じじぃの「科学・地球_43_SDGsの世界ハンドブック・食糧事情・不平等(格差)な世界」

Map of the least developed countries

Coronavirus: Five of the countries most at risk from famine in 2020

22 April 2020 BBC NEWS
●Yemen's humanitarian crisis near breaking point
"As conflicts become longer, more and more people become vulnerable", the WFP's Chief Economist and Director of Research, Assessment and Monitoring Division, Arif Husain, told the BBC. "In 2016 in Yemen, we were maybe assisting three or four million people. Today that number is 12 million."
https://www.bbc.com/news/world-52379956

『地図とデータで見るSDGsの世界ハンドブック』

イヴェット・ヴェレ、ポール・アルヌー/著、蔵持不三也/訳 原書房 2020年発行

19 持続可能な開発からほど遠い不平等な世界 より

地球上に住む人々のあいだにはつねに大きな不平等(格差)が存在してきたが、その一部はなおも増幅しつづけている。25年前には最貧困層(10%)の約7倍であったOECD諸国における最富裕層(10%)の可処分所得の平均は、今日では約9.5倍となっている。衛生環境や食生活の分野において改善こそみられるものの、社会的不平等は顕著である。極度の貧困状態で暮らす人々の数はここ30年で10億あまりに減少した(世界銀行調べ)。2005年から2015年にかけての10年間で、栄養失調状態にある人々の数は10億から8000万になった。とはいっても、環境問題(生物多様性の劣化、気候変動ないし温暖化、海洋汚染)は山積しており、これらは不適切で容認しがたい管理の仕方に起因する。人類全体としては持続可能な開発のスタンダードから今もほど遠い状況にあり、最貧困層は社会的・経済的な機能障害のあおりを真っ向から受けている。それゆえ、貧困の削減と根絶は持続可能な開発目標の核心をなすものといえる。

32 世界の食糧事情における不平等 より

これまでの歴史でいく度となく生じた飢饉は、多くが武力紛争に起因するものだった。今日、世界では地球の総人口76億人の人々に供給するのに十分な食糧が生産されている。にもかかわらず、2017年には8億2000万人が栄養不良・欠乏状態にある。同時に、肥満の傾向にある人の数もまたしだいに増加している。こうした状況をもたらしているのは、おもに政治・経済的理由なのである。

飢餓の終焉

非常に多くの人々を死にいたらしめる極度の飢餓は、人々を衰弱させこそするが、大量の死者を出すことはない食糧難と区別されなければならない。飢餓と、栄養不足やカロリー摂取が十分でない「目に見える飢え」を分けて考える必要があるということである。栄養失調とは、栄養不足ないしバランスのくずれた栄養摂取のことをいう。20世紀には政治的要素と武力紛争によって大規模な飢餓が引き起こされ、多数の犠牲者が出た(1921-22年におけるロシア、1959-61年における中国、1960年代のビアフラなど)。スーダンは今もなおそうした状態にある。

世界における飢え

2007年から17年のあいだの10年において、栄養不良の状態にある人々の数は、2014年からゆるやかな上昇傾向にあるものの、10億人から8億2000万人に減少した。

栄養不良は主として開発途上国(サハラ以南のアフリカ)にみられる。これらの地域では1人1日あたり2000から2500キロカロリーの摂取に十分な食物を確保することのできない人々を、「目に見える飢え」が脅かしている。

この「目に見える飢え」は「目に見えない飢え」(ミネラル・ビタミン不足)と区別しなければならないが、2017年には1億5600万人の5歳未満児に栄養失調による発育の遅れがみられ、5000万人の子どもが栄養不老による生存の危機にある。「目に見える飢え」と「目に見えない飢え」は、富裕国の食糧援助を必要とする一部の人々にもかかわる問題である。