じじぃの「歴史・思想_610_宮本弘曉・日本の未来・テクノロジーの進歩」

【アニメでわかる】「DX(デジタルトランスフォーメーション)」とは?|NETFLIXを具体例として解説

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=S3a0hvxxxCQ

Figure 1. Technology adoption lags have fallen a lot since the 1800s


Whoever leads in artificial intelligence in 2030 will rule the world until 2100Lanury 17,2020 BROOKINGS

Technological change has been getting quicker.
While the pace of invention may not have accelerated, the time between invention and implementation has been shrinking. While average implementation lags are difficult to measure precisely, it would not be a gross oversimplification to say that they have been cut in half with each GPT wave. Based on the evidence, the time between invention and widespread use was cut from about 80 years for the steam engine to 40 years for electricity, and then to about 20 years for IT (Figure 1).
There are reasons to believe that the implementation lag for AI-related technologies will be about 10 years. With technological change speeding up and first-mover advantages as big as they have always been, the need for large and coordinated investments is growing.
https://www.brookings.edu/blog/future-development/2020/01/17/whoever-leads-in-artificial-intelligence-in-2030-will-rule-the-world-until-2100/

101のデータで読む日本の未来

宮本弘曉(著) PHP新書
「日本人は世界経済の大きな潮流を理解していない」。
国際通貨基金IMF)を経て、現在は東京都立大学教授を務める著者は、その結果が日本経済の停滞を招いたと語る。
そこで本書では、世界と日本を激変させる3つのメガトレンド――①人口構造の変化、②地球温暖化対策によるグリーン化、③テクノロジーの進歩について、その影響を各種データとファクトから徹底的に検証。日本人が勘違いしている「世界経済の変化の本質」を理解した上で、日本社会の現在、そして未来に迫る。

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『101のデータで読む日本の未来』

宮本弘曉/著 PHP新書 2022年発行

第1章 世界経済を取り巻く3つのメガトレンド――メガトレンド③ テクノロジーの進歩 より

近年、IoT、ビッグデータ、AIといった言葉を目にする機会が増えてきました。現在、これらの技術革新によって、世界で「第4次産業革命」が進行中といわれています。
これらの新技術は、生産や消費といった経済活動のみならず、私たちの生活や働き方などを含めて経済社会の作り方を在り方を根底から変えると言われています。
技術革新はこれまでも私たちの生活を大きく変えてきました。身近な例として、スマートフォンがあります。スマートフォンは通話することはもちろん、インターネットに接続することで、知りたい情報を検索したり、メールやチャット、SNSなどでコミュニケーションを取ったり、ネットで商品・サービスの購入・販売など、様々なことができます。いまや、スマートフォンは私たちの生活、仕事に欠かせないものとなっています。
しかし、世界標準のスマートフォンが誕生したのは2000年代前半で、その誕生からまだ20年も経っていません。この例からも、現在進行中の第4次産業革命が、私たちの将来の世界を大きく変えることは容易に想像できます。産業の在り方を根底から変える、世界的な地殻変動が起こっているのです。

テクノロジーは爆発的に世界を変える

第1次産業革命以来、過去2世紀にわたり技術が普及するのにかかる時間は短縮されつつあります。
図1(画像参照)はハーバード大学ディエゴ・カミン教授とアリゾナ州立大学バート・ホービン教授の研究による技術の発明年とその技術が受容されるまでの時間の関係を表したグラフです。蒸気機関はその発明から技術が受容されるまでに100年以上かかったのに対して、近年発明されたインターネットや携帯電話などは、発明からその普及までの時間は20年もかかっていません。第4次産業革命のスピードはこれまで以上になることが十分に予想されます。
ここで、自動車の登場を考えてみましょう。1900年と1913年のイースターの朝のニューヨーク5番街の様子をそれぞれ写したものです。1900年の写真では、馬車が通りいっぱいいるのに対して、そのわずか13年後には馬車は消えて車が走っています。これは、1908年にT型フォードが発売され、自動車が一気に浸透したためです。
自動車は馬に頼らずともより遠くへ、より早く移動できる手段であるだけではありませんでした。自動車の普及に伴い、道路の舗装、信号機やガソリンスタンドの設置などが進み、街の姿が劇的に変わり、それにより人々の働き方も大きく変わりました。また、コンテナを船からトラックに積みかえるシステムとの相乗効果で、自動車は国際貿易を急速に拡大させる要因にもなりました。
このように、画期的なテクノロジーが誕生すると、これまでの産業がなくなり、新しい産業が生まれ、社会構造が大きく変化します。それに伴い、人々の働き方、社会インフラ、教育、法体系なども変わります。今、私たちが生きている時代にはこうした大きな変化の波が訪れているのです。

DXの力で日本を根本から変えよ

日本ではデジタル化が進んでいないことが指摘されています。
2020年春からの新型コロナウイルス感染症パンデミックの中、行政をはじめ、ビジネス、教育、医療など様々な分野でデジタル化が遅れていることが露呈しました。
そこで注目されているのが「DX」です。GXとはデジタルトランスフォーメーションのことで、デジタル技術を用いてビジネスや生活が変容していることを言います。DXはスウェーデンウメオ大学のエリック・ストルターマン氏らが2004年に提唱したとされますが、厳密な定義はありません。
経済産業省はDXを「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義しています。つまり、DXは、IT活用による単なる効率化を指す言葉ではなく、業務や組織の運営、企業文化などを改革をも目指すものです。
オフィス業務が中心だった企業がテレワークを導入し、それにより業務や組織の運営を見直すことはDXの1例です。コロナ禍では感染拡大を防止するために在宅勤務が推奨され、多くの企業がテレワークを導入しました。
テレワークは企業、労働者の両方にメリットをもたらす可能性があります。
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コロナ禍では行政におけるDXの遅れが浮き彫りになりました。新型コロナウイルス対策として、政府が2020年に実施した1人一律10万円の特別定額給付金では、オンラインで申請されたデータと受給権者リストの自動照合ができず、職員は目視による照合作業に追われ、多くの自治体がオンライン申請の受付を停止しました。「オンラインよりも郵送の方が早い」というありえない状況が多くの自治体で発生したのです。
日本の行政におけるデジタル化は世界から大きな遅れをとっています。OECDの2018年の調査によると、国の行政手続きをオンラインで申請した個人の比率が日本は7.3%と、対象30ヵ国のうち最下位となっています。また、国連の電子政府ランキングでも日本の順位は低迷しており、細心の2020年度版では14位となっています。
日本では行政のデジタル化が2000年代初頭から進められてきました。2000年のIT基本法にはじまり、行政手続きオンライン化法(2002年)、マイナンバー法(2013年)など、これまで行政のデジタル化に関する法律が数々と作られてきましたが、情報技術社会になった現在でも、紙や手作業による情報処理が行われるなど、行政のデジタル化は進んでいません。
技術的な問題もさることながら、旧態依然の組織や仕事のありようが、日本においてデジタル化が進まない理由です。デジタル庁が進める改革は重要ですが、それ以上に重要なことは日本社会の基本的な構造を変えることです。それなしには、真のデジタル化の達成は難しいと考えられます。