じじぃの「科学・芸術_861_人類宇宙に住む・地球外知的生命探査(SETI)」

映画 「E.T.」 劇場予告

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=1ON1zvUn-0g

Drake equation

地球外知的生命体探査

ウィキペディアWikipedia) より
地球外知的生命体探査(英語: Search for extraterrestrial intelligence)とは、地球外知的生命体による宇宙文明を発見するプロジェクトの総称である。
頭文字を取ってSETI(セティ)と称される。アクティブSETI(能動的SETI)に対して、パッシブSETI(受動的SETI)とも呼ばれる。現在世界では多くのSETIプロジェクトが進行している。
1960年、世界初の電波による地球外知的生命体探査であるオズマ計画が行われた。この計画はアメリカの天文学者フランク・ドレイクによって提案されたもので、ウェストバージニア州グリーンバンクにあるアメリカ国立電波天文台の18フィート望遠鏡にて実施された。
オズマ計画では生命を宿すような惑星を持つのに相応しい大きさの恒星のうち、地球から近いものとして2つの恒星を選びこれを対象とした。選ばれたのはくじら座τ星(12光年)およびエリダヌス座ε星(11光年)である。ドレイクらはこれらの星に電波望遠鏡を向け、1,420MHzの電波(宇宙でもっとも多く存在する水素の出す電波)で地球に向けて呼びかけの信号が送られていないかどうかを調べた。電波は30日間(実際に受信を試みたのは150時間)にわたり観測されたが、文明の痕跡とみなされる信号は得られなかった。フランク・ドレイクは銀河系内にどれだけの知的文明が存在するか見積もるドレイクの方程式を提唱したことでも知られている。なお、「オズマ」の名はライマン・フランク・ボームの『オズの魔法使い』シリーズの主要登場人物で、作者がオズマ姫が住むオズの国と無線通信を試みたという話に由来している。

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『人類、宇宙に住む 実現への3つのステップ』

ミチオ・カク/著、斉藤隆央/訳 NHK出版 2019年発行

地球外生命探査 より

私自身は、宇宙のどの先進文明も平和を好むようになると思っている。彼らはわれわれよりはるかに進んでおり、莫大な時間のなかで古くからの派閥、部族、人種、原理主義をめぐる対立を解消しているのではなかろうか。だが、そうでないとしたら用心する必要がある。宇宙へ向けて電波信号を送り、どこかの異星文明にわれわれの存在を知らせるよりも、まずは異星文明について調べるのが賢明だろう。
私はいずれ地球外文明と接触があり、ひょっとしたら今世紀中にもそれが起こるかもしれないと考えている。彼らは無慈悲な征服者ではなく、慈愛に満ち、みずからのテクノロジーを喜んでわれわれに分け与えてくれるかもしれない。するとそれは、火の発見に匹敵する、史上最大級の転機となるはずだ。これがその後何世紀にもわたる人類文明の道筋を決める可能性がある。

SETI

この問題を積極的に解決すべく、現代のテクノロジーを用いて天空を走査し、宇宙の先進文明のしるしを見つけ出そうとしている物理学者もいる。その取り組みは地球外知的生命探査(SETI)という、地球上でトップクラスの性能をもつ電波望遠鏡によって天空を走査し、異星文明からの通信に耳をすますやり方だ。
現在、マイクロソフトの創業者のひとりであるポール・アレンなどによる寛大な寄付のおかげで、SETI研究所はサンフランシスコから400数十キロメートル北東のカリフォルニア州ハットクリークに、最新鋭の電波望遠鏡を42基建造している。最終的に、ハットクリークの施設には、周波数1~10ギガヘルツの電波を走査する電波望遠鏡が350基できるようだ。
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1961年、天文学者のフランク・ドレイクは、宇宙のエイリアンにかんするいい加減な推定の数々に不満を覚え、そのような文明が見つかる確率を計算しようとした。たとえば、天の川銀河にある恒星の数(およそ1000億個)から始めて、そのうち周囲に惑星をもつ割合を見積もり、次にそうした惑星に生命がいる割合を見積もり、さらに知的生命がいる割合を見積もるといった具合に絞り込んでいくのだ。これら一連の割合を掛け合わせると、銀河系に存在しうる先進文明の概数が得られる。
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フェルミパラドックス――みんなどこにいるんだ?

それでもまだ、厄介な疑問がひとつ残る。それはフェルミパラドックスで、「みんなどこにいるんだ?」というものだ。彼らが存在するならきっと跡を残すはずで、ひょっとしたらわれわれのもとを訪れさえしているかもしれないが、エイリアン訪問の物的証拠は何も見つかっていない。
このパラドックスを解決する答えは、いくつも考えられる。私の考えは次のとおりだ。エイリアンが実際に数百光年先から地球にたどり着けるとしたら、彼らのテクノロジーはわれわれよりはるかに進んでいる。その場合、エイリアンが何百兆キロメートルも旅して、何も受け取れるもののない後進文明を訪ねてくると考えるのは傲慢だ。そもそも、森に行ったとして、シカやリスと話そうとするのだろうか? 初めは声をかけてみるかもしれないが、答えが返ってこないので、すぐに興味を失ってその場を去るだろう。
したがってたいていの場合、エイリアンはわれわれには構わず、未開の珍しいものとして観察するはずだ。あるいは、オラフ・ステーブルドンが何十年前に考えたように、エイリアンには未開の文明に干渉してはならないという掟があるのかもしれない。つまり彼らは、われわれの存在に気づいてはいるが、進歩に影響を与えたくないというわけだ(ステーブルドンはもうひとつの可能性を提示し、こう書いている。「このような前ユートヒア段階の、邪悪ではないが、それ以上の進歩は望みえない世界のいくつかは、ちょうど地球で、野性の生物が国立公園で科学的な目的から保護されているように、平穏のうちに放っておかれ保護されたものである」(『スターメイカー』[浜口稔訳、国書刊行会]より引用)。