じじぃの「半導体争奪戦・国産製品復活への道筋・台湾をめぐり米中対立!プライムニュース」

半導体争奪戦で日本は 台湾をめぐり米中対立 国産製品復活への道筋 【後編】

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半導体争奪戦で日本は 台湾をめぐり米中対立 国産製品復活への道筋 【後編】

プライムニュース 「半導体争奪戦で日本は 台湾をめぐり米中対立 国産製品復活への道筋」

2021年6月2日 BSフジ
【キャスター】長野美郷、反町理 【ゲスト】甘利明自由民主党半導体戦略推進議員連盟会長、元経済産業大臣 衆議院議員)、牧本次生(一般社団法人半導体産業人協会特別顧問、元日立製作所専務 元ソニー執行役員専務)、町田徹(経済ジャーナリスト)
今、政府や自民党内で日本の半導体産業の強化と復活に向けた動きが活発化している。
1970年代から成長期に入り、80年代には世界シェアの50%を超えたこともあるほどに急成長を遂げた日本製半導体。しかし、85年から10年間にわたって続いた「日米半導体摩擦」の中でその伸びは停滞し、2019年時点ではシェア約10%と往時の5分の1にまで縮小しているのが実情だ。
しかし、日本の底力は尽きてしまった訳ではない。半導体そのものの製造では台湾や韓国に後れを取っているものの、素材や製造装置など、世界シェアのトップを確保している分野もある。また、近年急速に進化するロボットなどの分野では、日本の強みを生かせる可能性があり、「国産半導体の未来をかけた勝負の時」との見方もある。
では、日本の半導体産業再興のために、今打つべき策とは何か?そして、日本の半導体業界は、政府の期待に応えるためにどのような変化を求められているのか?

