じじぃの「ベストセラー医薬品・ヤナギから生まれたアスピリン!ケミストリー世界史」

炎症を抑える有名な「あの解熱鎮痛薬」でがんの死亡リスクが半減!アスピリンの威力

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=lap2S0bFR_8

「バイエルアスピリン


北多摩薬剤師会 おくすり博物館 バイエル薬品

~ バイエル薬品 ~
・この老舗歴史シリーズではこれまで8回にわたって歴史ある国産・日の丸企業を紹介してきましたが、今回ご紹介するのは『アスピリン』で有名な外資系のバイエル薬品を『アスピリン』を中心にご紹介します。
・ドイツでバイエル社(:正式にはフリードリヒ・バイエル社)が染料会社として創立されたのは今から150年以上も昔の1863年(:文久3年。新撰組が正式に誕生し、薩英戦争や天誅組の乱が起きた年。)のことになります。
https://www.tpa-kitatama.jp/museum/museum_114.html

『ケミストリー世界史 その時、化学が時代を変えた!』

大宮理/著 PHP文庫 2022年発行

第12章 資本主義から帝国主義へ より

重商主義、そして産業革命による工業社会の到来は、資本主義というシステムを発展させ、新しい市民階級=ブルジョワジー(資本家)と労働者を生み出しました。ブルジョワジーとはフランス語の「ブール」(町・都市)からきた言葉で、日本語なら「町人」のようなイメージです。シェルブールストラスブール、ドイツだとハンブルクなど、もとは同じ語源です。
ブルジョワジーによる議会が、政治の中枢になります。フランス革命の到来とともに、アメリカ合衆国に次いで、地球上に新しいステージとなる近代民主主義が生まれます。

1899年 アスピリンの発売――人類は望みの医薬品をつくりだせる時代へ

古代ギリシャでも使われていた
1880年代から急速に発展したのが、医薬品の合成です。人類の長い歴史において、自然の植物、薬草などから有効成分を抽出していた医薬品は、いよいよ完全合成でつくられる時代へと進化したのです。
ドイツの製薬メーカー、バイエル社は1899年、完全に人工で合成した医薬品を市販しました。いまだに使われている解熱鎮痛薬のアスピリンです。
”医学の父”といわれた古代ギリシャヒポクラテスは、ヤナギの樹皮を解熱や関節炎の治療に使っていました。古くからヤナギの樹皮を煎じて飲むと、熱が下がり、関節炎の痛みなどを鎮める働きがあるとされてきました。中国・唐の時代には、歯痛を和らげるのにヤナギの小さな枝を使う治療が記録されています。つまようじのさきがけです。ヤナギの樹皮からサリチル酸ラテン語の「サリクス」、「柳」に由来)が分離されて、これに鎮痛の作用があることがわかったのです。
1853年に、石炭由来のコールタールの成分であるフェノールからサリチル酸の人工合成ができるようになると、鎮痛薬や解熱剤として販売されました。けれども、サリチル酸は強い酸性を示す物質で、粘膜を刺激して胃炎や胃潰瘍などの副作用が生じました。

●分子の構造を望みどおりに変える
バイエル社の研究員フェリックス・ホフマンは、関節リウマチを患っている父親が副作用に苦しみながらサリチル酸を服用しているのを見て、副作用をなくそうとしました。
そこで、すでにサリチル酸の構造をマイナーチェンジした分子、アセチルサリチル酸に注目して、合成方法を研究します。サリチル酸の-OHの部分(これが副作用の原因)のHをCOCH3(アセチル基といいます)に置き換え、副作用をなくしました。この分子をアセチルサリチル酸といい、薬「アスピリン」と名づけました。
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アスピリンは、石炭から取り出されるフェノールから完全に人工合成され、医薬品としてはじめて大規模な動物実験が採用されました。データを解析し、さらに商品としておしゃれなパッケージで包装され、大規模な宣伝をするなど、現代のドラッグストアに並ぶ医薬品のさきがけとなっています。それまで、薬草のような天然由来の薬ばかりだったのに対して、新たな薬の時代の到来を見せつける強烈なデビューでした。
20世紀に入るころに、ついに人類は分子の構造を変換して、望みの作用の医薬品をつくる時代に突入しました。映画「2001年宇宙の旅」の物語のように、類人猿から脈々と進化を続け、ついに新しいステージに導かれたのです。

●いまでも医薬品のベストセラーはアスピリン
20世紀、アポロ11号では、月に向かった宇宙飛行士たちが、”宇宙酔い”を予防する目的でアスピリンを携帯していました。アスピリンは、人類とともに月に行った医薬品なのです。
サリチル酸にどうして解熱や鎮痛の作用があるのか、長いあいだわかりませんでしたが、イギリスの薬理学者ジョン・ロバート・ヴェインが解明しました。痛みや発熱の引き金になる伝達物質(プロスタグランジン)の産出を抑える働きをするのです。ヴェインはこのメカニズムの解明で、1982年にノーベル生理学・医学賞を受賞しました。
現代でも、アスピリンは年間約1000億錠も売れるベストセラーの医薬品です。血栓や大腸ガンを予防する効果があることもわかっています。映画「ダイ・ハード3」でも大切な役割を担っています。

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どうでもいい、じじぃの日記。
ドイツの製薬会社は、昔はほとんど染料会社だったのだそうです。
アスピリン」の元の原料は、ヤナギの樹皮。
ヤナギの樹皮は、解熱鎮痛剤作用と炎症を抑える効果があったが、胃の粘膜を痛める欠陥があった。
アスピリンは胃への障害を取り除いたものだそうです。

「現代でも、アスピリンは年間約1000億錠も売れるベストセラーの医薬品です」

まだ、こんな薬草がどっかに埋もれているかもしれません。
フキノトウ苦み成分「ペタシン」が、がん抑制 増殖・転移を阻害」。というのがYouTubeにあがっていました。