がもはや人知のおよぶ形態では存在しえないところ、接近すれば、強力な重力に捕らわれて、放射線がまったく抜け出せなくなるところ、光も、X線も、ガンマ線も、ニュートリノも、ありとあらゆるものが抜け出せなくなるところだ。連星系の進化は、単独星とは大きく異なる。連星系を構成する大質量恒星の外層が初期の段階でははぎ取られ、コアの質量が単独星ほどには大きくならない可能性があるからだ。その場合、もともと太陽質量の40倍以上もある恒星でさえ、中性子星のままとどまることもある。
元の星が中性子星になるかブラックホールになるかを分ける境界線がいまだ定かではないということは、声を大にして言っておきたい。それは単恒星の質量以外にも、多くの変数が絡むからだ。例えば恒星の自転もだいじな要素になる。
しかし、ブラックホールは確かに存在する――熱に浮かされた科学者やSF作家の創作ではない――し、たまらない魅力をたたえている。X線宇宙と深い関わりがあるので、のちほど必ず取り上げるつもりだ。今はとりあえず、これだけ言っておこう。ブラックホールは存在するだけではなく、この宇宙において、適度な質量を持つあらゆる銀河の中心核を形成している可能性がある。

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どうでもいい、じじぃの日記。
ウォルター・ルーウィン著 『これが物理学だ!マサチューセッツ工科大学「感動」講義』を見ていたら、「中性子星からブラックホールへ」が出てきた。
「しかし、ブラックホールは確かに存在する――熱に浮かされた科学者やSF作家の創作ではない――し、たまらない魅力をたたえている」
こういうのを、状況証拠というのだろうか。ブラックホールを見た人は誰もいないのだ。
ブラックホールはたまらない魅力をたたえている。
う〜ん。もう少し、勉強してみるか。