半導体争奪戦 国産製品復活への道筋 台湾をめぐり米中対立

●国産半導体「再興」なるか? いま日本が描くべき戦略とは
今、国内外で半導体をめぐる動きが活発化。
様々な製品の優劣を決める大きな要素である半導体は、米中対立の焦点の1つでもある。
こうした中、3月に経済産業省は国内半導体産業の競争力強化に向けた半導体デジタル産業戦略検討会議の会合を開始。
自民党内でも先月、半導体産業の強化を求め、国家戦略の策定を目指す議員連盟が設立された。
80年代には日本製半導体が世界シェア50%を超えるほどに急成長を遂げた。
しかし、米国の危機感をきっかけとした1986年の「日米半導体協定」締結以降、市場が拡大する中、衰退の一途をたどりシェアも約10%に縮小。
後発組の台湾や韓国に大きく溝を開けられているのが現状。
5Gなどの次世代通信の普及や自動運転などにより、高性能な半導体が求められる時代に日本の半導体産業はどんな対策と覚悟が求められるのか。
●岸田「新たな資本主義」新議連発足へ
自民党・岸田前政調会長は来週、「新たな資本主義を創る議員連盟」を発足させる予定で、きょう甘利税調会長ら約30人以上が集まって非公開で発起人会を開いた。
議員連盟は設立趣意書で、国内外で「資本主義」の価値が揺らいでいる要因の1つが「株主」資本最優先だと指摘。
企業利益などについて「分配」政策の強化が不可欠だと訴え、新たな資本主義を目指すとしている。
岸田前政調会長は議連で「分配」に軸足を置いた経済政策をとりまとめ、自民党内で存在感を示したい考え。
きょう、自民党・岸田前政調会長は「新たな資本主義を創る議員連盟」の発起人会を開いた。
甘利明、「ずいぶん前に岸田前政調会長から相談を受けた。コロナ禍で二極化がどんどん進んでいる。特に資本主義市場経済で我々が正しいやり方と思っている資本主義市場経済が期待通りの機能を発揮していない。分配の問題など機能的な問題があるのではないかと。もっと適切な努力に対する還元が構造的にできないかと考えていると。強権国家の政治は、向こうからすると独裁だと言われながら自分たちの方が良いじゃないかということになって、世界の大勢がそっちに行く。デジタルトランスフォーメーションと相まってあまり良い方向に向かない。ここで我々は踏ん張らないといけないのに資本主義が良いと自信を持てるようなソリューションを出したいというのが彼の考え方」
●国産半導体「再興」なるか “半導体戦略議連”の狙い
日本の半導体産業の現状について。
世界の半導体の市場規模は右肩上がりで拡大を続け、80年代から比べると約10倍に成長。
一方、80年代には約50%を占めていた日本企業のシェアは近年約10%にまで落ち込んでいる。
こうした状況を受けて、政府と自民党が動き出した。
今年3月、経済産業省が「半導体デジタル産業戦略検討会議」を設置し、半導体関連企業や専門家、官僚らによる議論が始まった。
自民党は先月、「半導体戦略推進議員連盟」を設立。
甘利明が会長、2人の総理大臣経験者(安倍晋三麻生太郎)が最高顧問を務め、6月の「骨太の方針」への反映を目指す。
資料「半導体の市場規模と日本のシェアの推移(経済産業省資料より作成)」。
甘利明、「ギリギリのタイミングだと思う。21世紀はデータを制する者が世界を制する。データをできるだけ集めて分析、解析してソリューションを出して、それを社会実装する競争。スマートシティはセンサーを含めた半導体の塊。データセンターも半導体の塊。クラウド、AIなど半導体が全部に入っている。今までの半導体は製品の性能を上げるのが仕事。今、半導体は世の中を全部動かすところに配置されているので、社会全体を高機能にする競争。国の機能を高めていく競争。これに負けることはデジタルトランスフォームをしていくスペック、標準も勝った国の標準が世界標準になる恐れがある。半導体スパイウェアマルウェアの要素もある」
●国産半導体「再興」なるか 台湾が製造分野トップの訳
町田徹、「日本政府のとんでもない大失政があった。日米半導体協定が80年代に締結されているが、当初は秘密協定で中身が分からなかったが、一番やってはいけない政府が日本国内市場でのシェアを米国なり外国製品のシェアを20%以上にするという目標を約束してしまった。その結果、日本の半導体メーカーが台湾製半導体メーカーを買うよう推奨して回った。日本の半導体メーカーは家電製品のための半導体であった。韓国メーカーは日本の技術者を呼んで日本のメーカーの企業秘密を全部喋ってもらってキャッチアップしたと言われている」
日米半導体協定(1986年9月締結)。
日本の外国製半導体使用奨励義務や日本製半導体のコストと価格を監視することなどを定めた。
●国産半導体「再興」なるか シェア“降下の一途”の背景
日本の半導体産業が凋落した背景について。
甘利明、「当時、米国は対日で今の100倍くらいの力。ほぼ通告で、交渉の役人も抗うことが特定の範囲でしかできなかった。自由貿易とはかけ離れていた。ビジネスモデルの変化を読み取れなかった。ビジネスモデルの戦略ができなかったことが失敗の原因。作ったものをパソコンメーカーなど半導体を使うメーカーがどういう仕様ならば使いたいと言うか、マーケティング能力も弱かった」
牧本次生、「私が交渉に参加したのは最後。協定は1986年に始まって1996年に終わった。終わる交渉を日本側の団長として担当した。日本の半導体の売値を米国政府が決めていた」
町田徹、「交渉に限らず日本側が全部最後の涙を飲むのは安全保障で米国の核の傘にいて逆らえないということ。通信、金融、保健、航空、半導体、自動車でも同じだった」

甘利明、「理化学研究所富士通が開発したスパコン『富岳』が計算速度などを競う世界ランキングで4冠を獲得した。このスパコンのCPU、半導体の設計は日本がやった。製造はTSMC(台湾積体電路製造)がやった。使いやすさを探求した富岳は、海外勢が開発を急ぐ次世代スパコンに先駆けて稼働し、計算速度では2位を大きく引き離した。丹下健三の『国立代々木競技場』の場合は設計は素晴らしかった。しかし実際に建造することはすごく難しかった。われわれが目指すのは丹下健三の『国立代々木競技場』なのです」

