じじぃの「科学・地球_408_退化の進化学・トカゲの眼・松果体」

Episode 13: The Third Eye

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=_JxI1XxHXrc

三つ目、あった。本当に痕跡程度ですね。


頭頂眼と松果体 ※トカゲが出ます

2015-11-19 ジルブログ
爬虫類と哺乳類が分化したのは今から2億年以上前ですが、共通項もちらほらあって、そのひとつが『頭頂眼と松果体
暗くなると眠くなりますよね?
それを司っているのが脳内にある松果体
で、トカゲには松果体の原始的な姿といわれている、頭頂眼があります(ほとんどは痕跡が残ってる程度のようですが……)
眼のように物が見える訳ではなく、明るさ・暗さを感じるだけみたいですが(^^;
いわゆる三つ目ではない!(笑)
https://ameblo.jp/jl4228/entry-12097464884.html

『「退化」の進化学―ヒトにのこる進化の足跡』

犬塚則久/著 ブルーバックス 2006年発行

第3章 哺乳類から――2億年前から より

頭のてっぺんにトカゲの眼――松果体

ヒトの脳の奥には上下にふくれた部位がある。下にふくれるのは下垂体、上にふれるのは形がマツカサに似ていることから松果体(しょうかたい)と名づけられた。松果体は腺組織をもつので松果腺ともいわれる。松果体メラトニンを分泌する。分泌量はほぼ1日周期で増減し、その周期を概日リズム、このはたらきを体内時計という。松果体は早くかた解剖学者の注意を引いていて、哲学者のデカルト(1596~1650)はここを精神の座とみなした。しかし比較解剖学からいえば、これは「トカゲの眼」なのである。
高さ30mにもなるシダの大木が生い茂る鬱蒼(うっそう)としたジャングル。あたりは昼間でも薄暗くムッとした空気がただよっている。花も咲いていなければ鳥のさえずりも聞こえない殺風景の中を、ときおりみかけるものといえば、体長35cm、羽のさしわたし75cmはあろうかというお化けトンボに、10cmもあるゴキブリ。流れに目をやると三つ目の両生類がじっとこちらを見上げている。――これが3億5000万年前の石炭紀の風景である。

三つ目ときけば三つ目小僧など想像上の化け物と思うだろう。しかし眼の数は2つと決まっているわけではない。ヒトの顔や身近な獣や鳥たちの眼がどれも2つのために、それがあたりまえと思っているにすぎない。本当は私たちヒトをふくめて脊椎動物の眼はもともと2対4個あったのだ。

脊椎動物の視覚器の原型は原索動物のナメクジウオの光覚器官に求められる。それは神経管の中心をとおる管の腹側にそった色素細胞と光細胞のセットである。小型で半透明のナメクジウオは体全体で光の明暗を感知している。
脊椎動物になると神経管の前端がふくらんで脳になる。この時にそれまで体の全長に散らばっていた光覚器官が頭のてっぺんと両側に集中することになる。現生でもっとも原始的な脊椎動物円口類では間脳の背面がふくれ出す。これが眼のような構造をもつ頭頂器官である。
ヤツメウナギでは2つの頭頂器が前後にならぶ。前方の頭頂眼(旁松果体眼)の神経は左側、後方の松果体眼は右側から発生するので、もともとこの2つは左右にあった可能性が高い。ただし、この段階の眼は光のくる方向しかわからない。
ヤツメウナギの頭のてっぺんには白い斑点があり、これが第3の眼、頭頂眼(正中眼)である。正中眼のある部分は組織が無色透明で、骨も薄いか頭頂孔という穴があいている。このため化石でも頭頂孔があれば正中眼をもっていたと推測できる。おそらくこれらの動物は水底に生きる不活発な動物で、頭のてっぺんの正中眼で上から襲ってくる敵を警戒し、左右の眼で脇をみていたのだろう。
円口類の先祖の甲皮類や板皮類には正中眼がある。ほとんどの魚類では退化するが、ツノザメや総鰭類にはある。古代の両生類や初期爬虫類にもあったが、三畳紀までにほとんど退化した。現生ではヘビ、カメ、ワニ類とも正中眼はなく、帰るやある種のトカゲ類にしかみられない。もっとも発達のよいのがニュージーランドにいるムカシトカゲで、角膜、水晶体(レンズ)、硝子体(しょうしたい)、網膜など真の眼の構造をそなえている。
高等脊椎動物では大脳半球がふくれて頭頂器官は完全におおわれてしまう。進化の過程で頚の動きが活発になると上の眼は不要となる。その結果、松果体は眼としての機能を失い、光に反応する内分泌器官となったのである。