じじぃの「歴史・思想_577_日本は第2のウクライナとなるのか?沖縄が危ない」

第55回 いよいよ時代の転換期が始まる(上)

2018年4月25 第二海援隊 浅井隆 コラム
世界がおかしくなる時は大体、お互いが保護貿易主義になり、
そして関税を掛け合うという前哨戦があるのですが、それがついに始まったというわけです。
しかも、その根底には私が前から言っている巨大な「800年周期」の流れ、
そして「覇権の移行」があります。
簡単に言いますと800年周期では今、
ヨーロッパの時代が終わってアジアの時代が始まろうとしているのです。
つまり、ヨーロッパが下降しアジアが台頭して、
それがちょうどぶつかった交差点が現在なのです。
http://www.dainikaientai.co.jp/column/column0056.html

日本は第2のウクライナとなるのか!? コロナとウクライナが世界とあなたの生活を一変させる

著者 浅井 隆 (著),織田 邦男 (著),川上 明 (著),関 和馬 (著)
ロシアがウクライナに侵攻した。
この先、極東有事はありうるのか? 元自衛隊空将の現場の経験、アナリストのチャートが示す真実などを元にウクライナ危機に迫り、国防に対する意識を高めるための情報や考え方を伝える。

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『日本は第2のウクライナとなるのか!?』

浅井隆/著 第二海援隊 2022年発行

プロローグ より

対岸の火事ではすまされないウクライナ情勢

2022年2月、信じられないことが起きた。あのプーチン率いるロシア軍が、ウクライナに侵攻したのだ。市街地への攻撃で多くの国民が犠牲となり、また人々が着の身着のままで逃げ惑う様子は、テレビやインターネットで放送され、世界中を震撼させた。
ウクライナ軍、およびウクライナ国民からなる義勇軍は必死の抵抗を行なっているが、圧倒的な力を持つロシア軍はウクライナ全土で戦闘を展開し、人々を蹂躙(じゅうりん)し続けている。
プーチンがこの侵攻の最終目標を何に定め、そしてこの本が出る頃にどこまでの事態に発展しているのか、まったく想像も付かない。しかし私は、この遠く8000キロも離れた異国の有事を「まったくの他人事」どころか、「明日は我が身」という重大な危機感をもって捉えている。
まず私の頭によぎったのは、ウクライナ危機は「10年後の日本」の姿になり得るということだ。ある安全保障の専門家は、日本はウクライナよりも危険であると指摘する。ウクライナの場合、脅威となる隣接国はロシア一国であるが、日本の場合は中国、北朝鮮、ロシアの三国が隣接しているためだ。いずれも超独裁国家で核保有国だ。隣国にこれほどのリスクを抱える先進国は、実は日本だけなのだ。

第4章 21世紀は戦争と天災と疫病の時代だ!! より

現在、800年振りの大動乱期に突入している

アメリカの没落と衰退は、いまや世界中の人々が認める既成事実となった。特にオバマ大統領は、「アメリカは世界の警察官の地位から降りる」と明言してしまった。次に登場したトランプ大統領は、強いアメリカの復活を公言したが、言うこととやることがちぐはぐで、かえって混乱を招くだけに終わった。
そして、トランプが弱腰と批判するバイデンの登場だ。プーチンは、バイデンによるアフガン撤退の不手際もずーっと見ていたに違いない。そして、バイデン政権のおよび腰の姿勢見透かすかのように、今回のウクライナ侵攻という暴挙に打って出た。プーチンは戦術核の使用さえほのめかしつつ、アメリカおよびNATOを脅し上げている。
30数年前にソ連が崩壊した時、誰が今の事態を予想し得ただろうか。そして、今回の悲劇のウラには、間違いなく「800年周期」と「覇権の移行」という2つの巨大トレンドがうごめいている。プーチンは、その波の上で踊るピエロに過ぎない。その歴史上の本質を理解しないと、次にやってくる事態も予想できない。
本書のタイトルは『日本は第2のウクライナとなるのか!?』である。つまり、ウクライナ侵攻と極東有事は、連動する可能性があるのだ。なんといっても、中国が台湾、尖閣そして沖縄を狙っているのは、紛れもない事実である。その中でも、真っ先にやってくるのが尖閣だろう。今の日本側の態勢で、本当に尖閣を守り抜くことはできるのだろうか。
こうしたすべての問題を考えるにあたって、私たちがぜひとも理解しておかねばならないことがある。それは、「明治維新」という150年前の出来事である。幕末の志士たちの命掛けの奔走によって奇跡的に成立したあの革命は、800年周期と大きな繋がりがある。
日本は1853年のペリーの黒船来航により太平の眠りから目覚め、激動の15年を経て1868年に明治維新を迎えるが、それまでの尊王攘夷をかなぐり捨て、西欧列強に追い付き追い越せと「脱亜入欧」を国是とした。つまり、日本だけが東洋の中でひと足早く革命を果たして西洋文明の仲間入りをしようと必死になった。
そして太平洋戦争を経て、アメリカの指導のもとに戦後は欧米と同じ民主主義と資本主義の体制となった。しかし、次に台頭して来た東洋の雄・中国と向き合う羽目となった。つまり、日本は没落する西洋の側について、これから興隆する東洋の象徴とも言うべき中国と正面から対峙する運命となったのだ。今後、極東でいかなる事態が展開されるのか。それは、共産党独裁でしかも毛沢東を自認する習近平の戦略・意図と、日本の戦略、国力、国民の意志、自衛隊の能力とのせめぎ合いであり、国力をあげた”総力戦”である。そのことが意味する重大さをまだほとんどの日本人は理解していない。
そして、核を持たない(持とうとしない)国が核を大量に保有する国と対峙した時に何が起こるのかを、歴史上で試す”壮大な実験場”でもある。
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私の書いた800年周期説(800年ごとに東洋文明と西洋文明が交互に時代をリードしてきたとする説)の中国版がその後、中国の国家戦略にどう影響したのかは私も知らない。しかし、1つだけ言えることは、中国のトップは日本のトップよりも国家に関わる長期戦略において数段上の存在だということだ。しかも、50年、100年の大計を持っているのだ。あの習近平」も、日本にとっては天敵とも言える厄介な存在だが、政治家としての資質や度胸はとてつもないものだろう。できることなら、日本の首相に迎えたいくらいだ。
戦略なき国家は滅びると言う。中国は、琉球(沖縄)は中国のものだと言い始めている。本気で沖縄を奪う気なのだ。この国の将来は、本当に危ういとしか言いようがない。「自分の国は、自らが守る」という当たり前の気概を全国民が持たないと、日本は50年後には中国の1つの”省”になり果てていることだろう。その時、私たちの孫やひ孫は、中国語を強制された揚げ句に、思想改造収容所に放り込まれているかもしれない。