Quantum Leap / Quantum Jump Explained
What is Quantum Jump?
Scientists Catch a Quantum Jump as It Happens
Dec 25, 2019 Discover Magazine
Quantum weirdness struck again in 2019.
An experiment described in Nature in June settled a passionate debate that’s divided physicists for over a century, while also raising new questions. Researchers announced they’d tracked a quantum leap in unprecedented detail, showing that it’s possible not only to predict when a particle might jump, but also - bizarrely - reverse it mid-hop.
https://www.discovermagazine.com/the-sciences/scientists-catch-a-quantum-jump-as-it-happens
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Ⅳ 何が量子化されるのか より
量子飛躍とは何ですか
1913年、ニールス・ボーアは量子物理学の最も重要な考えのいくつかを発表した。これらの考えはいまも健在で、いま見てもその不思議さに驚きを禁じ得ない。そうした考えのひとつが量子飛躍である。これは、ある運動状態(ボーアはそれを「定常状態」と称した)から別の運動状態への突然の飛躍が起こるという考えだ。これ以上に常識からかけ離れたことがあるのだろうか? いや、「これ以上に馬鹿げたことがあるだろうか?」と思う人だっているかもしれない。なにしろこれは、駐車場を探してマンハッタンのアッパーイーストサイドの一区画をぐるぐる走りまわっていたら、いつのまにかグリニッジヴィレッジのワシントンスクエアのまわりを走っているのに気づくようなものなのだ。ボーアの師であったアーネスト・ラザフォードは、ボーアの論文の草稿で初めてこの考えを目にしたとき、当然それに困惑した。そしてボーアに、「きみの仮説によれば、電子は飛躍するまえに、あらかじめどの準位に飛び降りるか決めていると考えざるをえないように思います」と書き送った。ラザフォードはもう一言、こう書き加えてもよかっただろう――「それに、飛び降りるタイミングもわかっているはずです」と。ところが、いつどこへを、あらかじめ知ることはできないのである。量子飛躍は、ボーアがこれを提唱してから1世紀近く、ずっと物理学者が頭を悩ませている問題である。アルベルト・アインシュタインは繰り返し、これを気に入らないと言っていた。ほかの物理学者にしても、実質的にはそう言いつづけてきたようなものである――「われわれもこれを気に入らないが、しかし、これが量子世界の事実なのだ」と。
量子飛躍がほかの遷移と異なるのは、これが自発的に起こるというところだ。外的に原因は何もない。誘因もない。これはただ起こるのだ。いきなり起こる予測不可能な現象であるにもかかわらず、量子飛躍はあらゆる規則を守っている。とくに、エネルギーや電荷や角運動量といったさまざまな量がきちんと保存される。これらの量は飛躍の前後で変わらない。たとえば原子内の電子がエネルギーの高い運動状態から低い運動状態に飛躍するとき、電子は1個の光子を放射するので、その光子が差分のエネルギーを持ち去るのである(ボーア自身はアインシュタインの提出した光子の考えを受け入れていなかったが、原子のエネルギー損失が、放射に付加されるエネルギーによって補填されることは認めていた)。
現在、量子飛躍は、これが提案されたときとは、異なる枠組み理解されている。エネルギーの高い状態から低いエネルギー状態への自発的な遷移はすべて量子飛躍であって、光子が放出されるかどうかは関係ないということだ。たとえば放射性原子核はいきなりアルファ粒子を放出して、陽子と中性子がそれぞれ2個ずつ少なくなった別の原子核に変わることがある。この原子核の最初の状態と最後の状態とのエネルギー差(実際には質量差)は、放出されたアルファ粒子の運動エネルギーになる(および、わずかばかりだが、反跳した原子核の運動エネルギーにもなる)。不安定な粒子の崩壊も、やはり量子飛躍だ。これがいつ起こるかは同じように予測不可能で、場合によっては崩壊生成物がどんなものになるかも予測不可能なことがある。たとえば1個のパイ中間子が消滅して、パイ中間子のいたところから1個のミュー粒子と1個のニュートリノが飛び去るとき、そこではやはり量子飛躍が起こっている。
1928年、当時コペンハーゲンで研究をしていたロシア人物理学者のジョージ・ガモフと、イギリス人物理学者のロナルド・ガーニー、アメリカ人物理学者エドワード・コンドンが、放射性アルファ崩壊の理論を提出した。このとき彼らは「障壁透過」、もしくは「トンネル効果」と呼ばれる新しい種類の量子飛躍を記述していた。古典物理学にしたがえば乗り越えられないはずの障壁が、それを通り抜けることでエネルギーが解放されるため、自発的な量子飛躍によって破られてしまうということである。アルファ崩壊はまさにそのような障壁透過の一例で、走査トンネル顕微鏡やトンネルダイオードといった現代の最新機器にもこの原理が使われている。