じじぃの「イアン・ブレマー・10大リスク2022年・ゼロコロナ政策・路線変更できない中国!ニューズウィーク」

Eurasia Group's Global Threats to Watch in 2022

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=bT8BuBlPvu0

【動画】中国ゼロコロナに住民の不満爆発 当局と衝突の動画、異例の拡散

2022/3/29 西日本新聞me
新型コロナウイルスの感染が広がる中国の会員制交流サイト(SNS)に、事実上のロックダウン(都市封鎖)が続いた広東省深圳市の一部地域の住民たちが不満を爆発させ、当局側と衝突した動画が相次いで投稿された。
習近平指導部が徹底する「ゼロコロナ」政策に対する市民の抗議行動が表面化するのは珍しい。一連の投稿は次々に削除され、閲覧できなくなっている。
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/898313/

ニューズウィーク日本語版

2022年2月15日号

ニューズウィーク日本語版』 2022年2月15日号

特集:「イアン・ブレマーが読み解く中国」

「Gゼロ」の国際政治学者が中国経済/ゼロコロナ政策 より

中国リスクにどう立ち向かうか

路線変更できない中国

稀代の国際政治学者イアン・ブレマーと、「全米最高の教授」ジョージタウン大学サム・ポトリッキオ教授が対談。ブレマーをよく知る聞き手のポトリッキオが、本誌「イアン・ブレマーが説く アフターコロナの世界」。

ポトリッキオ

2021年の「10大リスクは」恐ろしいほど的を射ていた。だから2022年の「10大リスク」の内容もすごく気になる。なぜ、この10件を選んだのか、そして中国政府の進める「ゼロコロナ政策」の失敗を1番目に選んだ理由を教えてほしい。

ブレマー

(絶対に国内で感染者を出さないという中国政府の)ゼロコロナ政策については、実を言うと世間の関心は薄かった。ところがなぜか、私たちがこのレポートを発表した途端に注目が集まった。
新型コロナウイルスの流行がまだ終息していないのは明らかだ。私たちのリポートが22年の第1四半期だけに関するものであれば、また違った書き方もできただろう。もちろんオミクロン株は今も、欧米諸国で大変な状況を引き起している。しかし(最初にオミクロン株が確認された)南アフリカの状況を見る限り、私はかなりの自信を持ってこう言える。オミクロン株の感染は、少なくとも先進諸国に関する限り、近いうちにピークを迎え、いずれ過去の出来事になるだろうと。
先進諸国では、国民のほぼ全員がワクチンを接種しており、高齢者や重症化リスクの高い人には追加接種もしている。それでも死亡する高齢者が多いのは確かだが、その他の人にはワクチンが効いているか、(ほぼ無症状で感染して)自然免疫ができている。もしもこうした数字を積極的に発表し、「死んでいくのは75歳以上で免疫力の弱い人」だと国民に知らせていけば、その他の国民の受け止め方は違ってくるはずだ。
実際、今の欧米ではそうなりつつある。だから欧米諸国では今年、新型コロナ問題の重要度は下がるはずだ。だが、残念ながら中国は違う。

中国以外の諸国は、新型コロナが致命的なパンデミックではなくなってきたという状況に対応して、しかるべく政策を変更できる。この疫病の性質が変わり、自国民の耐性も変わったからだ。しかし中国では、国民の耐性が変わっていない。

ゼロコロナ政策ゆえ、国民の大半は一度も感染していない。しかも中国の人たちが受けたワクチンは、たぶん効き目がない。つまり免疫ができていない。そうすると、欧米の人たちと同じようにはいかない。欧米の人が使える治療薬も、たぶん中国の人は使えない。
それに、中国政府は今も「感染者数」にフォーカスした政策を続けている。ところがオミクロン株は感染力が非常に強く、どうしても感染者数は増える。中国政府にとっては最悪の事態だ。

パンデミックの性質は変化しているのだが、あいにく政府に柔軟性はなく、簡単に対応を考えることはできない。だから、事態の悪化を他人(つまり欧米諸国)のせいにしたがる。見るがいい、中国は言っている。北京で確認されたオミクロン株は外国の郵便から来たものだと。中国がこんなふうに「西側」を非難し始めると、まあその先にろくなことはない。

現実には、中国の感染者数は欧米に比べると非常に少ない。しかし当局は厳格な都市封鎖で住民を苦しめている。これでは流れに逆らって泳ぐに等しく、この政策を続ければ続けるほど国民には負担がかかる。だがゼロコロナ政策の成功をアピールしてきた手前、中国政府はこの路線を変更できない。少なくとも今度のオリンピックが終わり、秋の共産党大会で習近平の「党総書記」続投が決まるまでは。