じじぃの「知りたくない話・好酸球性髄膜脳炎・脳に住み着く虫の話!禁断の世界」

総合診療医 ドクターG 4月12日 - 170412

動画 dailymotion.com
https://www.dailymotion.com/video/x5l2cvn

総合診療医ドクターG 「突然 けいれんが」

2017年4月12日 NHK
【出演】浅草キッド(玉ちゃん、水道橋博士) 【ゲスト】おのののか、荒俣宏
若い女性が亡霊に取り憑かれたように痙攣を起こした。
はたして最終診断結果は何なのか?亡霊を見せた病気の正体は?
https://yonta64.hatenablog.com/entry/doctorg/2017-0412-%E8%84%B3%E7%82%8E

『科学で解き明かす 禁断の世界』

エリカ・エンゲルハウプト/著、関谷冬華/訳 ナショナル ジオグラフィック 2022年発行

パート4 嫌な生き物たち より

#22 脳に住み着く虫の話 目の中の虫より怖い話

2010年、19歳のオーストラリア人、サム・バラードは、パーティーで友達にけしかけられてナメクジを飲み込んだ。数日後、彼は足に痛みを感じ、やがて昏睡状態に陥った。1年以上たってから意識を取り戻したときには、首から下が動かなくなっていた。重い障害が残った彼には24時間の介護が欠かせなくなった。そして2018年の終わりに、バラードはこの世を去った。犯人はナメクジについていた広東住血線虫と呼ばれる寄生虫だった。これは半透明の小さい寄生虫でで、人間の脳内に入りこむことがある。

読者の皆さんがどう思うかはわからないが、私は脳に虫が侵入してくるほど怖い病気はないと思う。そんなところに入り込まれてしまえば、捕まえてつまみ出すわけにもいかない。ただし、ほとんどの患者は治療を受けることなく自力で回復する。免疫が寄生虫を死滅させるからだ。しかし、バラードのように不運なごく一部の患者は、好酸球性髄膜脳炎と呼ばれるまれな病気を発症し、脳に回復不能な損傷を受けることもある。

バラードがかかった広東住血線虫症は、世界中でおよそ3000例の報告がある。名前を見ればわかるように、広東住血線虫(Angiostrongylus cantonensis)は、ネズミ(rat)の肺(lung)の中にいる。線虫は感染したネズミがせきと一緒に幼虫を吐き出し、別のネズミがそれを吸い込んで感染が広がる。線虫はネズミの消化管でフンに卵を産みつける。そのフンをカタツムリやナメクジが食べると、線虫の幼虫は動きが緩慢な新しい宿主の体の中でしばらくの間成長する。
線虫が卵を産むには再びネズミの体の中に戻らなければならないが、たいていは感染したカタツムリやナメクジをネズミが食べることで目的が果たされる。ネズミの体内に戻った線虫の幼虫はまず脳に向かってそこで成虫になり、心臓と肺を結ぶ肺動脈に移動する。心臓から押し出される血液の波がしょっちゅうやって来るといういかにもふさわしくない環境で、線虫は交尾をする。
人間がナメクジやカタツムリを食べたときに悲劇が起こる理由は、このような線虫の成長過程にある。ネズミの場合と同じく、飲み込まれた線虫はまっすぐ脳に向かう。線虫は脳を守る関門を突破することがあるが、いったん中に入ってしまうと今度は出られなくなる。そうなると、線虫が脳の中に潜りこみ、脳を傷つけたり、免疫反応による炎症が起きたりする。
脳の中で線虫が死ぬと、炎症はさらに悪化する。治療に抗寄生虫薬が使われることが少ないのはそのためで、症状を抑えて体の免疫系のはたらきを高める治療が行われる。寄生虫に感染した人が重度の髄膜炎を起こすことはめったにないが、髄膜炎になると命を落とすことも多い。
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ほとんどの種類のカタツムリやナメクジは、広東住血線虫を媒介する可能性がある。カタツムリやナメクジがこの線虫に感染しても、はっきりした症状は出ないため、宿主となっている動物を突き止めるのは不可能だ。「カタツムリにはたくさんの寄生虫がいる」と話すのは、フロリダ南部の広東住血線虫の分布を調べているフロリダ大学寄生虫学者ヘザー・ストックデール・ウォルデンだ。「寄生虫は他の動物のエサになりそうな宿主を求めている。そして、カタツムリは鳥など多くの動物に食べられている」

世界中に広がる

生のナメクジを食べないようにするなんて簡単なことだと思われるかもしれないが、生野菜にくっついている小さいやつを気がつかずに食べてしまうこともあるということを忘れないでほしい。それに、野菜をナメクジがはった跡に寄生虫が残っている可能性だってある。「野菜を生のまま食べるときはしっかり洗い、飲み物や液体の入った容器はカタツムリやナメクジが入り込まないようにふたをする」ことを勧めるのは、CDC寄生虫病部門の疫学チームでリーダーを務めるスー・モンゴメリだ。「家の周辺や庭でカタツムリやナメクジ、ネズミを見つけるたびに退治すれば、リスクは減る」と彼女は付け加えた。オーストラリアやニューオーリンズの感染例を考えれば、そこら辺にいる生き物を食べてはいけない。挑発にはやたらに乗ってはいけないと子供に教えるのもいいかもしれない。
広東住血線虫を口実に、庭の植物を食い荒らすナメクジを退治したいと思うなら、方法はいくらでもある。1つの方法は、塩をかけることだ(植物にかからないように気をつけること)。そうすると、ナメクジは体の水分を失って死ぬ。あるいは、わなを仕掛けてもいい。市販のわなにビールを入れておくと、ナメクジが引き寄せられて中で溺れる。ナメクジの活動が一番活発な夕方に外に出て、片っ端からつぶして回るという原始的なやり方もある(死んだナメクジをネズミやペット、あるいは野生の動物が来るような場所に放置しないこともポイントだ。他の動物がナメクジを食べてしまうかもしれない)。
北部で暮らしているからといって、安心はできない。米国の南部以外の地域にも、遠からず広東住血線虫がやってくるかもしれない。「温暖化による気温上昇に伴って、カタツムリは北上している」とウォルデンは言う。「やって来るのは時間の問題だ」

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どうでもいい、じじぃの日記。
約5年前、NHK 総合診療医ドクターG 「突然 けいれんが」を観た。
今回の患者は、戸坂みどりさん25歳。
救急搬送され意識も虚ろな状態。
病院到着1時間前。夜中突然大声を上げ、倒れ込んで5分程度の痙攣が起きた。
最終診断結果は、「傍腫瘍性辺縁系脳炎」だった。
2008年に発表された新しい病気。
子宮に卵子が勝手に増殖した腫瘍が出来、その腫瘍を攻撃する免疫が間違って、脳を攻撃して炎症を起こしてしまったもの。
みどりさんは、腫瘍を摘出し数年かけてリハビリに取り組んでいる。

脳に住み着く虫の話 目の中の虫より怖い話

犯人はナメクジについていた広東住血線虫と呼ばれる寄生虫だった。これは半透明の小さい寄生虫で、人間の脳内に入りこむことがある。

好酸球性髄膜脳炎と呼ばれるまれな病気を発症し、脳に回復不能な損傷を受けることもある。

突然、体がけいれんを起こして倒れることがある。
ひと昔だったら、狐憑(きつねつき)と呼ばれていた症状だ。
タツムリの広東住血線虫が脳を侵す。
よい子は、かわいいと思ってカタツムリやナメクジを食べないようにしましょうね。
親にとって、知りたくない話かもしれない。