じじぃの「科学・地球_350_健康の世界ハンドブック・飢餓と肥満」

Diabetes Type 2 Prevalence by Country, Region and World since 1990

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=vhw2JKN1qcQ


世界の糖尿病の有病率ランキング

4月 26, 2022 fumiblog
日本でも非常に多くの糖尿病患者が存在しています。現代病の一つで、糖尿病による様々な合併症を引き起こす可能性があり、非常に危険な病気の一つです。
世界では糖尿病患者がどのくらいいるのでしょうか?
糖尿病の有病率世界一はマーシャル諸島、世界二位はキリバス、世界三位はスーダンです。
https://fumib.net/diabetes-02/

『地図とデータで見る健康の世界ハンドブック』

ジェラール・サレム、フロランス・フルネ/著、太田佐絵子/訳 原書房 2022年発行

世界へのアプローチ より

健康のアトラスが、グローバルなアプローチなしですますわけにはいかないだろう。データがかならずしも比較可能なものではなく、国内の格差が国内平均値を無意味なものにしているとしてもである。本書のタイトルは、世界の健康をめぐる状況の一致点と不一致点を示というす意図を示している。平均余命、栄養状態、慢性病、医療の提供、母体の健康など、ほとんどすべてに関連性があること、そして健康とその決定要因への包括的なアプローチが必要であることはいうまでもない。
とはいえ本書では指標ごとに作業を進めて現状を示し、健康のダイナミズムを理解すること、すべての政策で健康を考慮に入れること、最重要課題の定義のむずかしさ、医療制度の持続性などの重要な問題を紹介している。
そして、特定の集団、疾患グループ、ニーズへの対応という観点から、現在のおもな健康問題に関連する指標を順次とりあげていく。

飢餓と肥満――理不尽な世界

国民の栄養状態の指標は、世界の格差をもっともよくあらわすもののひとつである。量的にも質的にも食糧安全保障を確保することができる能力が社会にあるのか、そして栄養状態が国民の健康状態にどんな影響をおよぼすかについて問いかえる必要がある。

やせすぎと太りすぎの対立

慢性的な栄養失調あるいは過体重の状態は、過去のライフスタイルの集大成であると同時に、深刻であるかもしれない現在のりすく、将来の健康問題を予測する尺度、さらには早死にのリスクを示している。
世界の栄養状態の指標は、おそるべき世界の現実を描き出している。急性や慢性の栄養失調の問題と、過体重や肥満の問題が共存しているのである。それは栄養失調の二重負荷とよぶべきものだ。

栄養失調の二面性――やせすぎと太りすぎ

栄養状態の地図は、その全体像を明確に示している。
・世界の飢餓を示す地図では、高所得国と低所得国のコントラストがほとんどはっきりしているが、アフリカは、地理的な位置より政治的、社会的状況が優先するパッチワークのように見える。世界では、栄養失調の有病率が全体的に減少しているが(2000年に14.8パーセントだったが、2015年に10.7パーセントになった)、人口が増加しているので、実数は高いままであるということだ。
・しかし世界の肥満有病率を示す地図は、栄養失調の地図の正反対というわけではない。北アメリカとオーストラリアは肥満がきわめて多いが、マグレブ[北アフリカ北西部のアラブ諸国]やマシュリク[エジプト以東のアラブ諸国]の国々も高い有病率を示している。一方、ヨーロッパ、アフリカ、南アジアは、開発レベルに格差があるにもかかわらず、有病率はまだそれほど高くない。

病理学的な栄養状態は、糖尿病、心血管疾患、がんなど、多くのよく知られた公衆衛生の問題や、なおざりにされがちな口腔の健康の問題にもかかわっている。
WHOによれば、2016年には世界の人口の半数(35億8000万人)が、口腔と歯にかかわる疾患をかかえていた。主として永久歯の虫歯だが、歯が失うことになりかねない歯周病は、もっとも世界に広がっている疾患のひとつかもしれない。これらの問題は、糖類とアルコールの過剰摂取や喫煙、歯の衛生状態の悪さとフッ化物の塗布不足などによるものである。高額な治療費が予防や治療のさまたげとなっていることから、社会的偏見や自尊心喪失の原因にもなりかねない。口腔の健康は、社会的格差にかかわる問題であるにもかかわらず、あまりにも軽視されている。