●国産半導体「再興」なるか TSMC支援の狙いは
経済産業省は5月31日、TSMCが新たに設ける日本の研究拠点への支援を決定、事業費に約190億円を拠出と発表。
連携企業:旭化成信越化学工業住友化学島津製作所日立ハイテクなど。
町田徹、「本当はTSMCを製造拠点として引っ張ってきたかったが米国に行かれてしまった。自然とTSMC水準のものを日本が吸収できる可能性があるのでこういう支援は素晴らしい。逆に製造の方の補助金はきりのない金額の話になるので、そこを選別して。実は半導体を使うのは半導体メーカーではなくて、他の分野の技術こそ半導体に落とし込んで使う意味がある。かつて日本の失敗は、総合電機という言い方をしていたが、冷蔵庫やエアコンなどと同じ序列で半導体を考えてしまっていた。常に永久革命だと覚悟を持ってほしい」
甘利明、「米国がTSMCをお金も政治力も含めて引っ張ってくる。これは安全保障上もTSMCとしては米国と組んだほうが良いということはある。半導体の戦争は陣営間の戦争がある。西側連合を組む、その中でも全部米国に集中しましょうでは意味がない。経済安全保障でいえば不可欠性。日本の拠点がなかったら世界のDX(デジタルトランスフォーメーション)は動かないという戦略が必要」
●国産半導体「再興」なるか 日本が目指すべき位置は?

製品化・サービス化 製造 素材・製造機器

町田徹、「例えば自動運転でいうとGoogleは一生懸命やっているがトヨタも負けていない。製品化・サービス化のところは異業種かもしれないが日本の製造業、サービス業にとことん頑張ってもらえれば主体は真ん中にも出来る。基礎研究だけは日本政府はとことん支援する、大学の研究は怠らせない、子供の頃から理系教育はしっかりやるなど。単に製造や輸出に変な支援金をつけるとWTO違反など自分から自由貿易の仕組みを壊しているとなりかねない」
牧本次生、「素材・製造機器はきれいに分けられているし、日本の素材が止まると世界の半導体が止まると言われるぐらい強い。韓国と中国がここにものすごく力を入れているので負けないようにしないといけない」
半導体市場を牽引した製品の変遷(社会的インパクト概念図):テレビ・VTR、PCB、スマホ、ロボティクス。
甘利明、「TSMCが強いのは山や谷が他のところより少ない、なぜかというと固定客をしっかりもっている。ハイエンドの固定客はスマホiPhone、ファーウェイにしてもTSMC半導体がないと作れない。スーパーコンピューター、AIなどに対してどれほど安定的な顧客を持っているかが大事。関わり方が濃淡があって、得意な分野は一気に行く。不得意な分野は人の力を借りて、でも自分の血も入れる。顧客はニーズをしっかり掴んで、うちの製品でないと使い勝手が悪いよねという関係を作る」
●国産半導体「再興」なるか 日本が描くべき戦略とは

製品化・サービス化 製造 素材・製造機器

甘利明、「製造の現場を進化させるためには製造の現場から要求を出さなければいけない、こういう素材が必要だが開発できないかと。5Gでもそうだが調達する時にこの国のものは要らないとは書けないので、結果的にそうなるように仕様で安全保障上の観点から色々な書き方をして、リスクのある国からの納入は結果的に出来ないようにする。思想を共有する同盟国からは調達してよいが主役を持っていかれないように」
政府調達、米国、中国、台湾について言及。
牧本次生、「グローバル連携は非常に大事」
町田徹、「本来経済安全保障といったら個人でも企業でも国でも、ちゃんと支払いに対応できますかと資金繰りは大丈夫かというのが第一。次には産業スパイに軍事技術などを盗まれないか。食糧安全保障に近いような、これが入ってこなかったら餓死するから日本人を守るために要るという物資として半導体を取っておかないといけなのではないかという意味の場合、一般的な家電などを含めた日本の半導体産業は日本国が勝てているわけではないので、そこには安全保障はないとしか思えない。日本を食わせる産業のために弱ってしまった半導体はどうでも良いが別の半導体や別の産業が使う半導体は付加価値がつくように日本企業は頑張ってほしいというレベルなら是非やるべき」

【提言】 「日本の“半導体戦略”成功のカギ」

甘利明 「洞察力と胆力」
 日本がどういった分野に入れるか、あるいは主導権を取れるか。ここだと思ったらそこに集中的に精力を注ぎ込む。
牧本次生 「勝機は新市場にあり」
 自動運転を含むロボティクス市場を制覇する。
町田徹 「ナショナリズムは危険です!」
 すべてのサプライチェーンを日本だけで作ることはありえない。国際分業を頭に置いて進める。
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