じじぃの「科学・地球_51_SDGsの世界ハンドブック・気候移住・海面上昇」

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動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=dBs_K59K6GY

What's happening to Tuvalu sea level?

Skeptical Science
Because the coral atoll of Funafati, Tuvalu is densely populated and generally less than 3 metres above sea level, this small island nation in the Pacific is often the subject of intense media speculation about the impact of rising seas.
The atoll is likely to begin to be overtopped by the sea sometime between mid to late 21st century, however Tuvaluans have often featured in the mainstream media claiming to be already experiencing the detrimental effects of sea level rise. Scientific studies to support these claims has been have been hard to find, but now a recently published study vindicates what many Tuvaluans have insisted all along - sea level has risen rapidly around Tuvalu.
https://skepticalscience.com/Tuvalu-sea-level-rise.htm

『地図とデータで見るSDGsの世界ハンドブック』

イヴェット・ヴェレ、ポール・アルヌー/著、蔵持不三也/訳 原書房 2020年発行

19 持続可能な開発からほど遠い不平等な世界 より

地球上に住む人々のあいだにはつねに大きな不平等(格差)が存在してきたが、その一部はなおも増幅しつづけている。25年前には最貧困層(10%)の約7倍であったOECD諸国における最富裕層(10%)の可処分所得の平均は、今日では約9.5倍となっている。衛生環境や食生活の分野において改善こそみられるものの、社会的不平等は顕著である。極度の貧困状態で暮らす人々の数はここ30年で10億あまりに減少した(世界銀行調べ)。2005年から2015年にかけての10年間で、栄養失調状態にある人々の数は10億から8000万になった。とはいっても、環境問題(生物多様性の劣化、気候変動ないし温暖化、海洋汚染)は山積しており、これらは不適切で容認しがたい管理の仕方に起因する。人類全体としては持続可能な開発のスタンダードから今もほど遠い状況にあり、最貧困層は社会的・経済的な機能障害のあおりを真っ向から受けている。それゆえ、貧困の削減と根絶は持続可能な開発目標の核心をなすものといえる。

68 気候移住とはなにか? より

武器を用いての紛争は世界中で多くの犠牲者を出しているが、それがもたらす環境の劣化や破壊もまた、伝染病や飢餓、栄養失調などを生み出している。紛争は住民の国内外への移動(や移住)を余儀なくさせる。こうした移動は、利用可能な資源に影響をおよぼす気候変動によってさらに深刻化することがある。

「環境難民」/「エコ難民」/「気候難民」

日常語にくわわった「環境難民」、「エコ難民」、「気候難民」といった表現と、近い将来におけるこれらの「難民」の数についての試算は、地球温暖化の影響を分析する際に重要な位置を占める。たとえば、国内避難民監視センター(IDMC)[ノルウエー難民委員会(NRC)に属する研究機関。本部はジュネーブ]と国連難民高等弁務官(UNHCR)の推測によれば、2008年から14年のあいだに、毎年すくなくとも2250万人が直接的脅威、もしくは彼らの安全、居住環境、生活手段に害する洪水、地すべり、暴風雨、火災、猛暑のために避難を強いられているという。これら激甚的な異常気象(サイクロン、暴風雨など)が気候変動の影響によるものかどうか定かではないが、一連のデータは気候変動にともなって深刻化するプロセスの検討を可能にしてくれる。サヘルやブラジル北東部では、かねてより人口移動がみられたが、それは旱魃の結果生じる砂漠化の影響をこうむる、これらの地域の「自然な」気候変動にともなうものだった。

海面上昇

低地の沿岸部は、21世紀に入ってから、地球温暖化の度合いによって20cmから1mの範囲での海面上昇の影響を直接受けている(国連気候変動に関する政府間パネル[IPCC]の2014年および2018年のデータによる)。たとえば海抜が非常に低く、面積が1km2に満たないような島をふくむ太平洋諸島(フィジー諸島、ツヴァル、トンガ王国キリバスなど)やインド洋の島嶼部(モルディブなど)がこれにあたる。

2050年までのこの地域における強制的な気候移民の数は、推定で10万人から200万人と大きなばらつきがあるが、それはこれらの小さな島々が将来どうなるかが非常に不透明だからである。いくらかのケースにおいては、環境要因が移住を増長させるかもしれないが、移住事態は目新しいことではない。
たとえばツヴァルの住民(約1万人)の移住行動は、厳密な意味での気候を原因とする移住以上に、古くからしばしばみられた家族的戦略、すなわちリスクの軽減、とりわけ経済的なリスクを減らそうとする考えなどに由来する。この狭隘な空間に住む人々にとって移住は伝統的なものであり、海面上昇や気候条件の悪化よりずっと以前から存在する。これらの小国はときにこうした状況を巧みに利用する。さまざまな基金や援助の恩恵に浴したり、国際舞台で重要な位置を獲得したりするのである。国連安全保障理事会非常任理事国となるために太平洋の小国の支援を必要とする、ドイツによる「災害外交」なまさにこのような文脈において生まれた[2018年6月、ドイツは国連安全保障理事会非常任理事国に選出された]。
ただ、これらの島々のすべてが海面上昇の影響によって消滅するわけではない。火山活動から生まれた島々のなかには、海抜が上昇しているものもある。