じじぃの「ウクライナ・なぜ対露非難決議で中国・インド・UAEは棄権したのか?国際時事」

【国連総会】ロシア非難決議を採択 ロシアは反対 中国は棄権

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ウクライナ侵攻 対露非難決議で中国、インド、UAEが棄権


ウクライナを巡る「中露米印パ」相関図――際立つ露印の軍事的緊密さ

2022/3/4 Yahoo!ニュース
【執筆者】遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)
◆対露非難決議を棄権したインドと上海協力機構
2月26日(アメリカ時間25日)、国連安全保障理事会(国連安保理)(15ヵ国)は「ウクライナに侵攻したロシアを非難し即時撤退を求める決議案」を否決した。

ロシアが拒否権を行使したからだが、注目すべきは「中国、インド、アラブ首長国連邦UAE)」の3ヵ国が棄権したことだ。

3月2日になると、国連総会は緊急特別会合を開き、「ロシアによるウクライナ侵攻に最も強い言葉で遺憾の意を表し、ロシア軍の即時かつ無条件の撤退とウクライナ東部の親ロシア派支配地域の独立承認の撤回も要請する決議」を141ヵ国の賛成多数で採択した。ロシアをはじめベラルーシ、シリア、北朝鮮エリトリアの5ヵ国が反対し、中国やインドあるいはパキスタンなど35ヵ国が棄権した。

2月26日の棄権国の中にUAEが入っている理由に関しては、3月3日の論考<習近平が描く対露【軍冷経熱】の恐るべきシナリオ>や2021年3月31日のコラム<王毅中東歴訪の狙いは「エネルギー安全保障」と「ドル基軸崩し」>で述べたように、イラクをはじめサウジアラビアやアラブ首長国聯盟など中東諸国は、アメリカと石油の供給などを巡って争っており、特にトランプが約束したサウジアラビアアラブ首長国連邦への武器輸出を、バイデンは一時凍結すると宣言したので、反バイデンの傾向が強くなっているからだ。

https://news.yahoo.co.jp/byline/endohomare/20220304-00284922

『同盟と対立の世界地図』

国際時事アナリスツ/編 KAWADE夢文庫 2022年発行

2章 経済圏を巧妙に主導し、世界を切り取る中国 より

中央アジアが中国とロシアの勢力争いの場となった理由とは? 上海協力機構の実態

2022年1月のカザフスタン騒乱は、カザフスタンをめぐるロシアと中国の駆け引きの場であったが、じつは他の中央アジア諸国でも、中露の暗闘が展開されている。
中央アジアの国々でロシア主導のCSTO(旧ソ連圏6ヵ国が加盟する軍事同盟、集団安全保障条約機構)に加盟しているのは、カザフスタンキルギスタジキスタンの3ヵ国だ。このうち、カザフスタンキルギスは、ロシア主導のユーラシア経済連合にも参加している。
いっぽう、中国が主導する「一帯一路」には、トルクメニスタンを除く中央アジアのすべての国が加入している。そして、中国とロシアが主導する上海協力機構に加盟している中央アジア諸国には、カザフスタンキルギスタジキスタンウズベキスタンがある。
カザフスタンキルギスタジキスタンの3ヵ国は、CSTOと上海協力機構の双方に加盟しており、中国とロシアの勢力争いの場になっている。これらの国のみなら、中央アジアのどの国も、ロシアと中国の双方からアプローチされているといっていい。
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じっさいのところ、中央アジアでの中露の駆け引きは、中国の優勢がつづいており、中国経済カザフスタンを取りこみつつある。「中国経済圏」入りしているのは、中央アジアキルギストルクメニスタンも同じだ。両国はすでに、人民元を両替なしで使える国になっている。
すべては、中国とロシアの経済力の差である。中央アジア諸国は、経済力に乏しいロシアより、豊かな中国の傘下に入りたいのが本音だが、中国に完全に寄りかかるのもリスクを伴う。だから、ロシアと二股をかけているのだ。また、カザフスタンはCSTO入りしていることで、中国の完全支配を免(まぬか)れているともいえる。

なぜ、対中包囲網の一員であるインドが上海協力機構に加盟しているのか? 上海協力機構の実態

上海協力機構の特徴のひとつは、インドが加盟を果たしているところだ。
インドはつねに中国との国境紛争を抱えているうえ、日本やアメリカからは中国包囲網の一員ともみなされている。さらに、宿敵のパキスタンも同じタイミングで上海協力機構加盟を進めていた。にもかかわらず、インドは2017年に上海協力機構に正式加盟しているのだ。
インドが加盟したのは、そこにメリットを見てとったからだ。上海協力機構にはテロ対策や国境警備の組織という一面がある。テロリズムや分離主義、過激主義に対して共同で厳しく当ろうとしているのだ。
じっさい、上海協力機構の主要国である中国とロシアは、国内にテロリズムや分離主義の芽をはらんでいる。アフガニスタン方面からのイスラム過激派の国内流入は脅威となっているし、中国、ロシアとも少数民族を力で押さえこんでいる。中国は新疆ウイグルチベットで独立を強圧的に封じているし、ロシアもまたチェチェンを力で押さえこんだ。
ゆえに、中国とロシアは、対イスラム過激派、独立勢力の封じこめという点で連携ができた。その連携が上海協力機構となっていたのだ。
インドもまた、中国やロシアと同じ悩みを抱えている。イスラム過激派のテロは脅威となっているし、分離勢力も水面下で活躍している。インド単独では、こうしたテロや分離勢力の押えこみには限度があるから、上海協力機構に依存したのだ。
インドの狙いは、中国を宥(なだ)めることにもある。インドが上海協力機構を無視すれば、中国が上海協力機構を使って圧力をかけてきたり、嫌がらせをしかねない。中国からの圧力をやわらげるためにも、インドにとって上海協力機構への加盟は悪い選択ではないのだ。