じじぃの「大航海時代・ビタミンC・猛威をふるう壊血病!ケミストリー世界史」

人間はビタミンCを作れない!? 分子老化制御研究

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『ケミストリー世界史 その時、化学が時代を変えた!』

大宮理/著 PHP文庫 2022年発行

第9章 大航海時代 より

昔の船乗りたちは、赤道に行くと暑くて焼け死んでしまうとか、海の果てがあってそこから滝のように地獄に落ちる、と信じていました。
エンリケやディアス、ガマ、コロンブス、マゼラン……そして航海ビジネスに投資する王侯貴族たちの熱量はこれらの迷信をかき消して、アジアやインドに香料やスパイス、砂糖など嗜好品の分子を熱狂的に求めたのです。

1492年 新大陸に到達――大航海時代の世界一周は宇宙へ行くようなもの

●黄金の国ジパングで金を手に入れる
イタリアの海運都市国家ジェノバァに生まれた航海士コロンブスは、フィレンツェの地理学者トスカネリの地球球体説(地球は丸いので一周できるという説)に基づいたアジア海域の海図を見て、ヨーロッパから西に向かい、マルコ・ポーロが見つけた黄金の国ジパングに行って金を大量に入手するというビジネスを思いつきます。
スペインの援助を受け、サンタ・マリアを旗艦とした3隻で出港し、1492年、バハマ諸島(フロリダ半島キューバにある島々)に上陸します。やがて、インドとまちがわれて「西インド諸島」と名づけられ、原住民のことをインディアンを呼ぶようになってしまいました。現代から見ると通婚のミスですが、これが定着したのです。
コロンブスの2回目の航海は重要です。1493年、インディオがゴムボールで遊戯をしているのを発見し、はじめてヨーロッパにゴムが知られました。コロンブスはまた、カリブ海イスパニョーラ島にサトウキビをもちこんでサトウキビ栽培を始めました。
やがて、カリブ海から北米、南米にかけて、サトウキビ栽培の大規模なプランテーション農業が広がっていきます。

●猛威をふるう壊血病
大航海時代以前は、船は構造的に外洋の荒波に耐えられず、海岸沿いをチマチマと航行していました。寄港地も多いので、つねに新鮮な食料を調達することができました。
しかし、大航海時代になると、大洋の上で数ヵ月を過ごすようになります。広い大西洋や太平洋とくらべたら、地中海など水たまりのようなものです。当時の人たちにとって、大航海時代の遠洋航海、さらに世界一周は、私たちの時代でいえばまさに宇宙へ行くようなものだったのです。
1519~22年のマゼランによる世界一周の航海は成功しましたが、5隻の船で出発したものの、マゼランもフィリピンで現地人に殺され、帰ってきた船は1隻、残っている乗組員はわずか18人でした。亡くなった人たちのほとんどは、壊血病が原因でした。
大洋の横断などで船上生活が長くなり、新鮮な食べ物にも恵まれず1ヵ月くらいがたつと、歯茎から出血し、歯が抜け、体中にアザができて動けなくなり、あちことから出血し、感染症などで死にいたります。これが壊血病です。
あちこちで船乗りたちは壊血病に襲われ、ひどいときは1隻丸ごと船員が全滅して幽霊船になることもありました。壊血病の原因がわかったのは、ずっとあとのことになります。

第11章 産業革命と市民革命 より

1795年 壊血病の予防――壊血病はビタミンCの不足で起こる

●柑橘類を摂取すると予防できる
1753年、イギリスの医師ジェームズ・リンドが、新鮮な果物や野菜などが壊血病の予防になると発表しました。
しかし、当時は対策がとられなかったため、イギリス海軍では壊血病の発生が後を絶ちませんでした。
1795年(謎の浮世絵師、東洲斎写楽が活躍していたころ)、イギリス海軍医ギルバート・ブレインが柑橘類、とくにライムジュースやレモンジュースを摂取するように主張し、イギリス海軍で実行されると、魔法のように壊血病を撲滅することに成功しました。
壊血病はビタミンCの不足で起こります。ビタミンCの化学名はアスコルビン酸で、「a」(~ない、否定語)+ラテン語の「スコルブトゥス」(「壊血病」という意味)から名づけられた分子です。ビタミンCは柑橘類に豊富に含まれます。ビタミン類はヒトが体内で合成できないので、食物から摂取する必要があります。
当時のイギリス海軍の船には配給用のラム酒が積んであり、ラム酒にライムの果汁を入れたドリンクは海軍兵士をとりこにして、彼らの心を征服したのです。現代のカクテルもこういったレシピに起源をもつものが少なくないので、それぞれが背負った歴史を飲んでいることになります。
私たちが、ふたん何気なくふれているあらゆるモノ・コトが、これまで歩んできた人類の大きな営みとつながっているのです。

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どうでもいい、じじぃの日記。
若原正己著『ヒトはなぜ病み、老いるのか―寿命の生物学』の本によれば、ヒトの寿命は7つの要因からなるそうです。
7つの要因とは、テロメアミトコンドリア(酸化ストレス)、免疫能力、サーチェイン遺伝子、分子修復能、再生能力、そのほか心理的な要因だ。
最近、感じるのは意外と腸内細菌が寿命に関係しているのではないか。
人間の体には、多くの細菌がいて、一種の共生関係にあるのだとか。
細胞の活動に必要なエネルギーの90%以上はミトコンドリアで生産され、それぞれの細胞に供給されている。ミトコンドリアがしっかりと働いてくれることで、それぞれの細胞が元気よく役目を果たし、生命が維持される。
ミトコンドリアなんかも、もともと外部の細菌だったらしい。
ミトコンドリアは糖尿病も関係しているのだとか。