じじぃの「科学夜話・虚数・平方根・奇妙な数 i!すごい数学」

【高校数学】虚数単位iの平方根を調べる。【平方根

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=mLtmpMKpjE0

笑わない数学 #6 虚数

NHK オンデマンド
虚数、いかがでしたか?
私はこの番組を制作しながら、虚数に悩まされた高校時代を思い出しました。「2乗してマイナスになる数」と言われても全然ピンとこなかったり、たとえピンときても、「なんのために虚数を知らなければならないんだろう?」とモヤモヤしたり…。でも、虚数の偉大さに気付いた今、虚数に謝りたいと思います。ごめんなさい!もっと、ちゃんと勉強しておけば良かったよ!と。
https://www.nhk.jp/p/ts/Y5R676NK92/blog/bl/pmg0p5PX8L/bp/p8za7ZwM4r/

『世界を支えるすごい数学――CGから気候変動まで』

イアン・スチュアート/著、水谷淳/訳 河出書房新社 2022年発行

6章 数平面 より

想像上の数

歴史上、新たな種類の数が提案されるたびに当初はたいてい反発が起こった。その後、役に立つことがはっきりしてきて使い方が確立すると、人々はその数体系に夢中になった。そして同じ世代のうちに反発はほぼ完全に収まった。何かを使いつづけながら育ったら、それは完全に自然に見えてくるものだ。哲学者は0が数であるかをめぐって論じあったし、いまでもそうだが、ふつうの人は必要に応じて0を使うようになったし、0が何であるなんて考えなくなった。数学者ですら、ときに罪悪感を覚えながらもそうするようになった。用語が決まれば片がついてしまうものだ。新たな数にも、負の数や無理数という用語が与えられた。
しかし数学者にとってすら、いくつかの新たな概念は何百年も続く頭痛の種だった。実際に厄介事を引き起こしたのは、いわゆる”虚数”の導入である。この呼び名(歴史的理由からいまでも使われている)だけを見ても混乱ぶりはうかがい知れるし、このような数がなぜか不評だったことも感じ取れる。その根底にはまたも平方根の問題が横たわっていた。
無限小数が含まれるように数体系を拡張したことで、すべての正の数が平方根を持つようになった。実際には平方根は2つあって、1つは正、もう1つは負である。たとえば25の平方根は+5と-5の2つある。この興味深い事実が成り立つのは、「マイナス掛けるマイナスはプラス」という規則があるためだ。多くの人は初めてこの規則を聞くと戸惑ってしまうもので、中にはどうしても受け入れない人もいる。しかしこの規則も、負の数が正の数と同じ算術規則に従わなければならないという原則から直接導き出される。理にかなっているように思えるが、そうすると負の数には平方根がないことになってしまう。たとえば-25は平方根を持たないことになる。親戚でもある+25は2つも持っているのだから不公平ではないか? そこで数学者は、負の数も平方根を持つような新たな数体系に思いを巡らせた。また、拡張されたその数体系でも算術や代数学の通常の規則が成り立つものと暗黙のうちに仮定した。すると1つのまったく新しい数が必要であることが明らかとなってきた。マイナス1の平方根である。この新奇な数にはiという記号が与えられ、いまでもそれが使われている(ただし電気工学ではjが使われる)。その鍵となる性質は、
   
  i2 = -1
   
である。
こうして公平性が確保され、正負を問わずすべての数が平方根を2つ持つようになった。ただし0は-0=+0なので例外だが、そもそも0は例外的存在なので誰も気にしない。
負の数も意味のある形で平方根を持つのではないかという考え方は、古代ギリシャの数学者で工学者のアレクサンドリアのヘロンにさかのぼるが、この考え方を理屈づける第一歩はその1500年後にルネサンスのさなかのイタリアで踏み出された。ジェロラモ・カルダーノが1545年の著作『アルス・マグナ(大いなる術)』(史上初の代数学の教科書の1つ)の中でその可能性に言及しながらも、的外れだと取り下げた。ブレークスルーが訪れたのは1572年。イタリア人代数学者のラファエル・ボンベリが、マイナス1の平方根という仮想的な数を使って計算をおこなうための規則を書き下した上で、3次方程式の解の公式において、実数ではありえない2つの”数”を足し合わせると実数解が得られることを発見した。ありえない数が都合良く打ち消し合って、正しい答え、実際の答えが出てくるのだ。その解は直接チェックできたし、しかも正しかったため、この大胆不敵な秘儀に数学者は真剣なまなざしを向けるようになった。
抵抗感を和らげるためにこの新たな数は、実際の物体の測定に使える従来の”実数(実際の数)”に対して”虚数(想像上の数)”と呼ばれるようになった。この命名によって実数には不相応の特別な地位が与えられ、1つの数学的概念にすぎないものが標準であると誤解されるようになってしまう。のちほど述べるとおり虚数も完全に合理的に利用したり解釈したりできるが、長さや質量といった一般的な物理量を表すものではない。ボンベリは、虚数は確かに忌々しい存在かもしれないが、それを使えば正真正銘の実際の問題を解けることを初めて実証した人物と言える。それはまるで、実在すらしない奇妙な大工道具をどうにかして手に取って、完全にふつうの椅子を作り上げたようなものだ。もちろん虚数という道具は概念的なものだが、それでもその使い方は不可解であった。さらに不可解だったのが、それで実際にうまくいくことだった。

虚数はまるで魔法のように役に立ちつづけ、適用範囲をどんどん広げていった。18世紀に入ると数学者はその新たな数を自在に操れるようになっていった。そして1777年にオイラーが、マイナス1の平方根を表す標準的な記号iを導入した。さらに実数と虚数が組み合わさって、複素数と呼ばれる美しくて矛盾のない数体系が生まれた(「複素」とは「複数の要素から構成されている」という意味である)。代数学的に見ると複素数は、aとbを実数としてa+biという形をしている。複素数の体系から外れることなしに加減乗除をおこなったり、平方根や立方根を取ったりできる。
しかし大きな難点は、少なくとも当時誰もが考えていたような現実世界では複素数をどうしても解釈できないことだった。たとえば3+2iという測定値が何なのか定かではない。複素数の正当数をめぐって哲学めいた議論が燃え上がったが、やがて数学者が複素数を使って数理物理学の問題を解く方法を発見する。その答えをほかの方法でチェックするとつねに正しそうだったため、論争は棚上げにされてこの新しい強力な手法はこぞって利用されるようになった。

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どうでもいい、じじぃの日記。

虚数とは何か

実数・・・1、3、-7
虚数・・・i、5i、-4i
複素数・・3-i、-7+5i

代表的なのが虚数単位「i」で
  i x i = -1
となります。

複素数は、普段使っている1や3といった実数とiや5iといった虚数を組み合わせたものです。

虚数(想像上の数)が存在すると、計算に使うと便利なのです。