じじぃの「歴史・思想_624_宮本弘曉・日本の未来・シン④・農業の未来」

観光農園成功のポイントとは?


観光農園成功のポイントとは? 適した作物や事例・集客方法を解説

2021/11/11 minorasu(ミノラス)
観光農園は、農産物の地産地消を推進しながら地域の活性化を目指す第6次産業として注目されています。
作物の出荷以外の収益源や新たなビジネスチャンスを確立し、農業者の所得の増加に寄与しているのも特徴的です。この記事では、観光農園のスタートアップの流れについて、観光農園の成功事例を参考にしながら解説します。
https://minorasu.basf.co.jp/80307

101のデータで読む日本の未来

宮本弘曉(著) PHP新書
「日本人は世界経済の大きな潮流を理解していない」。
国債通貨基金IMF)を経て、現在は東京都立大学教授を務める著者は、その結果が日本経済の停滞を招いたと語る。
そこで本書では、世界と日本を激変させる3つのメガトレンド――①人口構造の変化、②地球温暖化対策によるグリーン化、③テクノロジーの進歩について、その影響を各種データとファクトから徹底的に検証。日本人が勘違いしている「世界経済の変化の本質」を理解した上で、日本社会の現在、そして未来に迫る。

                  • -

『101のデータで読む日本の未来』

宮本弘曉/著 PHP新書 2022年発行

第5章 日本経済再生への提言 より

労働市場改革」のために、いま何が必要か?

ここまで、日本経済の現在、未来を考える際に重要なメガトレンドの変化、そしてそれが日本経済に及ぼす影響について見てきました。日本は現在、多くの課題を抱えており、また、今後もメガトレンドの変化により大きな影響を受けることが予想されます。
では、今後、日本経済を再浮上させるためには何が必要なのでしょうか? 最終章では、この問いについて考えていきたいと思います。まずは、私たちの生活と直結する労働について考え、その後、第2章、第3章で取り上げたいくつかの分野について論じることにしましょう。

シン・未来④ 農業の未来

最後に日本経済に活力を取り戻すものと期待される「社会農業」について触れたいと思います。社会農業とは、農作物の栽培・収穫・販売といった、従来の農業に観光、教育、エネルギーなど他の分野を組み合わせ、新しい価値を創造するものです。社会農業は今後の日本の経済成長、地方創生の切り札になりうるものです。
社会農業のひとつの形として観光農業があります。これは、農作物の栽培や加工を体験したり、農業宿泊を満喫したりするものです。欧州では農村に滞在しバカンスを過ごす余暇の過ごし方が普及しています。「モノ」から「コト」への消費シフトが進む中、体験型観光農業は地方の観光コンテンツとして注目されつつあります。
新型コロナウイルス感染流行により、日本国内における観光需要は大きく減少しましたが、観光資源の魅力それ自体が失われたわけではありません。ポストコロナの時代において、観光は成長戦略の柱、地方創生の鍵を握ると考えられます。
観光は大きな経済効果、社会効果が期待できる産業であり、実際、観光業がGDPに占める割合は小さくはありません。コロナ禍前の2019年には先進国ではGDPの1割前後を占めている国が多く、日本でも7%となっていました。
近年、日本は観光立国の実現に向けて動いた結果、2019年には世界で12位、アジアで3位となる3188万人の外国人旅行者が日本を訪れています。コロナ禍前は、外国人旅行客の増加が注目されることが多かったのですが、2019年の日本人による国内消費旅行額は22兆円と国内における旅行消費額の約8割を占めており、日本人の国内旅行は引き続き日本の観光基盤となっており、地域経済にとって重要な役割を果たしています。
観光には「気候・自然・食・文化」の4つの要素が重要であることが指摘されますが、日本はこれらの4つの要素に恵まれており、これらの要素をフルに活用することで、観光業はもとより、地域経済の活性化、さらには日本経済の成長を後押しすることが期待されます。今後は、観光資源を磨き上げ、その価値を体験・体感できる滞在コンテンツの充実が求められており、観光農業には大きな期待が寄せられます。
農業と組み合わせるのは観光だけではありません。教育と農業、エネルギーと農業を組みあわせた社会農業も大きなポテンシャルを秘めています。教育農業としては、例えば、食育を目的とした収穫体験や農業体験を通じたSDGsなどが考えられます。また、農地に支柱を立て、上部空間に太陽光発電設備を設置、農業を行いながら発電を行う営農型太陽発電の取り組みにも期待できます。
食品の国内市場は人口減少により縮小傾向にあるものの、ユニークかつ高価値の商品へは高い需要があります。また、諸外国では経済成長による市場拡大や富裕層の増加などにより魅力的な市場が生まれつつあります。Made in Japan, Made by Japanの商品は海外で高いブランド力を持つので、国内市場のみならず海外市場も視野にいれつつ、農業を観光、教育、エネルギーなのど他分野と組み合わせ新しい価値を創造することが重要です。