じじぃの「科学・芸術_1001_台湾・世界一のハイテク請負アイランド」

Secretive Giant TSMC that runs the World, Why TAIWAN is IMPORTANT to the world

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=CuRsr1rGucg


台湾TSMC半導体需要急増で売上高は過去最高に

2022年1月13日 Media Innovation
台湾チップメーカーのTSMCは1月10日、2021年売上高が1兆5,874億台湾元(約6兆6,000億円)となったことを発表。前年比18.5%増で、通年の過去最高額だ。
TSMCは台湾の新竹に本拠を置く半導体受託生産の世界最大手。同市場でのシェアは50%を超え、主要顧客にはアップルやクアルコムなどが名を連ねる。
https://media-innovation.jp/2022/01/13/tsmc-earnings/

日曜スクープ

2021年6月6日 BS朝日
【司会】菅原知弘上山千穂 【コメンテーター】河野克俊(前統合幕僚長

日米台連携 経済安保戦略 半導体(データ)を制するものが世界を制する

ニュースの本質に向き合う! 時事論考

【ゲスト】甘利明自民党税制調査会長・半導体戦略推進議員連盟会長)
デジタル化の進展で世界的に需要が増す半導体
中国だけでなく、米国も自国産業に大規模な支援策を打ち出すとともに、最先端技術で独走する台湾「TSMC」をめぐる綱引きを繰り広げる。
しかし、かつて世界トップのシェアを誇った日本は凋落の一途をたどったまま。浮上策はあるのか。
5月21日に発足した自民党半導体戦略推進議員連盟」は6月3日、半導体の国内製造基盤の強化を求める決議を菅総理に提出した。
半導体議連は甘利元経済再生担当大臣が会長を務めるほか、最高顧問として安倍晋三前総理や麻生太郎財務大臣が参加している。
半導体は生活になくてはならないもの。
半導体製造のトップシェアを誇るのが台湾の企業・TSMC(台湾積体電路製造)。
中国から影響を受ける可能性を懸念した米国は、新たにサプライチェーンの構築に取り組む。
日本政府も国内の半導体産業の見直しを行おうとしている。
30年前まで世界トップシェアを誇っていた日本だが、今は多くの企業が事業撤退。
半導体の覇権争い・カギ握る台湾
米中の半導体をめぐる駆け引きの中で焦点となっているのが台湾。
台湾は最先端の半導体製造の世界最大規模の拠点となっている。
開発設計、製造の分業化が進む半導体業界。
米国企業が研究開発・設計した半分以上は台湾のメーカーによって製造されている。
台湾への依存を米国は地政学的リスクとして強く警戒しているという。

甘利明、「中国・米国の半導体をめぐる戦争というが、中国と台湾TSMCとでは半導体技術格差は10年もある。やはりTSMC半導体製造シェアで抜きん出ている。日本は半導体の素材技術に優れている。米国に半導体素材の工場を建設ということも考えとしてはあるが日本が産業空洞化してしまうことも考えないといけない。中国とは対立の関係にあるが、日本は台湾、米国とそれぞれの得意分野で協力し連携し合って開発を進めるのがベターだ」

https://www.bs-asahi.co.jp/sunday_scoop/

『台湾を知るための72章【第2版】』

赤松美和子、若松大祐/編著 赤石書店 2022年発行

Ⅱ 政治と経済 より

第17章 工業――世界一のハイテク請負アイランド

経済部『工業生産統計年報』によると、2020年の台湾の製造業生産高は12兆7272億元でその内訳は、情報電子工業が4兆7608億元(37.4%)、金属電機工業が3兆6584億元(28.7%)、化学工業が2兆8995億元(22.8%)、民生工業が1兆4085億元(1.11%)を占めた。
長期的な変動を見てみよう。1970年代には40~50%を占めた食品や繊維等の民生工業が、徐々にその比率を下げ、1980年代にはプラスチックなど化学工業が3割を占めるようになった。1990年代には機械・金属工業が常に全体の3分の1を構成していたが、21世紀に入るころから、電子部品製造の著しい成長がみられ、情報電子工業の比率が急拡大している。特に2020年には、新型コロナウイルスパンデミックの影響で、他の工業が落ち込みを見せたのに反して、世界の半導体需要が急増し、半導体製造業の好調に応えるため、国内製造ラインへの投資が拡大して、台湾内の情報電子工業の顕著な伸びを支える結果となった。

