Met Police video shows tactics to disrupt moped enabled crime
Moped Enabled Crime - Update
Blue Bermondsey
Moped thefts have increased by 50% in the last 2 years and are now increasingly being used for other crimes, such as phone snatches.
The Metropolitan Police Service (MPS) are working with partners to help try and bring an end to this increasing crime trend. As a result of this, the MPS have put together a toolkit for businesses, to provide advice and guidance on what to do in certain situations regarding moped crime.
https://www.bluebermondsey.co.uk/moped-enabled-crime-update/
『世界を変えた100のポスター 下 1939-2019年』
コリン・ソルター/著、角敦子/訳 原書房 2021年発行
099 2輪の引ったくり より
Moped Thieves[2017年]
2016年のロンドンでは新手の犯罪が急増した。自治区のハクニーはロンドンの小区画にすぎないが、ここでの2輪によるいわゆる引ったくりの被害は1846件にもなっていた。ロンドン警視庁はスマートフォンに気をとられている人に、被害に遭う危険性をどのようにして理解させたのだろうか。
犯罪とは携帯電話の窃盗だった。自転車やスクーター、原付に乗った犯人が、通行人の手から携帯電話を引ったくっていたのだ。そうした場合被害者は携帯の画面に夢中になりすぎて、接近する窃盗犯が目に入っていない。混雑した首都での犯行は容易だった。強盗犯は大胆にも歩道にまで乗り上げて目当てのものを奪っていった。
この手口はべつに新しくはなかった。イタリアといえばスクーターのヴェスパの生まれ故郷だが、21世紀には、スクーターに乗った若者がエンジンをうならせながら旅行者の後ろに迫り、ハンドバッグやカメラのストラップを鋭いナイフで手際よく切断しては戦利品を手に走り去っていた。
2016年の暮れ近くになると、2輪の引ったくりはそれまで以上に厚かましくなった。目抜き通りの宝石店にまで乗りつけ、斧でショーウインドウをたたき割って、高額な盗品をもって逃げるようになったのだ。宝石店にまで手を出すとあってはロンドン警視庁も本腰を入れて、2輪窃盗犯の脅威と対決せざるをえなくなった。
だが、局地的な犯罪多発地域にいる人の注意を引いて、これもまた政府の退屈なお知らせではないとわかってもらうためには、どうしたらよいのだろうか。おそらくは賞賛されているグラフィティ・アーティストのバンクシーからヒントを得たのだろう。警察もステンシルアートに目をつけた。スクーターの2人組窃盗犯のシンプルなステンシル画は、「2輪の引ったくりにご用心」、という短い言葉と組み合わされている。この文字は歩いていてもよく読める。2018年には基本的に同じ画像がちらしとポスター、そしてとくに期間限定のバナースタンドに使われた。警察はロンドン地下鉄の出入り口に注目した。通勤客がエスカレーターの乗り降りに集中しなければならない場所だからだ。
キャンペーンの効果はあったのだろうか。2018年の半ばには2輪車の窃盗件数は22パーセント減り、通報された2輪車による引ったくりの件数は55パーセント減少した。2輪にパトカーをぶつけられて窃盗犯が転倒する、というドライブレコーダーの息をのむ動画もあった。成功の理由がポスターなのかその動画なのかは不明だ。