じじぃの「科学・芸術_718_世界の文書・グーテンベルク聖書」

世界最古の金属活字本

グーテンベルクの聖書

世界最古の金属活字本『直指』 2018/02/05 かたすみ速報
▲直指心体要節。ドイツのグーテンベルクより78年早く1377年、清州興徳寺で刊行された世界最古の金属活字本。
http://katasumisokuhou.blog.jp/archives/6844300.html
グーテンベルクのふしぎな機械 ジェイムズ ランフォード (著), 千葉茂樹(訳) 2013/4 Amazon
世界初の活版印刷機で本ができるまで、を描いたユニークな知識絵本です。
ぼろきれと骨から紙を。ススと亜麻仁油からインクを。
そして、鉛と錫から活字を……。
「本といえば写本」だった時代に、金属で活字を鋳造して印刷するという、画期的な方法を考案したグーテンベルク
羅針盤、火薬と並んで「ルネサンスの三大発明」のひとつといわれる印刷術の秘密に迫ります。

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『図説 世界を変えた100の文書(ドキュメント):易経からウィキリークスまで』 スコット・クリスチャンソン/著、松田和也/訳 創元社 2018年発行
グーテンベルク聖書 (1450年代) より
最初の発明は中国・高麗にずっと早く現われていたが、金属活字を用いた印刷機による近代印刷術の起源は、まさしくグーテンベルクによる聖書の印刷に遡ることができる。それは文書制作の性質を変え――そして世界を変えた。
木版印刷は6世紀の中国で発明された。一枚板の木版に墨を塗り、ひとつの頁を大量に複製できるようにしたものである。中国人はまたこの方法を改良して1040年代には各文字毎の版を創り出したが、このような技術の使用は限定的なものであった。と言うのも、中国語の書法には数千もの文字の版を創る必要があったからである。高麗は最も早く中国の木版印刷を導入した国で、また各文字に対応する金属活字を初めて創り出した国でもある。それは1377年に仏教文書『直指心体要説』を印刷するために用いられた。だがアジアの言語の文字体系は複雑過ぎ、むしろ金属活字は西洋のアルファベット言語の出版により適していた。
その大きな革新は1450年代、ドイツはマインツの金細工職人ヨハネス・グーテンベルク(1398-1468)が4年の歳月を費やして<ウルガタ>の精巧な版の制作のために新たな印刷手法を完成させたことにあった。<ウルガタ>とは4世紀のラテン語版聖書である。
少なくとも20人のインク塗れの助手と共に、グーテンベルクはその洗練された印刷技術をほぼ1から創り上げ、異なるインク、紙、工程を試し抜いて、ついに正解を見出した。伝統的な水性インクの代わりに最高品質の油性インクを選び、この上なく厳密な基準でそれを精製した。
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インクの刷りの均質性、割り付けの調和、その他の品質に優れる1286頁のグーテンベルク聖書(別名「42行聖書」「マザラン聖書」「B42」などとも呼ばれる)は傑作として賞賛された。
今日の学者によれば、160部から185部が制作されたと考えられているが、内48部が現存している。グーテンベルク聖書が印刷術に与えた影響は甚大で、情報革命を大いに促した。