そもそも、台湾のTSMC(台積電)は、世界一の半導体ファンドリー企業であったが、近年さらに売り上げを拡大し、2020年の第四四半期では、世界市場のシェア55.6%を占め、2位のサムソン(世界シェア:16.4%)を大きく引き離している。

ファンドリーというのは電子機器の心臓部にあたるICチップを製造請負する事業者で、TSMCの顧客にはアップルなどファブレスのブランド企業以外に、HiSilicon(中国:ただし2021年は実績なし)、クアルコムインテル(米国)など、世界の半導体製造業が名を連ね、請負生産も含めて世界の半導体の半分以上を手掛けるTSMCのスケールの大きさを示している。
2020年のフォーチュン500には、台湾企業から9社がランクインしているが、その内、鴻海科技集団(66位)、ペガトロン(269位)、TSMC(362位)、クワンタ・コンピュータ(377位)、コンパル・エレクトロニクス(396位)、ウイストロン(452位)の6社が情報機器や電子部品および半導体の製造業であった。因みに、翌2021年のフォーブス2000(台湾企業44社)の序列では、TSMCは鴻海科技を抜いて台湾企業ではトップにランキングされており、TSMCの急成長ぶりがうかがわれる。
台湾のハイテク企業が手がけるのは情報機器の心臓部だけではない。上記の、上記フォーチュンにランクインしている鴻海、ペガトロン、クワンタはいずれも、自社ブランドはエンドユーザーにとってメジャーではないものの、アップル社のiPhoneやその他世界中のブランドメーカーのパソコンおよび周辺機器を請け負う企業として、現在では世界的に有名である。台湾の電子産業は、技術のキャッチアップと標準化によって、委託ブランドの部品を組み立てるOEMから、製品の設計製造を行うODM、そして開発も担当するEMSまでが発展してきた。個別メーカーの垂直統合を基礎に発展してきた日本企業は、この分野ではすでに利益が薄くなり、撤退を余儀なくされ始めている。しかし、台湾企業は、大規模化、標準化を武器に世界市場でシェアを伸ばし、今も成長を続けているのである。
台湾の工業は、ハイテクの委託請負に特化してきたわけではない。例えば、2020年全製造生産額の28%を占める機械・金属工業では、基本金属業と金属製品の加工業が半分以上を占める。特に基本金属業を支えているのは、高い鉄鋼の圧延、成型の技術力である。鉱物資源を輸入に頼る台湾にとっては、単純な金属製造業の利益は薄いため、比較的高い技術が要求される加工業や工作機械製造に力を入れている。一方で、台湾では自動車や船舶の完成品を製造するメーカーはあまり強くない。自動車の国内主力ブランドは海外企業との合弁であり、列車製造業などその他の交通運輸関係も部品製造が主である。ここが、現代グループのような大規模財閥を育成し、自動車や船舶の世界ブランド化に力を入れてきた、同じNIESの韓国経済との違いである。もっとも近年、シェアはまだ大きくないが、ACERASUSが世界のパソコンメーカー販売台数上位5位以内にランキングされており、黒子として活躍しつつも、それだけではない実力は既に世界に認められるようになったといえよう。
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最後に民生品工業は、小さくはなったといえそれでも毎年、製造業生産額の10%前後を占めている。農産加工業(製糖)から、紡織、化学繊維・プラスチック、金属加工そして半導体と電機と、20世紀にはじまった台湾の工業はその主役を交代させながら、島の経済を支えているのである。