じじぃの「マンボウ・おちょぼ口でフグっぽい魚!ペンギン物理のはなし」

Rare Footage of Ocean Sunfish Getting Cleaned | BBC Earth

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=A1WBilMrDIU

旨すぎて市場に出回らない魚|怪魚の食卓⑥

2020.06.05 dancyu
魚の頭だけが泳いでいるかのような奇怪なマンボウ
水族館で見るものだと思っていたら大間違いで、三陸の夏の味覚として地元では人気が高い。
実は日本各地の定置網漁などで漁獲される。肉は白身で水気が多くてやわらかく、淡泊。一畳ほどの大きさが一番うまいと言われている。ただそんな大物は漁船に上げられないこともあり、目からロープを通して海上を引っ張ってくることもあるそうだ。
https://dancyu.jp/read/2020_00003313.html

『ペンギンが教えてくれた 物理のはなし』

渡辺佑基/著 河出文庫 2020年発行

第2章 泳ぐ――遊泳の技巧はサメに習う より

遊泳スピードの法則

考えてみれば、魚を捕って食べる鳥や哺乳類はあまたいるが、鳥や哺乳類を捕って食べる魚はめったにいない。そしてその稀な例に含まれるホホジロザメは、体温を高く保つ特殊なグループである。つまり体温によって遊泳スピードが決まるという法則1つで、世界中の海に見られる捕る、捕れれるの関係をある程度説明することができる。
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だから最も速いのは、体が大きくかつ体温が高い動物である。鳥ならエンペラーペンギン、哺乳類ならシロナガスクジラがそれにあたる。魚ならホホジロザメやマグロだが、絶滅したムカシオオホホジロザメはもっと速かった可能性が高い。

マンボウという非常識

かくして泳ぐ速さの一般法則について話をすすめてきたが、最後にその応用編。マンボウというとびきり変な魚の実例を出して、魚が実際にどんなふうに泳いているのか、そしてそれをどうやって調べるのか、見ていこう。
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マンボウの常識はずれはまず外見にある。背中からは背びれが、腹側からは尻びれがそれぞれ上下に長く突き出していて、しかも体の最後端にあるはずの尾びれがないから、結果として体長よりも体高が長いという奇妙な逆転現象が起こっている。ごく素朴な疑問として、こんな変な形でどうやって泳ぐのだろう。一般にマンボウはのんびり屋のイメージがあるが、実際はどのくらいの速度で泳ぐのだろう。
変なのは外見だけではない。この魚は体の内部も奇妙この上なく、たとえば浮き袋がない。多くの硬骨魚類(サメ、エイは軟骨魚類)は解剖すると、内臓の奥、背骨のすぐ下の位置にガスの詰まった浮き袋を持っていて、それによって水中で浮力を得ている。筋肉や骨など、魚体を構成するパーツのほとんどは水よりも密度が高いので、浮き袋がないと普通の魚は沈んでしまう。むしろ沈むほうが都合のいい、ヒラメのような底生の魚では浮き袋が退化しているが、マンボウのように中層をふわふわと泳ぐ魚が浮き袋を退化させている例は極めて珍しい。
マンボウ分類学上はフグ目に含まれる正真正銘フグの仲間であり、そう言われてみればおちょぼ口がどことなくフグっぽい。そしてフグ目の魚は、マンボウとごく近縁の数種を除き、ちゃんと浮き袋を持っている。なぜマンボウだけが浮き袋という便利な器官を退化させてしまったのだろう。その代わりにどんなふうに浮力を得ていて、そこにどんな生存上のメリットがあるのだろう。
つまり私はマンボウというヘンテコな魚に対し、ごく素朴な疑問を1ダースくらい持っていた。そしてそれをひとつひとつつぶしていけば、魚類の進化上のいくつかの疑問に答えるいい研究になるような気がしていた。
岩手県大槌町マンボウの調査地としてはたぶん世界でも有数の恵まれた環境にある。何しろ定置網漁船に乗せてもらえば、春から秋にかけて大小様々なマンボウが次から次へとかかってくる。しかも定置網だけでなく、突きん棒漁という電気モリを使ったイルカやカジキをターゲットにした漁法もあり、こちらの漁師もマンボウを見つけると突いて持ち帰ってくる。ようするに地元の人はマンボウを好んで食べるので、水産業上の価値が少なからずあり、そのためにサンプルの収集に困らない。

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どうでもいい、じじぃの日記。
マンボウには、のんびり屋のイメージがある。
マンボウおちょぼ口がどことなくフグっぽくて弱々しい。

強い者が生き延びたのではない。変化に適応したものが生き延びたのだ。

マンボウに浮き袋がないというのは、進化なのか退化なのか。