じじぃの「活版印刷の発明・実は金属活字は朝鮮でつくられていた!ケミストリー世界史」

朝鮮でつくられた金属活字 (復元したもの)


【写真】世界で最も古い金属活字本を完ぺき復元=韓国・清州市

2016.01.20 中央日報
韓国重要無形文化財第101号である金属活字匠の林仁鎬(イム・インホ)氏が世界最古の金属活字本で国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界記憶遺産である「直指心体要節」(略称「直指」)の上・下巻を完全に復元した。
19日、清州市(チョンジュシ)古印刷博物館の金属活字鋳造展示館で開かれた「直指金属活字復元事業結果報告会」で林氏が復元された「直指」の金属活字を手にしている。
https://s.japanese.joins.com/JArticle/211029?sectcode=400&servcode=400

『ケミストリー世界史 その時、化学が時代を変えた!』

大宮理/著 PHP文庫 2022年発行

第8章 ルネサンス より

1440年ごろ 活版印刷の発明――あらゆる知識のビッグバンが起こった

●中国よりヨーロッパで急速に普及
一文字ずつ彫って活字をつくり、それらを組み合わせて印刷することを活版印刷といいます。これを発明したのは中国・宋の時代(11世紀の半ば)、畢昇(ひっしょう)という人です。当時は、粘土で活字をつくって焼いて固めていました。
活版印刷は朝鮮にも伝わりましたが、普及しませんでした。活字の種類が漢字やいろいろなものをふくめると2万種類以上になり、多すぎて用意できなかったからです。また、文字で書かれたものは秘匿性が高く、大衆が見ないうちに処分しなければならないという宮廷と官僚システムの政治的な意向もありました。
ですから、活版印刷が広がることはなかったのです。しかし、中国の漢字が2万6000字以上あるのに対して、アルファベットは大文字、小文字それぞれ23文字(昔は26文字ではなかった)に、いくつかの記号があるだけです。ヨーロッパに活版印刷が伝わると、急速に普及していきますが、これは当然ともいえます。
現代でも、コンピュータプログラムが1と0の文字列に対応し、まずアルファベットを主体とした記号の列で対応させているのもわかる話です。2万字もある漢字の羅列に対応させたら、コンピュータが情報量の多さにオーバーヒートで自縛し、プログラマーは誰もならない職業になっていたでしょう。

●アジアでつくられた金属活字
朝鮮では13世紀から、銅を用いた金属活字がつくられ、活版印刷が行われましたが、中国同様にブレイクせずに停滞してしまいました。この要因の1つに、高度なテクノロジーを独占できる権力者が、民衆に情報を知らしめる必要がなかったことがあげられるでしょう。
どんなに優れたテクノロジーが誕生しても、社会のニーズに合致していなくては普及しません。石器時代の人びとにスマートフォンだけを渡しても、時代は変わらないでしょう。ヨーロッパは中国や朝鮮と違って、民衆に印刷物で普及しなくてはならない重要な本がありました。それが聖書です。

●グーテンベルグ活版印刷を実用化
ドイツのライン川添いの港湾都市マインツで宝石細工商を営んでいたヨハネス・ゲンツフライシュは、母方の姓をとりグーテンベルグと名乗っていました。グーテンベルグは1文字1文字を金属に刻み込んだ活字をつくっておけば、あとはそれを並べるだけで文章がつくれるので簡単に大量の印刷ができることを思いつきます。
グーテンベルグが彫金における金属加工の知識を用いて、鉛に少量のスズを加えた合金(のちに、さらにアンチモンを混ぜる)にすると、融点が低くなって溶けやすく、硬さ、インクへのなじみもいいことを発見しました。溶融した鉛とスズ(とアンチモン)の合金を鋳型に流し込み、金属製の活字をつくりました。
普通の金属は固まるときに縮むので、鋳型から少し外れて丸みを帯びたりします。しかし、アンチモンは固まるときに膨張する性質があり、鋳型の細かい隅にまで流れ込んだあと、固まるときに隅がしっかりとがった。シャープな活字ができます。その後、この3つの成分の合金が20世紀まで使われつづけたことを考えると、この合金を見出したことだけでも偉大な発明でした。
ワイン用のブドウの圧縮機を改造したプレス機もつくり、金属の活字を並べてつくった板に、油の煙か木炭粉の黒い成分をアマ二油(亜麻科の草、亜麻の種子である亜麻仁から採れる油)に溶かした油性のインクを塗ったあと、プレス機で紙を押しつけて印刷する活版印刷術というシステムを、1440年ごろに発明したのです。
1455年には、42行聖書といって、縦が42行で左右2段組み、1282ページの有名な活版印刷本が、羊皮紙と紙で180部ほど製作されました。
これ以降、急速にヨーロッパに活版印刷が広がります。この情報化革命で次々と本がつくられる時代になり、知識が広がる速度がとてつもなく速くなりました。このとき印刷されたグーテンベルグの聖書は48冊が現存するといわれています。

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どうでもいい、じじぃの日記。
中国の「宋」の時代、製鉄の技術革新によって農具、道具など、生活用品に鉄製品が広く使われ、産業革命が起きていた。
世界で初めて、活版印刷が行われたのも宋の時代だった。
朝鮮では、活版印刷用に金属活字がつくられた。
なぜ、イギリスのような産業革命がアジアで起きなかったのか、不思議な感じがする。