What IS This Adorable "Sea Bunny?"
動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=7EH5FHnER2g&t=26s
Jorunna funebris (ウミウシ)
taxo4254 - Jorunna funebris
4.1. Life History
Jorunna funebris is a hermaphrodite, which means it has both male and female reproductive organs. The genital openings lie on the right side of the body, so the animals position themselves side-by-side in opposite directions before mating. It lays white ribbon-like eggs.
https://singapore.biodiversity.online/taxo4254/mainSpace/Jorunna%20funebris.html
『【図解】始まりの科学―原点に迫ると今がわかる!』
矢沢サイエンスオフィス/編著 ワン・パブリッシング 2019年発行
パート10 オスとメス(性)の始まり――オスの染色体、消滅の危機? より
●オスがメスに、メスがオスに変わる
われわれ人間には男と女という2つの性(セックス)がある。イヌやネコ、ライオンやゾウ、クジラなどの哺乳類にもオスとメスがいるし、植物にもメシベやオシベ、あるいは雄株や雌株がある。しかしすべての生物の性がこのように単純に2分されるわけではない。
春、海辺の潮だまりにアメフラシが現れる。アメフラシは「雌雄同体」、すなわち1匹がオスとメス両方の生殖器をもっている。頭にペニス、背中にヴァギナである。進化の過程で貝殻を失った貝の仲間アメフラシは体長約15cmで、敵に出合うと写真に見るように液体を放出する。煙幕を張ったようなその様子が雨雲を思わせ、それが名前の由来となった。
アメフラシは春から初夏にかけての産卵期に交尾する。頭部のペニスを別の個体の背中後方にあるヴァギナに入れるのだ。いまオスとして交尾している個体の背中のヴァギナに別の個体がペニスを挿入し、さらにその後ろから別の個体がペニスを挿入することもある――こうしてときには何匹もが数珠つなぎになり、その結果大量の卵が生み出される。
サンゴ礁などに棲んで大型魚の口内やえらを掃除するホンソメワケベラは、生まれたときはすべてメスである。だが成体になると、群れでいちばん大きなものがオスに性転換する。この群れ(ハーレム)でメスが産卵すると、そのオスはすかさず卵に精子をふりかける。雌雄同体で生まれるクロダイのように、成熟するとオスになり、ついでメスに変態して卵を産むものもいる。爬虫類のカメの多くは、卵のおかれた環境がかなり高温ならメスに、低温ならオスになる。ワニは逆で、高温でオスになるものが多い。
●有性生殖か無性生殖か?
こうして見ると瞭然とするように、オスとメスは本来固定化されてはいない。それは生物の種が子孫を残すために行う「生殖行動」の便宜的手段でしかない。同じ種がオスとメスに役割分担することによって子孫を残す――生物が進化の過程で身につけたこの手法は「有性生殖」と呼ばれる。
だが、性つまりオスメスのない生物も存在する。それらは個体が自分自身を単に2分割(分裂)して個体数を増やす。あるいは自分と同一の個体(=クローン)をひたすら生み出す。こうした増殖のしかたは性を用いないで「無性生殖」である。
有性生殖は非常に多くの生物が選択している基本的な生殖方法である。とりわけ脊椎動物のほとんどは有性生殖によって子孫を残す。無脊椎動物の昆虫では、バッタのようにメスだけで卵を産む(単為生殖)種もあるが、彼らもチャンスがあればオスと交尾して生殖する。アリやハチは有性と無性、あるいは単為生殖を使い分けている。
顕微鏡でなければ見えない大腸菌などの細菌や、ゾウリムシのような単細胞生物にも性はある。生物とは言い難いウイルスにも性をもつものがいる。地球生物は何億年もの昔に、オスとメスによる生殖の方法を発見ないし発明したことになる。
●「赤の女王」が有性生殖に味方?
現在の進化学者の間での”合意”は、有性生殖は「遺伝的な多様性」を維持するためというものだ。
有性生殖はオスとメスの遺伝子を混ぜ合わせる行為である。最新の説では人体は37兆個もの細胞からできているとされている。これらすべての細胞は赤血球を除いてその内部に、オス(父親)とメス(母親)から引き継いだ23本ずつ合計46本の染色体をもっている。このうち2本が性を決定する性染色体で、女性は2本ともX染色体、男性はX染色体とY染色体が1本ずつだ。
ただし、生殖細胞(精子と卵子)は例外である。これらの生殖細胞は「減数分裂」によって、親から引きついだ染色体の組み換えを行う。
細胞内に核をもつ真核生物の多くは、この減数分裂を経て生殖を行う。その結果さまざまな性質が組み合わされるため、少しずつ特徴の異なる子が生まれる。何世代かこれをくり返せば、もともとの遺伝子源がシャッフル(混ぜ合わせ)され、多様性は非常に大きくなる。多様な子どもがいれば、環境が急変しても子どものどれかは新しい環境に適応して生き残れる――
だが考えてみるとこれは奇妙な見方だ。たしかに生物の種の存続にとって多様性は有利かもしれないが、生物進化の駆動力とされる「自然選択」は種に対してはたらくわけではない。有性生殖は個体にとってはむしろ不利である。たとえすぐれた特質をもつ個体がたまたま生まれても、有性生殖はその組み合わせを壊してしまう。有性生殖は生物にとって本当に有利な方法なのか?
ここに登場したのか「赤の女王仮説」だ。これはアメリカの進化学者リー・ヴァン・ヴェーレンが提唱したもので、彼は「生物は病原体や捕食者から身を守るため、たえず変化しなければならない」という。
毎年流行するインフルエンザでもわかるようにウイルスや細菌はすばやく変異し、新たな攻撃をしかけてくる。去年のワクチンは今年はきかないかもしれない。それに対抗するにはこちらも変化し続けることが不可欠だというのだ。名前の由来はルイス・キャロルの小説『鏡の国のアリス』である。そこでは赤の女王(チェスの駒)が主人公アリスの手をひいて飛ぶように走り、「もっと速く!」と叫ぶ。同じ場所に留まるには彼女らは全力で走り続けねばならない。生物もまた、有性生殖でたえず遺伝子を組み換えて全力で走り続けることで生き延びているというのだ。
●性はいつか終わる?
性は生物の生存戦略として著しい成功を収めてきたように見える。だが近年、人間のオス(男性)の精子の劣化と退化が世界的に指摘されている。
デンマークの内分泌研究者ニールス・スカケベックの研究によると、1940年代の男性の精液中の精子は1ミリリットル(cc)あたり1億1000万個以上あった。だが1990年の若者では6600万個に激減したという。
精子の数だけではなく精子の運動能力の低下も指摘されている。生殖医療が進んで劣化した精子でも人工授精が可能になったことが、この傾向に拍車をかけている。しかも男性のY染色体そのものが消滅の危機にあるというのだ。
いまや、ES細胞やiP細胞などの万能細胞から”精子をつくる”ことさえ可能になっている。男と女の性がなくとも子どもをつくれる時代である。これはしかし、生物学的に見れば人類の”性の終わり”の始まりかもしれず、さらには人類の衰退の始まりかもしれない。他方で、生殖医療により新たな能力をもつ”第2の人類”が出現する徴候も見せている。遺伝子操作によるデザイナーベビーの試みなどが、すでに現実社会にチラチラと登場しているのである(パート13参照)。