じじぃの「がらくたワールド説・生命の起源は実証できるか?地球外生命」

地球生命に残された2つの謎 「はやぶさ2が大量の有機物発見」の意味

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=iDeFnO9sjvw

はやぶさ2 サンプルから水や有機物に関する特徴を確認

JAXAはやぶさ2が持ち帰ったサンプルから水や有機物に関する特徴を確認

2021/04/27 TECH+
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は4月27日、小惑星探査機「はやぶさ2」が持ち帰った小惑星リュウグウ」のサンプルに対し、初期記載の一環として分光観察を行った結果、水に関連する特徴ならびに有機物に関連する特徴を確認したことを明らかにした。
https://news.mynavi.jp/techplus/article/20210427-1879957/

ダークホースかもしれない隕石衝突

2018.01.11 藤崎 慎吾
●「がらくた生命」vs.「RNA生物」
このように「代謝っぽい」ことをする物質や「自己複製っぽい」ことをする物質、そして「細胞膜っぽい」ものをつくる物質などが、それ以外の雑多な物質とともに集まって、何となく「生物っぽく」ふるまうようになったら、それは「がらくた生命」と言っていいのではないか。
そして熱水噴出域のような場所で徐々に機能を発達させ、「生命0.0000001」から「生命0.1」そして「生命0.5」というように進化していったのではないか。ごく大雑把に言えば、これが「がらくたワールド」説のシナリオである(図2)。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/54579

『地球外生命-アストロバイオロジーで探る生命の起源と未来』

小林憲正/著 中公新書 2021年発行

第2章 生命の誕生は必然か偶然か より

さまざまな生命の起源説

宇宙、あるいは原始地球上の化学進化により、いろいろなエネルギーで様々な有機物ができることは間違いないでしょう。ただ、その中にアミノ酸核酸材料が含まれるといっても、生成した有機物のごく一部にすぎません。この点に注目したのが、米国プリンストン大学の物理学者フリーマン・ダイソン(1923~)です。彼の著書『生命の起源(第2版)』では「ゴミ袋ワールド」の考えが記されています。海水中に溶け込んだ様々な有機分子が、オパーリンのコアセルベート(親水性コロイド溶液中の粒子が集合して、濃厚なコロイドゾルとなり、小液滴として他の部分から分離したもの)のような小袋に詰め込まれたものが多数できたとします。それらの袋の中には、優れた触媒作用を示す分子を含むものもあったでしょう。それが「当たり」の袋です。自然選択の結果、そのような当たりの袋が増殖し、さらに進化し、やがてRNAのような洗練された分子が生み出されたとする説です。
私は、基本的にダイソンの考えを支持したいと思います。根拠は、私たちが行ってきた化学進化実験の結果です。加速器などを用いた化学進化の模擬実験ではアミノ酸の構造を部分的に含む大きな分子が生成しました。といってもアミノ酸だけがつながったペプチドのような洗練された分子ではありません。大きい分子の一部だけがアミノ酸なのです。そのため、酵素のような高い機能はもちませんが、非常に微弱な触媒活性をもっていることもわかりました。そこで私はこのような分子を「がらくた分子」、がらくた分子からなる生命システムを「がらくたワールド」と名づけました。

生命の起源は実証できるか

生命の起源研究の最大の問題点は、原始地球上で起きたはずの化学進化や初期生物進化の痕跡が地球上に全く残されていないことです。地球上での生命の誕生は約40億年前と考えられていますが、生命になる前の有機物は熱・紫外線・放射線などにより徐々に分解してしまうか、誕生後の生命により消費されてしまったため、今日、地球上で見つけることは不可能です。また、次章で紹介するように、誕生した後の生命は35億年前の微生物の化石(微化石)や38億年前の生命由来の炭素粒子などの痕跡として見つかっているものの、それらは共通の祖先誕生後のものか、どうか、その生命システムがどのようなものだったかは全く読み取ることはできません。共通祖先の生命システムは現存の生物と全く同じ、DNA、RNA、タンパク質を用いたもの(つまりL=1)で、十分に複雑ですので、どの仮説を取るにしてもこのように複雑なものよりも前の段階の生命システム(L<1)が存在するはずですが、そのような生命は少なくとも私たちの手の届くところ(現存の生物が存在するところ)には残されていません。
となると、タイムマシンでも発明されない限り、生命の起源の原因の解明は困難なのでしょうか。ここで、宇宙が鍵となります。天文学は面白い学問で、望遠鏡を使って宇宙という「空間」を探っているのですが、同時に過去をも見ていることにもなるのです。私たちは現在の太陽しか観測できませんが、46億年前に誕生し、50億年ほどするとその一生を閉じることを知っています。
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さて、生命のもとになった有機物に関しては、隕石の分析の他、小惑星や彗星の探査やサンプルリターンにより、今後も新たな情報が得られることが十分に期待できます。そのような地球外有機物や原始大気から生成した有機物は惑星環境でどう変化していくのでしょうか。

これに答えてくれそうな天体が、土星の衛星タイタンなのです。2036年に予定されているタイタン探査(ドラゴンフライ計画)に期待しましょう。さらに、太陽系で生命の存在が期待できる天体が片手に余るほど出てきました。それらの天体で地球と異なる生命システム(核酸以外の遺伝物質を用いるものなど)や、生命になりかけの物質が見つかったとき、生命起源研究は大きく進むでしょう。