じじぃの「死と悲しみ・ライ麦畑でつかまえて!『謎ときサリンジャー』」

映画『ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー』予告編

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=UaFobIQpw0c

J・D・サリンジャー

ウィキペディアWikipedia)より
ジェローム・デイヴィッド・サリンジャー(Jerome David Salinger、1919年1月1日 - 2010年1月27日)は、アメリカ合衆国の小説家。『ライ麦畑でつかまえて』などで知られる。

ライ麦畑でつかまえて

12月に『ライ麦畑でつかまえて』の原型となる作品『僕はちょっとおかしい(I'm Crazy)』が雑誌『コリアーズ』に掲載される。1946年、シルヴィアとの短い結婚生活が終わり、離婚したことによって生活も大きく変化した。ヤッピーのような生活を送り、またニューヨークのボヘミアンとも多く交流を持つようになる。

1949年頃、コネチカット州ウェストポートに家を借り執筆生活に専念、『ライ麦畑でつかまえて』の執筆を開始した。1950年1月、短編小説『コネチカットのひょこひょこおじさん』(『ナイン・ストーリーズ』収録作品)の映画化『愚かなり我が心』をハリウッドのサミュエル・ゴールドウィンが全米公開するが、映画の評判は芳しくなく、サリンジャーもこの映画を見て激怒し、それ以来自分の作品の映画化を許可することはなかった。1950年秋『ライ麦畑でつかまえて』が完成する。当初ハーコード・プレスから作品は出版される予定だったが、「狂人を主人公にした作品は出版しない」と出版を拒否される。結局リトル・ブラウン社から刊行された。文壇からは賛否両論があり、また保守層やピューリタン的な道徳的思想を持った人からは激しい非難を受けた。しかし主人公ホールデンと同世代の若者からは圧倒的な人気を誇り、2007年までに全世界で6000万部以上の売り上げを記録。現在でも毎年約50万部が売れているとされる。

                    • -

『世界文学大図鑑』

ジェイムズ・キャントンほか/著、沼野充義/監修 三省堂 2017年発行

もう17歳なんだけど、ときどき13歳がやるみたいなことをしてしまう 『キャッチャー・イン・ザ・ライ』(1951年) J・D・サリンジャー より

1950年代のアメリカで「ティーンエイジャー」という概念が誕生するそのはるか前より、ゲーテキーツから、ジョイスやフイッツジュラルドまで、数多の作家が思春期の不安定な心を書い描いてきた。しかし、この時期のティーンエイジャーたちは荒々しい新たな音楽の創作やスリルを求めた行動によって、保守的な社会と文化に疑問を投げかけ、戸惑い混じりの拒絶を受けていた。大人たちはこの世代を道徳的に乱れた無気力な者たちと見なした。一方、ティーンエイジャーはみずからを冷淡な世界の異端者と見なし、偽善を暴こうと応戦した。サリンジャーの作品はそのように位置づけられる。『キャッチャー・イン・ザ・ライ』の語り手である17歳のホールデン・コールフィールドは、両親の金を散財しながら、人間の条件、性、倫理について容赦のない意見を口にする。権威を重んじず、みずからの破滅へ向かうような生き方も気にかけていないかのようだ。

10代の不満

だがホールデン・コールフィールドは、単なる10代の反逆者にとどまらない。欺かれたこと、自身の不完全さ、言動の不一致をあけすけに告白するさまは、幼少時代の無邪気さに憧れ、悲嘆に暮れ、大人社会の矛盾を感じとって苦悩するひとりの個人のものである。コールフィールドは二面的な感情を持つ傷つきやすい人物であり、繊細で機知に富んでいるが、同時に未成熟で粗野でもある。誠実さを気安く無視したり、社会規範を蔑視したりといった部分は、本音をさらけ出そうとする衝動や、作中で出くわすさまざまな人物に対する驚くべき寛容さがあるために、あまり気にならない。
    ・
汚れた現実を描くこのリアリズムが論争を招くのは避けられず、稚拙で感傷的とと片づけた評論もいくつかあった。だが、出版から数年のうちに、サリンジャーはカルト的な支持を獲得した。

死と悲しみは『キャッチャー・イン・ザ・ライ』全体に見られるテーマである。

弟が死に、憤慨してこぶしでガラスを打ち砕く。いじめに遭っていたクラスメイトが悲劇的な最期をとげる。この小説のタイトルは、ライ麦畑を駆けまわる子供を崖から落ちる前に制止する(つかまえる)ことを指している。第2次世界大戦で多くの若い兵士の命が失われたことにサリンジャーが刺激され、危機に瀕したティーンエイジャーの登場する力強い一人称語りの作品を書く契機となった可能性は大いにある。

                    • -

どうでもいい、じじぃの日記。
図書館で新刊書コーナーを覗いてみたら、竹内康浩・朴舜起著『謎ときサリンジャー 「自殺」したのは誰なのか』という本があった。
サリンジャーとは何者なのか?
彼の作品『The Catcher in the Rye』は、日本語版では『ライ麦畑でつかまえて』というタイトルで翻訳されている。

「ゲームかよ、くだらねぇ」と息巻いていたホールデンは、まだ物語が始まったばかりのこの時点では、この世のゲームを構成しているのが勝者と敗者だと思い込んでいる。だが、サリンジャーから見れば、世界というゲームを本当にプレイしているのは死者と生者であったはずである。つまり、世界は左右や東西南北に分かれて平面上で生者同士が衝突しているのではなくて、むしろ上下に分かれていて、地平にいる生者と、天あるいは地中にいる死者がぶつかり合っている。こんな縦方向の軸をも含んだ、いわば一次元上の視点から、サリンジャーは世界を眺めていたように思われるのである。

なかなか意味深の小説のようだ。
一説には、サリンジャーは第2次世界大戦に従軍し、心の病い(PTSD)を抱えていたともいわれる。
J・D・サリンジャー著の日本語版『ライ麦畑でつかまえて』は、村上春樹訳『キャッチャー・イン・ザ・ライ』としても出版されているそうです。