じじぃの「歴史・思想_541_日本の論点2022・日韓歴史対立・ポスト文政権下でも」

ミサイル連発の北朝鮮…“核”兵器開発も継続 【1月18日(火) #報道1930】

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=LORwCJMAYEE&t=21s

北朝鮮極超音速ミサイル発射実験に成功=国営メディア

報道1930

2022年1月18日 BS-TBS
【キャスター】若林有子、松原耕二 【コメンテーター】堤伸輔 【ゲスト】小野寺五典自民党衆院議員)、古川勝久(元国連安保理北朝鮮制裁委員)、平井久志(共同通信客員論説委員
●ミサイル連続発射 北朝鮮は何を狙う
北朝鮮は1月17日、今年に入って4回目のミサイル実験を行った。
何故今違うタイプのミサイル発射を続けざまに行ったのか。
そして同じ時期に中国が北朝鮮との貨物輸送を再開したと発表。
北朝鮮の核施設を捉えた衛星写真から何が読み取れるか。
https://www.bs-tbs.co.jp/houdou1930/

『これからの日本の論点2022』

日本経済新聞社/編 日経BP 2021年発行

世界はこれからどうなる

論点21 視界不良、日本の周辺国外交 より

【執筆者】池田元博(編集委員
日本外交にとって、国際社会の焦点となっている米中対立の影響の見極めはもちろん大切だが、それに劣らず重要なのは、周辺国との関係をどう舵取りしていくかだ。隣国の韓国とは歴史問題をめぐる対立が障害となり、かつてなく関係が冷え込んでいる。核・ミサイル開発を続ける北朝鮮とは公式接触の機会がまく、日本人拉致被害者の問題も解決のめどが立たない。北方領土問題を抱えるロシアとの関係も、決して良好とはいえない。周辺国の韓国、北朝鮮、そしてロシア。視界不良のなか、日本はいずれも難しい外交を迫られそうだ。

歴史対立、ポスト文政権下でも

文大統領は2022年5月に任期満了を迎える。さすがに日本との関係悪化を放置したまま退任できないと考えたのだろう。2021年1月の大統領記者会見では、慰安婦問題をめぐる2015年の日韓合意について「政府間の公式合意だ」と言明。元徴用工訴訟に関しても「強制執行で資産が現金化される方法は両国関係にとって望ましくない」と表明し、事態収拾に乗り出す意向を示した。
大統領の発言が影響したのだろうか。韓国司法の判断にも変化の兆しが出てきた。ソウル中央地裁は2021年4月、日本政府に損害賠償を求めた元慰安婦らの訴えを却下した。同地裁は同年6月には、元徴用工や遺族が日本企業に賠償を請求した集団訴訟でも原告側の訴えを退けた。とはいえ、韓国の政権が抜本的な解決策を示さない限り、問題はくすぶり続け、最終的に決着しない。任期が残りわずかとなった文政権が、そこまで譲歩して抜本解決に取り込むとは考えにくい。文大統領が東京五輪に合わせた首脳会談を見送った理由も、歴史問題ではなく、日本の対韓輸出管理に関して厳格化撤廃への「成果」が見込めなかったからだという。
韓国の次期大統領選は、2022年3月9日に投開票される。出馬表明している保守派の有力候補の一人、尹錫悦(ユン・ソクヨル)前検察総長は文政権の対日政策について、理念偏向で「政権末期になって収拾しようとしているがうまくいっていない」と批判する。もっとも日韓関係は、大統領選の大きな焦点ではない。候補者によって対日観は異なるものの、だれが大統領に当選しても、次期政権の難題は山積する。しかも、対日政策は国民の機微に触れる歴史認識が絡むふだけに、優先課題にはなりそうにない。ポスト文政権下でも日韓の歴史問題をめぐる根深い対立は続くと見られ、こじれた関係を修復するのは容易ではない。

日朝、直接協議への道筋見えず

北朝鮮新型コロナウイルス対策で国境を封鎖した影響もあって、食糧不足など経済苦境がかなり深刻化しているようだ。正恩氏は最大の後ろ盾となっている中国とは良好な関係を維持し、南北関係の改善に躍起となっている韓国の文政権には硬軟両様で対処しながら、経済支援の獲得を目指していくと見られる。一方で米国に対しては再び、中・長距離の弾道ミサイル発射や核実験などを強行して揺さぶりをかけ、制裁緩和などの譲歩を引き出そうとする恐れがある。北朝鮮は2021年9月、新型の長距離巡航ミサイルや短距離弾道ミサイルなどの発射実験を相次ぎ実施した。
シンクタンクの国際戦略研究所とロシアのエネルギー安全保障研究センターによる共同報告書によると、北朝鮮は2020年9月時点で核弾頭13~47発分の核物質を保有しているという。北朝鮮の核・ミサイル開発は日本にとっても大きな脅威となる。2021年版の日本の防衛白書は、北朝鮮弾道ミサイルの技術や運用能力を急速に向上させているなどとし、「重大かつ差し迫った脅威」と位置づけた。
日本政府は従来、対北朝鮮政策で、拉致・核・ミサイル問題の包括的解決を唱えてきた。日朝間の首脳会談も拉致問題の解決と日本人被害者の早期帰国に資する必要があるとしてきたが、2019年5月、当時の安倍首相は「前提条件なし」の日朝首脳会談を提案した。核・ミサイル問題とともに、特に日本人拉致被害者の問題解決を促すのが主な目的だった。
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経済苦境下の北朝鮮にとって日本からの多額の経済協力は魅力だ。だが、日本外交は米国との同盟関係を最も重視する。肝心の米朝関係が改善しない限り経済制裁は解除されず、日本からの経済協力も望めない。このことは北朝鮮も重々承知している。日本政府が重視する拉致問題北朝鮮接触に応じる可能性は皆無ではないが、基本的には米朝対話が進まない限り、首脳会談を含めた日朝の公式直接協議への道筋はなかなか見えそうにない。