じじぃの「歴史・思想_599_プーチンの正体・21世紀最悪の大虐殺者」

Rape, torture, murder in Ukraine - Does Putin feel no remorse over his invasion? | Conflict Zone

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=h19HFztTScQ

Putin’s similarities to Stalin; the greatest mass murderer in Europe


Russia’s Invasion of Ukraine Is the Result of Its Own Failure to ‘Denazify’

April 5, 2022 Davis Center
In his bid to rewrite history, Putin has made memory politics a top strategic priority. He has taken every opportunity to describe Soviet occupations as acts of justice and bravery, to erase the truth about former Soviet leader Josef Stalin from the history books, and to rebrand him as a war hero.
In December, Russian courts shuttered Memorial International, a respected organization that had spent decades scouring archival evidence to highlight the plights of victims of the Soviet regime, as well as its subsidiary organization, the Memorial Human Rights Center, which focuses on allegations of political persecution in present-day Russia.
https://daviscenter.fas.harvard.edu/insights/russias-invasion-ukraine-result-its-own-failure-denazify

プーチンの正体』

黒井文太郎/著 宝島社新書 2022年発行

まえがき より

2022年2月24日、プーチンがロシア軍にウクライナ侵攻を命じ、侵略戦争が始まった。しかし、このプーチンの「狂気」は、なにも急に生まれたわけではない。彼自身が書いたり語ったりしているが、もともと彼にはウクライナ征服の願望があった。その機会を虎視眈々(こしたんたん)と狙っていたのだ。
ただし、現代の世界では、あからさまな侵略は容易なことではない。国際社会の反発は当然予想されるし、戦争を勝ち抜く力も必要だ。プーチンはその機会をじっと待っていたのである。

第2章 21世紀最悪の大虐殺者 より

万単位の規模で民間人が犠牲になったウクライナ

ウクライナ侵攻では、開戦直後から激しい戦闘で凄まじい数の命が奪われた。
2022年4月4日、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は、それまでのウクライナの民間人の死者は少なくとも1430人。実際には、はるかに多いだろうと発表した。
前日の4月3日には、ロシア軍が撤退したキーウ北方の街ブチャで多くの惨殺死体が発見されている。ブチャ市長はロイター通信に対し「300人以上が殺害された」と証言している。ブチャ以外でも同様の住民殺戮が行われたとの情報もあり、4月5日にはウクライナ当局が「キーウ周辺で410人の民間人遺体を発見」としている。
他方、南部の港湾都市マウリポリはロシア軍に包囲され、連日砲撃を受けてきたが、市当局は3月28日に「死者は約5000人」と発表している。こうした数字がどれだけ正しいかは不明だが、少なくともウクライナで同時点で数千人の民間人が犠牲になっていたことは、間違いない。開戦2ヵ月後の4月下旬では、残念ながら万単位の死者数になっていると思われる。
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開戦2ヵ月で凄まじい数の戦死者推定だが、ウクライナ軍もやはりかなりの戦死者が出ていることは疑いない。ロシア軍と同じくらいの戦死者が出ていてもおかしくはないのだ。
以上がいずれも、プーチンがこの「恥ずべき侵略」を始めなければ、死なずに済んだ貴い命だ。つまり開戦2ヵ月ですでにプーチンは、おそらく3万人以上のウクライナ人を殺害したのだ。

プーチン殺戮の歴史

もっとも、プーチンがこれまでに「殺害してきた人々」はこれだけではない。主な殺人歴を以下に挙げる。
▽第2次チェチェン戦争
プーチンは1999年に首相に就任し、すぐにチェチェンへの進行を開始した。その攻撃は一般住民もろとも町村を無差別攻撃するもので、プーチンはそれを10年間も続けた。
この第2次チェチェン戦争での民間人の死者数は、統計した団体ごとにさまざまな推定値がある。4万~5万人という推定が多いが、もっとも少ない推定値は中立的立場の国際人権団体「アムネスティ・インターナショナル」の調査で、民間人の死者が約2万5000人、さらにおそらく死亡したであろう行方不明者が5000人いるとされている。つまり、少なくとも3万人以上の民間人が殺害されたとみていいだろう。
それに加え、チェチェン独立派の兵士も計1万数千人が戦死したとみられる。つまり、プーチンが命令した戦争により、少なくとも4万数千人以上が殺害されたのだ。

