じじぃの「歴史・思想_608_宮本弘曉・日本の未来・超高齢社会」

World Population by Country ( 1960 - 2050 ) | History & Projection

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=zjbWdK2Nup0


高齢化の国際的動向

令和2年版高齢社会白書(全体版) - 内閣府
(2)我が国は世界で最も高い高齢化率である
先進諸国の高齢化率を比較して見ると、我が国は1980年代までは下位、90年代にはほぼ中位であったが、平成17(2005)年には最も高い水準となり、今後も高水準を維持していくことが見込まれている(図1-1-6)。
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2020/html/zenbun/s1_1_2.html

101のデータで読む日本の未来

宮本弘曉(著) PHP新書
「日本人は世界経済の大きな潮流を理解していない」。
国際通貨基金IMF)を経て、現在は東京都立大学教授を務める著者は、その結果が日本経済の停滞を招いたと語る。
そこで本書では、世界と日本を激変させる3つのメガトレンド――①人口構造の変化、②地球温暖化対策によるグリーン化、③テクノロジーの進歩について、その影響を各種データとファクトから徹底的に検証。日本人が勘違いしている「世界経済の変化の本質」を理解した上で、日本社会の現在、そして未来に迫る。

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『101のデータで読む日本の未来』

宮本弘曉/著 PHP新書 2022年発行

第1章 世界経済を取り巻く3つのメガトレンド――メガトレンド① 人口構造の変化 より

世界で最も高齢化が進む国、ニッポン

少子化と表裏一体の関係にあるのが、高齢化です。日本を含む多くの国では、65歳以上の人を高齢者としています。人口全体に占める高齢者の割合を高齢化率と呼び、国連の世界保健機関(WHO)は高齢化率に応じて、社会を高齢化社会(7%~14%)、高齢社会(14%~21%)、超高齢社会(21%~)に区分しています。
日本の高齢者人口は1950年以降一貫して増加しており、2020年には3602万人となっています。高齢化率も1950年の4.9%が、1970年には7%を超えて高齢化社会になりました。その後、1994年に14%を超えて高齢社会に、そして2007年には21%を超えて超高齢社会となりました。驚きべきことに、これは世界で初めてのことでした。
2020年の高齢化率は28.6%で、国民の約3.5人に1人が65歳以上となっています。男女別にみると、男性が25.6%、女性が31.5%となっており、男性は4人に1人が、女性は3.2人に1人が高齢者となっています。
人口減少が進む中でも、今後約20年間は、高齢者は増え続けると予想されています。高齢者人口は2042年の3935万人でピークに達し、その減少に転じるとされています。
将来的な高齢化率は上昇する一方で、2025年に30%、2040年に35%を超え、2065年には38.4%まで上昇すると予想されています。2065年には、国民の約2.6人に1人が65歳以上という社会が到来することになるのです。
日本の高齢化は世界の中でも突出しています。図(画像参照)は主要国における高齢化率の推移と将来予測を表したもものです。2018年の高齢化率を比較すると、日本の28.1%が世界で最も高く、次いでイタリアの23.3%、ドイツの21.7%という順になっています。
今後、どの国でも高齢化が進むと予想されていますが、日本の高齢化率は今後数十年間にわたり世界で一番高く、世界で最も高齢化した国の前人未到のの経験を続けると予想されます。

これから世界の人口はどうなるか?

国連の「世界人口推計2019年版」によると、世界人口は2050年に97億人と、今後30年で20億人増加する見込みです。図をみると、2050年の人口ランキングの1位はインドで16.4億人、2位は中国の14億人です。中国は2030年に14.6億人でピークを迎え、その後は減少に転じると予想されています。
3位はナイジェリアの4億人です。2020年のナイジェリアの人口は2億人で世界7位ですが、今後、驚くべきペースで人口が増加し、アメリカの人口3.8億人を超えると予想されています。
地域別に今後の人口予測をみると、アフリカが存在感を高めることがわかります。現在、46億人で世界人口の約6割を占めるアジアの人口は、2055年に53億人まで増加した後、減少することが見込まれています。これは、中国やインドといった人口大国でその人口が減少すると予想されているからです。一方、2020年に13.4億人と世界人口の約17%を占めるアフリカは、2050年には24.9億人、2100年には42.8億人と世界人口の約40%を占めるまでに増加すると予想されています。

高齢化、都市化の波が世界にも波及する

今後、世界の人口は現在よりも多くなるだけではありません。高齢化も進むことが予想されています。現在、全世界で65歳以上人口は約7億人で全体の約9%を占めていますが、2050年には約15.6億人で全体の16%にまで増加するとされています。
さらに、人口の「都市化」も大きく進むと考えられます。国連の「世界の都市人口の展望」によると、世界の都市圏の人口割合は増加傾向にあり、2018年には世界人口の55%である42億人が都市部に居住していましたが、2030年には60%、2050年には世界の人口の3分の2以上の人が都市圏に居住すると予想されています。
こうした人口のトレンドは人々の経済環境、家庭生活に大きく影響します。例えば、人口増は、食糧を通じて人々の生活に影響する可能性があります。
また、都市部への人口集中は、自然災害のリスク増加や交通混雑等を引き起こします。一方、地方では都市部への人口流出により、地域経済・産業の担い手が不足するなど、コミュニケーションを維持が難しくなります。さらに、世界的な高齢化は、年金や健康医療費の増大を通じて、国家財政に大きな負担をかけます。こうした中、政府や公共サービスのあり方も変化していく可能性があります。