じじぃの「知りたくない話・ペットは死んだ飼い主を食べるのか?禁断の世界」

Family members find dogs eating owner's body inside Philadelphia home

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=JrajSJ8FUwE

Would Your Dog Eat You if You Died ?

Would Your Dog Eat You if You Died? Get the Facts.

JUNE 24, 2017 NATIONAL GEOGRAPHIC
https://www.nationalgeographic.com/science/article/pets-dogs-cats-eat-dead-owners-forensics-science

『科学で解き明かす 禁断の世界』

エリカ・エンゲルハウプト/著、関谷冬華/訳 ナショナル ジオグラフィック 2022年発行

パート1 死への好奇心 より

#3 ペットは死んだ飼い主を食べるのか その可能性はかなり高い

1997年、ベルリンの検視官が『フォレンジック・サイエンス・インターナショナル』誌でかなりゾッとするような事件を報告した。ある夜のこと、31歳の男性が母親の家の裏にある改装した物置小屋へと入っていった。彼はその小屋の1頭のジャーマンシェパードと一緒に暮らしていた。午後8時15分ごろ、近所の住民が銃声を聞いた。
45分後、男性の母親と近所の住民が口を銃で撃たれて死んでいる男性を発見した。彼の手の下からはワルサー製のピストルが見つかり、机の上には遺書が置かれていた。やがて到着した警察は、男性の顔面と首にひどくかみ荒らされた跡を見つけた。
男性が飼っていたジャーマンシェパードはおとなしく、警察官の命令をよく聞いた。しかし、保護施設に向かう途中で、犬は嘔吐して飼い主の体の一部を吐き出した。中には男性のあごひげとはっきりわかる毛が付着した皮膚もあった。他に食べるものがなかったわけではない。警察が到着したときに、床に置かれていたボウルには半分ほどドッグフードが入っていた。そうなると、思い浮かぶのは嫌な想像だ。結局のところ、男性の最大の友人は、彼に対してあまり忠実ではなかったのかもしれない。
ペットが飼い主の死体を食い荒らすのがどれくらいよくあることなのかを調べた研究はこれまでにない。しかし、過去20年ほどの間に、法医学の専門誌では同様の事件が数十件報告されており、そこからペットの飼い主のほとんどが直視したくない可能性、つまりペットに食べられるという事件についてうかがい知ることができる。友人から質問されるまで、私はそんなことについて考えたこともなかった。動物好きで一人暮らしのその友人は、自分の将来について少しばかり不安を感じていたらしかった。
そこで、私はできる限りの情報を集めることにした。最終的に、ペットに飼い主が食べられる事例を紹介した研究は20件以上見つかり、その中の1つである2015年の研究では全部で63件の事例が取り上げられていた。どの事件も悲劇的で、写真もそれに劣らず凄惨だった。そんなことがなぜ起こるのかという疑問の答えを出すべく、私は論文を読んでいった。飼い主が死んでから数週間たってお腹が空いても何も手出しをしないペットもいるのに、すぐに飼い主にかじりつくペットもいるのはなぜだろう。また、ペットの飼い主が恐ろしい結末を避ける方法はあるのだろうか。
これらの論文を読み進めるうちに、私は驚くようないくつかの法則を見つけた。ペットが死者を食べるという行動を走る理由を、自分が誤解していたかもしれないとも思い始めた。また、私たちがペットの立場に立って物事を見なければ、彼らの行動を間違って解釈しかねないこともわかってきた。
最初にはっきりさせておきたいのは、ネコは誤解されているということだ。イヌは飼い主に忠実で、ネコは飼い主と距離を置いているために飼い主でも食べそうだと思われがちだが、実際のところは法科学関連の文献文献に載っている人間を食べる動物のほとんどはイヌで、私が探した限りでは、ネコが飼い主を食べたという記録は比較的少なかった(ネコに食べられた飼い主の一人は10匹のネコを飼っている男性だった)。2010年の『ジャーナル・オブ・フォレンジック・アンド・リーガル・メディシン』誌に掲載されたある報告では、動脈瘤で死亡し、翌朝にトイレの床に倒れているところを発見された女性の例があった。科学捜査が行われた結果、彼女が飼っていたイヌが飼い主の顔のほとんどを食べてしまったが、2匹のネコは飼い主に手をつけなかったことが明らかになった。

ペットの心理状態

それでは、ペットの心理状態を考えてみよう。「そのような行動をとる理由として考えられるのは、最初は意識のない飼い主をなめたり、ゆさぶったりして助けようとしていたのではないだろうか」とロスチャイルドは見る。「しかし、それらが功を奏さず状況が変わらないと、動物はパニックを起こして次第に行動がエスカレートし、かみつき始めた可能性がある」。かみつくという行動は、食べるという行為に簡単に変わるとランドは考える。「イヌはお腹がすいているわけではなくても、血の味がすると食欲が刺激される」
さらにやっかいなのは、犬種が違えば性格も違うことだとランドは付け加えた。イヌの性格は、飼い主の死に対する反応に影響する可能性がある。だが実際には、捜査報告書に登場する飼い主を食べたイヌの種類は多岐にわたり、愛らしいラブラドールレトリバーゴールデンレトリバーなども含まれる。私が読んど話のなかには、雑種や狩猟犬、番犬なども出てきた。
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つらい状況に直面しても、ペットが人間と同じような死の悼み方をするとは到底思えない。群れで行動する他の動物たちが死にどのように反応するかを調べる方が理にかなっている。イヌの気持ちが私たちの目に悲しんでいるように映るかどうかはわからないが、動物行動学の研究では多くの動物は仲間の死に複雑な形で反応することが示されている。ゾウは死んだ仲間の顔や牙を鼻の先でなでる。これらの部位は生きている間に挨拶するときに触れる場所でもある。チンパンジー、イルカ、ディンゴ(野犬の一種)は、死んでしまった赤ちゃんを何日も、何週間も連れ歩くことがある。後で紹介するように、カラスは死んだ仲間の周りに集まって騒ぎ立てる。ときには、死体を攻撃することもある。
動物のなかでも何世代にもわたって人間に飼われてきたイヌは、人間との結びつきがとびきり強い。そのために、飼い主を食べるという行動を見せることが他の動物よりも多いのかもしれない。飼い主が床に倒れていて、まったく反応がないとなれば、ペットにとってどれほど悲しいことだろう。そのような悲しみがなめるという行為につながり、やがては食べる行為に走らせるのだとしたら、それは愛のこもったコミュニケーションの一種として受け入れるしかないのではないかと私は思う。

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どうでもいい、じじぃの日記。

「最初にはっきりさせておきたいのは、ネコは誤解されているということだ。イヌは飼い主に忠実で、ネコは飼い主と距離を置いているために飼い主でも食べそうだと思われがちだが、実際のところは法科学関連の文献文献に載っている人間を食べる動物のほとんどはイヌで、私が探した限りでは、ネコが飼い主を食べたという記録は比較的少なかった」

イヌが飼い主の顔をなめたりする行為は、生き物に噛みつく一連の動作と連動しているのかもしれない。なめても相手が無反応なら、食べてもよいということなのだろうか。

「飼い主が床に倒れていて、まったく反応がないとなれば、ペットにとってどれほど悲しいことだろう。そのような悲しみがなめるという行為につながり、やがては食べる行為に走らせるのだとしたら、それは愛のこもったコミュニケーションの一種として受け入れるしかないのではないかと私は思う」

ペットに食べられて幸せ、という人もいるのかもしれない。
飼い主にとっては、知りたくない話なのかもしれない。