じじぃの「科学・地球_258_生態学大図鑑・水危機」

No Water Supply in Hyderabad from Last 2 Days to Resolved MLA Ahmed Pasha Reached Wall Repair Site

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=quNBG5G_1ls

water supply in Hyderabad outskirts

Telangana govt allots Rs 1200 Cr to ramp up water supply in Hyderabad outskirtsSEPTEMBER 23, 2021 The News Minute

https://www.thenewsminute.com/article/telangana-govt-allots-rs-1200-cr-ramp-water-supply-hyderabad-outskirts-155663

生態学大図鑑』

ジュリア・シュローダー/著、鷲谷いづみ/訳 三省堂 2021年発行

水は共有財産、そして人間の権利 水危機 より

【主要人物】モード・バーロウ(1947年~)

2008年に、カナダの環境保護活動家のモード・バーロウは、水不足は生態系と人間にとって21世紀の最も差し迫った危機になっていると訴えた。彼女は、水は「共有財産(コモンズ)」であり、水の利用は根本的な人権であると強調して、水の浪費と汚染がいかに水循環――地表と大気との恒常的な水の交換――を損ない、水供給システムとしての持続性をあてにできないものにしているかについて論点を整理した。彼女は、水不足は開発途上国では、すでに危機的問題になっており、水汲みをする女性と子どもの負担はとくに大きく、抜本的な対策が立てられなければ世界の残りの地域も同じ問題に直面するだろうと述べた。
およそ11億人の人々が容易に水を得ることができず、27億人が1年のうち少なくとも1ヵ月間の水不足を経験している。地球表面の70%は水で覆われているが、そのほとんどは海水である。淡水でしかも利用可能な水はわずか0.014%にすぎない。その水は主に川、湖、地下の帯水層(地下水を蓄えた層)から得られる。人々は、飲料水や、風呂や洗濯の水、田畑の灌漑、工業用水として使う。そして、地球上のすべての植物と陸生動物は生きるために真水を必要とするので、それらすべてが水危機の影響を受ける。

浪費される水

人口が多いほど水をより多く使うが、その水の多くが、とくに先進国では無駄になっている。先進国の1人あたりの水の平均使用量は、開発途上国の約10倍もしくはそれ以上である。貴重な淡水資源が枯渇し(たとえば、アメリカとメキシコの間のリオ・グランデ川の干し上がり)、あるいは使えないほど汚染されつつある。インドのガンジス川インドネシアのチタルム川は、世界で最も汚染された2つの川である。現在のペースで水の消費が進むと、水をとりまく状況はさらに悪化するだろう。2030年までには世界人口の3分の2が水不足に直面する可能性がある。生態系も同じように被害を受けるだろう。

インドの水不足

水を待つ列。2007年のハイデラバード(ニューデリーやムンバイなどの都市部)のスラム地域で。インドは2018年に深刻な水危機に陥った。水の需要は2030年までに、現在の供給可能量の倍すると予想させている。

水不足

水不足には2つのタイプがある。1つは、もともと水が十分でない北アフリカアラビア半島、中央・南アジアの広い地域、中国北部、米国南西部などの地域における「物理的な水不足」である。それとは対照的なのが「経済的水不足」であり、水は利用可能なのに、利用のためのインフラストラクチャーがないことによって生じる。そのような状況は、サハラ以南のアフリカや中米の一部の地域で見られる。最も近い水場まで毎日数時間をかけて歩いて通わなければならない。多くの子どもが、水汲みのために養育の機会を失っている。

野生生物への影響

水危機は人類にとって問題なだけでなく、動物によっては絶滅や減少とも深く関わる。アマゾンカワイルカは、南米のアマゾン川オリノコ川の流域に生息するのが、個体数が激減している。その原因には、採鉱による重金属汚染だけでなく、ダム建設も関わっている。ダムは、アマゾンカワイルカの餌となる魚の産卵場所への回遊を妨げるからだ。また中国でも、世界一大きな両生類であるチュウゴクオオサンショウウオが、貯水と水力発電を目的とするダム建設により、絶滅寸前の状態に陥っている。このような土木工事は、川の自然な流れを変え、生物のハビタット(生息・生育場所)を大きく改変する。
生態系管理に関して全体を考慮に入れる広い見方は、水危機がさらに深刻化することを防ぐ上できわめて重要である。たとえば、「クリーンな」エネルギーで稼働する下水処理場は、バイオ燃料作物の肥料になる廃水を提供し、生産されたエネルギー作物で温室効果ガスを削減しつつ、さらに下水処置場を稼働することができる。