▽モスクワ「自作自演」連続テロ

KGBの後継組織である連邦保安庁FSB)長官だったプーチンは1999年8月9日に首相代行、同月16日に首相に任命されて実権を握るが、そのわずか半月後の8月31日にモスクワ中心部のショッピングモールで爆弾テロが発生。さらに翌9月半ばにかけてモスクワの集合住宅ほかロシア各地で計5回のテロが起き、計295人が殺害された。
のちに内外の勇敢な記者たちの調査により、これらのテロはチェチェン侵攻の口実とするためにプーチンFSB旧ソ連KGBの流れをくむ諜報機関)に命じてやらせた可能性がきわめて高いとされている。

つまり自作自演テロで、プーチンはロシア人同胞を含む無関係の民間人295人を殺戮したと考えられるのだ。

▽反対派の暗殺
プーチン政権発足以降、反対派の新興財閥(オルガルヒ)、政治家、記者らの殺害・殺害未遂および不審死があとを絶たない。その詳細は後述するが、こうしたプーチン批判派で、ロシア国内で殺害された人数は数十人になる。記者以外の人物、さらにロシア国外にいた人物の殺害まで含めると、おそらく100人を超える人数になるだろう。

▽シリア空爆
2011年3月に始まったシリア紛争で、プーチン政権は反独裁を叫ぶシリア国民を殺戮するアサド政権に圧力をかける国連安保理決議をことごとく拒否権で潰し、アサド政権への軍事支援を続けた。
また、2015年9月からは直接ロシア軍を派遣し、反体制派エリアへの無差別空爆を開始した。ロシア軍は病院、学校、市場、民家を破壊し、民間人多数を殺害し続けた。「ダブルタップ攻撃」といって、同一の地点を時間差で攻撃することにより、1発目の攻撃での被害者を救出するために集まった人々をさらに殺害するということまでやっている。

▽GRU指揮下の民間軍事会社「ワグナー」の暗躍
ロシア軍情報機関GRUが、ロシア軍が表立って行動できないときに、軍のダミーとして使っている民間軍事会社が「ワグナー・グループ」だ。所有者はプーチン側近の政商でクレムリンと直結している。
このワグナーはシリア、ウクライナだけでなく、リビア中央アフリカ南スーダンモザンビークマダガスカル、マリなどに派遣されている。

▽ドンバス地方侵略
ロシア軍によるウクライナへの不法な侵略行為は、2014年から継続している。最初はクリミア半島に軍を派遣して占領したが、その後ロシアに一方的に併合したと主張している。
さらに、その勢いでウクライナ東部のドンバス地方に非公式に軍および軍情報機関を投入し、地元の親ロシア派を前面に立てて一部を占領した。その後のウクライナ軍との戦いの過程で2022年1月までにすでに約1万4000人が死亡している。これらの犠牲もすべてプーチンに責任がある。

以上のように、2022年2月に開始されたウクライナ侵攻よりずっと以前から、プーチンは数々の殺戮に手を染めてきた。ざっと計算すると、すでに推定で7万人近い殺戮に直接の責任がある。プーチンの事実上の配下のようになっているシリアのアサド大統領による殺戮の責任も加えれば、プーチンはなんと30万人をはるかに超える人々を殺してきた21世紀最悪の大虐殺者といえる。

プーチンは1999年以来、殺戮を続けている。ウクライナ侵攻以前に、すでにヒトラースターリン毛沢東ポル・ポトといったカテゴリーの人間だったのである。