じじぃの「太陽系を超えて・ハビタブル惑星の探索・ドレイクの方程式」

【ゆっくり解説】宇宙人に関する一考察(ドレイクの方程式後篇)

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=aK-Xq1urjpk

宇宙人は存在するか? ねずみが象を超える日 ~数学センスで万事解決(第2回)~

2021/5/17 Yahoo!ニュース
●宇宙人は必ず存在する!
宇宙人は地球以外にも存在するのでしょうか。
人類以外に知的生命体は存在するのかという問題です。自己中心的な人類を踏襲して,それを宇宙人と呼ぶことにしましょう。さすがの自己中心的な人類であっても,自分以外の宇宙人が存在するであろうことは暗に認めています。では存在だけではなく,交流することはできるのでしょうか。

この問題への一つの回答がドレイクの方程式と言われるものです(画像参照)。

https://news.yahoo.co.jp/byline/moriimasakatsu/20210517-00238273

『地球外生命-アストロバイオロジーで探る生命の起源と未来』

小林憲正/著 中公新書 2021年発行

第7章 太陽系を超えて より

ETIからのシグナルは見つかるのか?――ドレイクの方程式

SETI(地球外知的生命体の探索)が成功する見込みはあるのでしょうか。
1960年に実施されたオズマ計画(1960年に、ウェストバージニア州グリーンバンクにあるアメリカ国立電波天文台で始められた世界初の地球外知的生命探査)が大きな反響をよび、翌1961年に米国国立科学財団(NSF)はドレイクにCETI(地球外知性との交信)に関する会議を企画するように依頼しました。グリーンバンク天文台で開催された会議にはドレイクの他、セーガンやモリソン、ノーベル賞受賞者のカルヴィンやレーダーバーグらが参加しました。ここでドレイクは有名な「ドレイクの方程式」を発表しました。
この方程式は、銀河系の中で、電波による交信、つまりCETIが可能な惑星(もしくは文明)の数Nを求めるためのもので、次の7つのパラメータをかけ合わせます。

ドレイクの方程式再考

いろいろと寄り道をしましたが、ここでドレイクの方程式に戻りましょう。銀河系で交信可能な惑星(文明)数Nを出すための7つのパラメーターのうち、最初の恒星の生成率Rが10個/年ほどであることはすでに述べましたが、次の惑星をもつ恒星の確率fpはかつてかなり低いだろうと思われていました。特に2つ以上の恒星が恒星が近接して存在する連星は惑星を持ちにくいとされてきましたが、実際には連星にも惑星が続々と見つかっています。これまでに調べられた恒星のうち半数近くは惑星を持っていることがわかったため、fpは0.5程度の数字を与えてもいいと考えられます。また、その次のハビタブルゾーン内の惑星の平均個数neも太陽系の例で考えると現在は地球のみの1ですが、かつては金星・地球・火星の3個があった可能性も考えられます。系外惑星の観測例なども併せて考えると0.5ー2くらいと考える研究者が多いようです。ここでは1くらいにしておきましょう。
さて、あとの4つのパラメータですが、そのうちのfc(ETIが電波交信をする割合)はほぼ1と置いて間違いないでしょう。知的生命が電波を知らない、あるいは知っているのに使わない、ということは考えにくいからです。
残りの3つが難物です。fl(ハビタブルゾーンな惑星で実際に生命が誕生する割合)、fi(誕生した生物が知的生物まで進化する割合)は実際に生命の存在が確認されているのが地球だけなので統計的な議論が全くできないのです。さらに最後のL(電波交信の継続時間)は地球人がまだ滅んでいないため、ひとつの例すらないのです。これらに代入する数値は、楽観主義者か悲観主義者かによって何桁も異なってきます。私は比較的楽観的主義者なので、液体の水が安定に存在し、そこに宇宙でも普遍的に存在する有機物が供給されれば、それほどの時間を待たずとも、何らかのがらくた生命は誕生すると考えています(第2章)。
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現時点で人類が滅んだとすると、Lは100年少しということになります。この先、私たちはLをどこまで伸ばせるでしょうか。21世紀の今日、地球環境問題、人口問題、そして核戦争の危険性など人類文明の存続に悲観的な要素は数知れません。21世紀中に人類が滅ぶようなことになり、これが知的生命の宿命だとすればLは200年そこそこということになぅてしまいます。一方、地球の中生代の覇者たる恐竜は、およそ1億5000万年栄えました。ただし、個々の種としては例えばティラノサウルス・レックスは6800万年前に登場してから6600万年前(白亜紀末)に絶滅するまでの200万年間、生態系の頂点に君臨したにすぎません。
しかし、真の知的生命ならば、これらの難問に対してどうにかして解決策を見つけ出すでしょう。そうなればLはある程度長くできます。ティラノサウルス・レックスの200万年と同じくらい、あるいはそれ以上、文明を持続できるかもしれません。その場合、問題となるのが、古生代末の破局噴火や中世代末の巨大隕石衝突などの人知を超えた巨大災害であり、古生代以降、およそ1億年に1回ほど起きています。Lの長めの推定として1億年を使ってみましょう。
ドレイクの式にこれらの数値を代入すると、下の式となります。
N = R x fp x ne x fl x fi x fc x L = 10x0.5x1x0.1x0.01x1xL = 0.005L

ここでLに短めの200年を入れると、N=1となり、銀河系での更新可能な文明数は1、つまり地球のみということになります。

一方、Lに長めの1億年を入れると、N=500,000個となり、銀河系のご近所にもETIがいる可能性は高くなります。つまり、SETIが成功するかどうかは、ETIの電波文明の存続期間が長いか短いかに大きく依存するのです。逆にSETIをとことこやってもETIがひっかからない場合、それはETIの通信文明が短命である可能性が高いことを示します。