じじぃの「科学・芸術_806_大図鑑・文字の発達」

Alphabet Phenicien (the Phoenician Alphabet)

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=qAjssqd9yt0

Sumerian cuneiform

『ビッグヒストリー大図鑑:宇宙と人類 138億年の物語』

デイヴィッド・クリスチャン/監修、ビッグヒストリー・インスティテュート/協力、オフィス宮崎/日本語版編集 河出書房新社 2017年発行

文字の発達 より

文字の登場は、最古の文明で経済活動を記録するために絵文字が使われはじめたときにまでさかのぼる。シュメールやエジプトの絵文字は、言葉、アイデア、音声を表すことができた。

文字表記のスタイルは、使われる素材に合わせてそれぞれ異なる進化を遂げた。シュメールの楔形文字では単純なV文字型の文字が使われたが、これは、柔らかい粘土に先のとがった筆記具を押しつけて書くためである。漢字の流れるような書体は、もともと竹の皮に筆で書いていたからである。アルファベットは、エジプトの東隣に住んでいた民族が30個ほどの象形文字を借用し、それを音声を表すために使用したことから生まれた。アルファベットには最初は子音を表す記号しかなく、後にギリシャ人が母音記号を追加した。
文字体系に関しては、古代の文書がたまたま残っているかどうかが決め手となるため、その起源を特定するのが難しい場合がある。シュメールの粘土板は何千年という歳月を生き延びて現在まで残っているが、竹に書かれた古代中国の文字はほとんど残っていない。
・紀元前3300年ごろ、絵文字をもとにしたエジプトの象形文字ヒエログリフ)は初めて用いられる。
・紀元前3000年ごろ、紙の原型であるパピルスがエジプトで発明される。
・紀元前2600年、インダス川流域で文字が発明されるが、これはまだ解読されていない。インダスの文字には約400の記号があり、右から左へと読んでいう。
・現存する最古の中国文字は、紀元前2500年のものである。
・紀元前2350年、メソポタミアアッカド人が楔形文字を簡略化し、記号の数を約600に減らす。
・紀元前1900年、クレタ島のミノア人が「線文字A」を発明する。エジプトとの交易がきっかけとなって生まれたこの文字は、主に帳簿をつけるために使われた。
・紀元前1450年、ミュケナイ人が線文字Aを改良して線文字Bを作り出す。これがギリシャ文字の最古の形である。
・紀元前1200年、フェニキア人が原シナイ文字のアルファベットを簡略化して、東地中海一帯に広める。このアルファベットは22の記号からなり、すべての子音を表していた。
・紀元前800年、ギリシャ人がフェニキア文字を土台に母音を加えて、完全なアルファベットを考案する。
・紀元前3世紀ごろ、エジプトにアレキサンドリア図書館が建設される。
・紀元前196年、エジプトでロゼッタ・ストーンに文字が刻まれる。文字はヒエログリフ、デモティック、そしてギリシャ語で刻まれたため、後世のエジプト文字解読に大いに役立った。
・西暦1世紀、ローマ人が冊子本を作成する。ページごとに分かれた最古の書物で、巻き物より読みやすい。
・西暦1世紀、中国で木版印刷術が発明される。
・5世紀、日本で中国文字(漢字)から2種類の表意文字(平仮名と片仮名)が作られ、日本人は3種類の文字体系をもつことになる。
・1408年、中国で「永楽大典」が完成する。ウィキペディアが生まれるまでは世界最大の百科事典で、1万1095冊に7000種類の記事が収録されていた。
・1440年ごろ、ドイツの出版業者ヨハネス・グーテンベルグが世界初の活版印刷機を製作する。このおかげで書物を大量生産でき、手ごろな価格で提供できるようになったため、識字率が向上した。