じじぃの「アルミニウム・1円硬貨1個製造するコストは?ケミストリー世界史」

The Aluminium Story 1 - The Metal

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=-Hw37MjI7aY

1円硬貨


1円硬貨

ウィキペディアWikipedia) より
1円硬貨は、日本国政府財務省)が発行する、額面1円の硬貨である。通称1円玉(いちえんだま)。1円貨とも呼ばれる。本項では1955年(昭和30年)に発行を開始した1円アルミニウム貨を中心に扱う。
【製造】
1円硬貨1枚を製造するのにかかるコストは額面以上であり、2015年(平成27年)現在、1円硬貨の製造に約3円かかるとされる。また政府による貨幣発行益は2003年(平成15年)当時で1枚当り13円の赤字とされる。

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『ケミストリー世界史 その時、化学が時代を変えた!』

大宮理/著 PHP文庫 2022年発行

第12章 資本主義から帝国主義へ より

重商主義、そして産業革命による工業社会の到来は、資本主義というシステムを発展させ、新しい市民階級=ブルジョワジー(資本家)と労働者を生み出しました。ブルジョワジーとはフランス語の「ブール」(町・都市)からきた言葉で、日本語なら「町人」のようなイメージです。シェルブールストラスブール、ドイツだとハンブルクなど、もとは同じ語源です。
ブルジョワジーによる議会が、政治の中枢になります。フランス革命の到来とともに、アメリカ合衆国に次いで、地球上に新しいステージとなる近代民主主義が生まれます。

1855年 アルミニウムの棒――大量生産が可能となりアルミの時代が到来

●アルミ1グラムをつくる値段
いまでこそアルミホイルはどこの家にもあり、お弁当の盛り付けや魚の包み焼き、魚料理などに使われて大活躍しています。
しかし、ナポレオン3世の時代までは、アルミニウムはとてつもなく高価な金属でした。アルミニウム1グラム(1円硬貨と同じ量)をつくるのに、金1キログラムの値段に匹敵するくらいかかっていました。ナポレオン3世は、高貴な客人をもてなすときはアルミニウムの食器を使い、それ以外の客は金の食器でもてなしたほどです。
フランスの若い化学者アンリ・ドヴィルは、ナトリウムの利用してアルミニウムを製造する工業的な方法を見つけます。電気分解で得られた貴重な金属ナトリウム(Na)と塩化アルミニウムを反応させると、ナトリウムのほうが電子を出してアルミニウムイオン(AL3+)に電子を渡す電子のキャッチボール(酸化還元反応)が起こり、アルミニウムが生じます。
ただ、まずナトリウムをつくらなくてはなたないので、莫大なコストがかかります。ドヴィルは、1855年パリ万国博覧会に「粘土からつくった白銀色の金属棒」というキャッチフレーズでアルミニウムの棒を出品し、ナポレオン3世は巨額の研究予算をつけました。
ナポレオン3世は、鉄の甲冑(かっちゅう)の3分の1しか重量がないアルミニウムでできた軽い甲冑やアルミニウム製の軽量な火砲で武装された機動力の高い軍団を欲しがっていたのです。

●困難を極めたアルミ製造
アルミニウムは、電子を出して陽イオン(AL3+)になりやすく、自然界にはこのイオンのかたちで鉱石や粘土なぢに存在しています。アルミニウムの金属の粒が地中に埋もれているわけではありません。この鉱物中のアルミニウムイオンに電子を押しつけて、アルミニウムの金属にもどすのは容易ではありません。銅イオンや鉄イオンとは、くらべものにならないほど電子を受け取りにくいのです。
やがて、アメリカの青年とフランスの青年がそれぞれ別に、アルミニウムの大量生産の手法を発明してアルミニウムの時代が到来します。

1886年 アルミの大量生産――1キロ1万ドルが40セントにまで下がる

●同じ手法で同じ年に発明し特許を取得
アメリカのチャールズ・マーティン・ホールは大学生のとき、「アルミニウムを酸化アルミニウム(アルミナ)からつくる方法を発明すれば、世の中が変わり、大金持ちになれる」と聞いて、自宅に実験室をつくります。そして、23にして電気分解によるアルミニウム製造法を発明したのです。
電気分解するためには、酸化アルミニウムを高温で溶かし、バラバラのアルミニウムイオンと酸化物イオンにして(融解液)、電気を流す必要がありますが、酸化アルミニウムが溶けて液体になるのは2054℃でコストがかかりすぎます。
ところが、北アメリカで安価に手に入る氷晶石(ひょうしょうせき)という鉱石を約1000℃で溶かし、液体にしてから酸化アルミニウムを加えると、溶けてバラバラのイオンになるのです。ここに陰極と陽極を差し込んで電気分解すると、陰極から発射される電子がアルミニウムイオンAL3+に押しつけられて、金属のアルミニウムが生じます。
ホールは、この方法を1886年に発明して特許を取得、その後、アルミニウムの巨大企業になるアルコア社の前身を操業しました。アルコア社は、ナイアガラの滝の豊富な水力発電をもとに大企業になっていきます。
ホールと同じ1863年に生まれたフランスのポール・エル―もまた、パリの鉱山学校で学んだあと、ホールと同じ手法をなんと同じ年に発明し、特許を取得しました。

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どうでもいい、じじぃの日記。
粘土はアルミ(Al)とケイ素(Si)が水に溶け出してできたもの、だそうです。
だから、アルミは世界中どこにでも存在しているわけですが、中国が全世界の5割以上を生産しているのだそうです。
アルミニウムは酸にもアルカリ性の水溶液にも溶けます。だから、理屈上では中性にしておくと水酸化アルミニウムの白い沈殿物になり、濾過して分離すると酸化アルミニウム(アルミナ)となって取り出せるそうです。
今は、アルミニウムの大量生産が可能となっていて、1キロ当たり40セントにまでコストが下がっているのだとか。