じじぃの「ウクライナ・なぜ中国とロシアの団結は中国のみに利益をもたらすのか?国際時事」

忍び寄るデジタル人民元の脅威 ウクライナ戦争の影で=専門家

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https://www.youtube.com/watch?v=HnaXicyJEoE

ロシアのルーブルと中国の人民元


人民元ルーブル取引が1067%増! アメリカの制裁により広がる非ドル経済圏

2022/6/3 Yahoo!ニュース
【執筆者】遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)
ブルームバーグの計算によると、5月のモスクワのスポット市場では、これまでに約259億1000万元(39億ドル)がルーブルと交換されており、これは、ロシアがウクライナを侵略した2月のほぼ12倍になっているとのこと。

香港のブルームバーグ・インテリジェンスの政策担当者は「人民元ルーブル取引は人民元の国際化でさらに上昇するはずであり、戦争はそれを加速させた。ロシアは人民元で、より多くの貿易を行い、より多くの人民元準備金を保有するだろう」と語ったという。

EUが石油や天然ガス輸入禁止を強化する中、ロシアは中国の需要により、その損失を相殺し、それが人民元ルーブル取引の追い風になっている。
https://news.yahoo.co.jp/byline/endohomare/20220603-00299148

『同盟と対立の世界地図』

国際時事アナリスツ/編 KAWADE夢文庫 2022年発行

2章 経済圏を巧妙に主導し、世界を切り取る中国 より

なぜ、中国とロシアの団結は中国のみに利益をもたらすのか? 中露協調の実情

中国とロシアは、反米という点、独裁者同士の国というところでは緊密だ。けれどもそれは表面上のことであり、中国とロシアの関係の実情をみるなら、中露の団結は中国が利するのみとなっている。中国は「一帯一路」や上海協力機構を利用しながら、ロシアを食い物にしているのだ。
その典型が、先に述べた「中欧斑列」(中国と欧州を結ぶ鉄道コンテナ定期輸送サービス)だ。「一帯一路」のエンジンである中欧斑列は、中国とヨーロッパを結ぶ陸上輸送となっている。当初、中欧斑列はモスクワを経由していたが、やがて中央アジアルートがメインとなり、ロシア領を通過することは少なくなっていった。
それと反比例するように、中欧斑列の輸送は大きく伸び、中国経済に利益を与えたのである。「一帯一路」の主役である中欧斑列は中国の繁栄に役立ちはしても、ロシアにはほとんど何ももたらさなかったのだ。
中欧斑列の大成功は、ロシアのシベリア鉄道を衰退させた。かつてユーラシア大陸の大動脈だったこの鉄道は、ロシアが鉄道の近代化に不熱心だったこともあって、中欧斑列に成長に圧倒されたのだ。
たしかに、中国とロシアにはウィン・ウィンの関係もある。中国はロシアの原油天然ガスを欲し。ロシアは中国に原油天然ガスを売ることで稼いでいる。しかし、この経済関係にあっても、大きく成長したのは中国のみで、ロシア経済は停滞していた時代が長かった。ここでも、ロシアは中国の巨大化に貢献するだけであったのだ。
現在、中国のGDPはロシアの10倍にも達していて、経済力は比較にもならない。1人あたりのGDPにしろ、中国がロシアを追い抜いており、経済面でロシアは完全に中国の後塵を拝しつつある。
中露の経済関係は、いまや完全にロシアの中国依存というかたちになっている。中国はロシアの最大の貿易国であり、ロシアの貿易全体のおよそ17パーセントが中国相手のものだ。これに対し、中国の貿易全体でロシアが占める率はわずか1パーセントでしかない。
さらに、中国製の通信機器はロシア国内に浸透している。将来、中国が通信分野の派遣を握ったら、ロシアは完全に中国に従属させられるのだ。さらには、ロシアが「デジタル人民元経済圏」に組みこまれても不思議ではない。
すでに述べたように、中国は旧ソ連領である中央アジアの国々に深く入りこみ、「中華経済圏」に組みこんでいる。ロシアの経済が不振つづきともなれば、中国経済の影響力はロシアでさらに強まり、中央アジアどころか、ロシアも「中華経済圏」に組みこまれかねない。