じじぃの「歴史・思想_113_数学の天才・先駆者・ガウス」

The Amazing Heptadecagon (17-gon) - Numberphile

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=87uo2TPrsl8

Carl Friedrich Gauss

十七角形

ウィキペディアWikipedia
十七角形(heptadecagon)は、多角形の一つで、17本の辺と17個の頂点を持つ図形である。内角の和は2700°、対角線の本数は119本である。
正十七角形は定規とコンパスによる作図が可能な図形の一つである。p が素数である正p角形のうち、このような作図が可能なものは p がフェルマー素数である場合に限られる。具体的には p = 3, 5, 17, 257, 65537のときで正三角形、正五角形、正十七角形、正二百五十七角形、正六万五千五百三十七角形の5つしか知られていない。

                    • -

『数学の真理をつかんだ25人の天才たち』

イアン・スチュアート/著、水谷淳/訳 ダイヤモンド社 2019年発行

見えない足場 カール・フリードリヒ・ガウス より

●ヨハン・カール・フリードリヒ・ガウス(1777~1855年
時は1796年3月30日、若きカール・フリードリヒ・ガウスは、言語学と数学のどちらを学ぼうかと決めようとしていた。エイクレイデス以降2000年以上にわたって見つかっていなかったある幾何学的作図法を、代数学的手法を使って探し出すという、きわめて重要な大発見を成し遂げていた。定規とコンパスという昔ながらの幾何学的道具だけを使って、正一七角形を作図したのだ。17本の辺の長さがすべて等しく、内閣がすべて等しい正多角形である。
近似的に作図するのは簡単だが、ガウスは精確に作図してのけた。2000年間、誰一人思い描きさえしていなかった事柄を発見するチャンスを与えられる人など、そうそういるものではない。ましてや、そのチャンスをつかみ取る人とくればなおさらだ。しかも、その数字は難解でありながら、きわめて独創的で美の極致とも言える。ただし実用面での重要性はないが。

19歳の若者が発見した正一七角形の方程式

ガウスが正多角形に挑むための土台となったのが、デカルトによる、幾何学代数学はコインの表と裏のようなもので、平面座標によって結びつけられているという発見である。直線は1つの方程式で表現でき、その直線上のすべての点がその方程式を満たしていなければならない。円でも同じだが、方程式はもっと複雑になる。2本の直線または円が交わると、その交点は両方の方程式を満たす。直線どうしが交わる場合、その2つの方程式を解いて交点を見つけるのはかなり簡単だ。しかし直線と円、あるいは円と円が交わる場合には、二次方程式を解かなければならない。そのための公式があって、その鍵となるのが平方根を取るところである。残りは単純な加減乗除だ。
このように代数学の目を通して見ると、定規とコンパスによる作図法は、結局のところ一連の平方根を取ることへ行き着く。ちょっとした技法を使えば、それは「次数」(未知数の最大の指数)が2、4、8、16、すなわち2の累乗である方程式を解くことと同じである。そのような方程式がすべて一連の二次方程式に還元できるわけではないが、2の累乗というのが一つの手掛かりにはなる。そして、2の何乗なのかを見れば、二次方程式がいくつ必要になるかまでわかる。
複素数、つまり-1が平方根を持つような数を扱うと、正多角形をきわめて単純な方程式に変換することができる。たとえば正五角形の頂点を表わす方程式は、
  x5 - 1 = 0
ときわめて単純で美しい。すぐに気がつく実数x = 1を除くと、残りの解は、
  x4 + x3 + x2 + x + 1 = 0
を満たす。これでもまだかなり美しい方程式だし、しかも重要な式として次数が4、つまり2の累乗である。正一七角形でも同様だが、その場合の方程式はxの16乗までの累乗をすべて」足し合わせたものになっていて、16はやはり2の累乗である。
一方、正七角形の場合の方程式は次数が6で、2の累乗ではない。そのため、定規とコンパスを使って正七角形を作図することはけっしてできない。エイクレイデスは正五角形は作図しているのでその方程式は一連の二次方程式に還元できるはずだ。ちょっとした代数学的手法を使えば、その二次方程式を見つけるのは難しくない。
これらの事柄を踏まえてガウスは、正一七角形の方程式も同じく一連の二次方程式に還元できることを発見した。まず16は24、すなわち2の累乗で、これは一連の平方根で解ける必要条件ではあるが、十分条件ではない。しかしさらに17は素数であり、そのおかげでガウスは一連の平方根を見つけることができた。
ある程度の数学者であれば、ガウスの示した論証は理解できたにちがいあい。しかしそれまで誰一人として、かのエイクレイデスが作図可能な正多角形を漏れなく列挙できていなかったなんて、疑ってさえいなかった。
19歳の若者にしてはなかなかの偉業だ。