じじぃの「青酸カリ・物真似犯人(コピーキャット)!完全犯罪を狙った奴ら」

女性ばかりを狙う死んだはずの殺人鬼が蘇った…『コピーキャット』【映画紹介】

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=jtWcK7WniUY

『完全犯罪を狙った奴ら』

M・ウルフ&K・マダー/著、秋岡史/訳 扶桑社 1997年発行

タイラノール・コピーキャット より

正体不明の犯人が街を徘徊して殺人事件が続くと、新聞やテレビは、競ってセンセーショナルな見出しや過激なストーリーで報道し、犯行の手口を紹介する。
しかし、もし、誰かを殺したいと思う人間がいれば、マスコミで詳しく説明される犯人の巧妙な殺人技術を利用して、これに便乗して人殺しをし、警察には同じ犯人の仕業だと思わせようと考えるかもしれない。そうすれば、万一犯人が捕まったとしても、そして犯人が自分の犯行を認めてその殺人だけを否定したとしても、逮捕を逃れる可能性は大きいのである。
当然ながら、この考えを実際に行動に移すとなると、想像よりもずっと難しい。警察は、偽物の犯人が”自白”することも十分予想しているので、ほとんどの事件では、犯行の決定的な証拠の部分は公表しないのである。そうすれば、もし、有名になりたい一心で名乗り出るおかしな奴が来ても、警察は、犯行の一つひとつを詳しくチェックできるからである。もちろん、”コピーキャット”(物真似犯人)のことはおくびにも出さない。そういうわけで、一見同じような犯罪が発生しても、犯人が公表されない事実を知らない場合には、警察では、真犯人はほかにいると考えるのが常識なのである。
さらに、真似る側にとっては、犯行の手口が簡単で目立つ特徴が少ないほうが好都合である。このような場合、警察も、まさにコピーキャットが街を徘徊しているとは考えないからである。
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ブルースと一緒にアルコール依存症の治療講座に参加したステラは、興味深い情報を掴んだ。アルコール依存症の回復期にある人が禁酒に失敗した場合、ほかのもっと毒性の高い薬物依存症に陥りがちだというのである。そこで彼女は、コカイン、ヘロイン、メタンフェタミンなどの、毒薬としての効果を書いた小説を読み漁って、致死量がどれくらいかを調べはじめた。そして、誤って致死量を飲んだと言っても警察が信用する量はどれくらいかを検討したのである。
ワシントン州は、雇用主として、ブルースに3万1千ドルの生命保険を掛けていた。もし、ブルースが事故死すれば、保険金額にさらに10万5千ドルが上乗せされることにもなっていた。しかし、ステラは、殺人の危険を冒すにしては、まだ少なすぎる金額だと考えた。そこで1985年の秋、彼女は自分を全額の受取人にして、ブルースに2万ドルの生命保険を掛けた。
1986年の春、全国のニュース報道がシカゴ周辺に集中していた時期があった。1982年、シカゴ周辺に住む7人が薬物中毒で死亡した事件があったが、その遺族の7家族と、巨大企業ジョンソン・アンド・ジョンソンの系列会社、マクニール・コンシューマー社との和解が成立したというニュースである。原告は、大々的に報道されて世間を恐怖させた「タイラノール事件」の被害者数名で、全員が青酸カリの混入した「タイラノール」カプセルを飲んでいた。毒物を入れた犯人は未だに逮捕されていないが、タイラノールを買ったことだけははっきりしていた。犯人は、この市販の鎮痛剤を購入して、注意深く1個1個のカプセルを開けた。鎮痛剤の顆粒と青酸カリが交換され、元のように包み直された薬の箱は、ひそかに薬局の棚に戻されたのである。

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どうでもいい、じじぃの日記。
短編小説『完全犯罪を狙った奴ら』に「タイラノール・コピーキャット」というのがあった。
「青酸カリ」を用いた保険金殺人である。
日本でも、戦後まもなく起きた「帝銀事件」が有名である。
帝銀事件は1948(昭和23)年1月、当時 東京都豊島区の帝国銀行椎名町支店に男が現れ「伝染病の予防薬」と称して2段階で液体を飲ませ、行員と家族計12人を殺害。現金を奪った。
手口から「731部隊」など旧日本軍の元謀略部隊員らが疑われたが、占領軍の圧力で捜査方針が変更された。
なぜ行員たちは一斉に乾杯するように毒を飲んでしまったのか。
犯罪のやり方の1つに「コピーキャット」というのがある。
模倣犯・・・マスコミ等で報じられた事件やフィクション作品中の犯罪手法を真似た犯罪。またはその犯人。コピーキャット(英: Copycat crime)ともいう。
同じ犯人によるものに見せかけ、最初の事件の犯人に罪を着せる目的で模倣することが多い。
1982年にシカゴで起きた青酸カリ入りタイラノール事件の場合は犠牲者7人だった。
犯人の動機は犠牲者7人の中のたった1人を殺すことで、他の6人はその動機を隠すためのカモフラージュ殺人だった可能性があるという。