じじぃの「科学・地球_223_ホワット・イズ・ライフ?リボソーム」

【高校生物】 細胞5 リボソーム(12分)

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=zBXcDMbD7KA

リボソーム 典型的な動物細胞の模式図

リボソーム

ウィキペディアWikipedia) より
リボソームまたはリボゾーム(英: ribosome; ライボソーム)は、あらゆる生物の細胞内に存在する構造であり、粗面小胞体 (rER) に付着している膜結合リボソームと細胞質中に存在する遊離リボソームがある。
mRNAの遺伝情報を読み取ってタンパク質へと変換する機構である翻訳が行われる場である。大小2つのサブユニットから成り、これらはタンパク質(リボソームタンパク、ribosomal protein)とRNAリボソームRNA、rRNA; ribosomal RNA)の複合体である。細胞小器官に分類される場合もある。2000年、X線構造解析により立体構造が決定された。
【分布・構造】
リボソームは、RNAの情報からタンパク質を合成するという容易ならざる作業を正確に行うため、大きく複雑な構造体となっている。リボソームは50種類以上のタンパク質と、少なくとも3種類のRNA分子から構成され、分子量としては大腸菌では2.7 MDa、哺乳類では4.6 MDaにもなる。またミトコンドリア葉緑体も独自に真正細菌のものと類似したリボソームをもつ。

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WHAT IS LIFE?(ホワット・イズ・ライフ?)生命とは何か

ポール・ナース (著) / 竹内薫 (訳)
生きているとはどういうことか?生命とは何なのだろう?人類の永遠の疑問にノーベル賞生物学者が答える。
まえがき
1 細胞―細胞は生物学の「原子」だ
2 遺伝子―時の試練をへて
3 自然淘汰による進化―偶然と必然
4 化学としての生命―カオスからの秩序
5 情報としての生命―全体として機能するということ
世界を変える
生命とは何か?

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『WHAT IS LIFE?(ホワット・イズ・ライフ?)生命とは何か』

ポール・ナース/著、竹内薫/訳 ダイヤモンド社 2021年発行

4 化学としての生命―カオスからの秩序 より

分子の「立体パズル」

生命は20種類のアミノ酸を利用する。アミノ酸にはそれぞれ、ポリマー鎖から分岐して横にくっついた分子があって、それにより化学的特性が決まる。だから、正や負の電荷をもつアミノ酸もあれば、水にくっつくもの、はじかれるもの、さらに他の分子と簡単に結合しやすいものなどがあるんだ。異なる横分子を持った、さまざまなアミノ酸を組み合わせることで、細胞は、実に多様なタンパク質ポリマー分子を作り出す。
こうした線状のタンパク質ポリマーの鎖は、いったんつながると、今度は折り紙のようになって、複雑な三次元構造を作り出す。粘着テープがぐちゃぐちゃに丸まって玉になるのにちょっぴり似ているけれど、タンパク質の折りたたまれた方は、同じ構造を正確無比に作り出すことができ、はるかに再現可能なプロセスなんだ。
細胞では、これと同様のアミノ酸の紐が、常に同じ特定の形を作ろうとする。一次元の紐から三次元の立体への形の飛躍はきわめて重要だ。それは、それぞれのタンパク質に独特な形と固有の化学的性質があることを意味するから。結果として、細胞は、働きかける相手の化学物質とぴったり組み合わさるような酵素を作ることができる。
たとえば、インベルターゼとスクロースの分子は「立体パズル」のようにピタリと合わさる。これによって、酵素は、特定の化学反応を引き起こすために必要な化学条件を正確に提供できる。
酵素は、細胞の代謝の基礎になる、ほとんどの化学反応を実行する。でも、他の分子を作ったり壊したりするだけでなく、他にも多くの役割を担っている。品質管理の役目を果たし、異なる部位の細胞間で成分やメッセージを運び、他の分子を細胞の内や外に輸送する。
他にも、侵入者に目を光らせ、細胞を守り、したがって、われわれの身体を病気から守るタンパク質を活性化する酵素もある。とはいえ、酵素はタンパク質の1つに過ぎない。髪の毛や胃の中の酸や眼の水晶体にいたるまで、われわれの身体のほとんどすべての部分は、タンパク質からできているか、タンパク質によって作られるかのどちらかなんだ。
こうしたさまざまなタンパク質はすべて、細胞内で特定の機能を発揮するように、何千年もの進化によって磨かれてきた。比較的単純な細胞にさえ、膨大な数のタンパク質分子がある。小さな酵母細胞1つにも、全部で4000万個以上のタンパク質分子がある。つまり、極小の細胞の中に、東京の人口の何倍ものタンパク質が詰め込まれているってわけだ!
こうしたタンパク質の多様性がもたらしたのが、すべての細胞で常に実行され続けている化学反応による大混乱だ。分子の世界が見える眼で、生きてる細胞を見ていると想像してごらんよ。化学的活性の沸き立つような大騒乱が、あなたの感覚に襲いかかるはずだ。
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毎秒、何千何万という化学反応の中を駆け抜け、驚異的な速さで化学反応の作用を制御する細胞の酵素もある。こういった酵素は、速いだけでなく、恐ろしく正確でもある。化学エンジニアにとっては夢物語のようなレベルの性格さと信頼性で、個々の原子を巧みに処理することができる。しかし、考えてもみてほしい。進化は、われわれ人間が存在する前から、何十億年という悠久の時をかけて、じっくりとプロセスを改良してきたんだ!
これらすべてを連携して機能させるのは、まさに離れ業だ。細胞の中で同時発生する無数の化学変化は無秩序に見えるけれど、実際には非常に高度な秩序を保っている。
全体が正常に機能するためには、異なる反応ごとに、特定の化学条件が必要だ。より酸性もしくはアルカリ性の環境を必要とする反応、カルシウムやマグネシウム、鉄、カリウムなどの特定の化学イオンを要求する反応、水を必要とし、それで速度を落とす反応もある。

配達人?

リボソームは、新しいタンパク質を作るために、お目当ての遺伝子の暗号を読んで、20種類の「アミノ酸のアルファベット」に変換する。手始めに、細胞はお目当ての遺伝子の一次的なコピーを作る。このコピーはRNAからできている。
これは配達人の役割を果たし、実際に「メッセンジャーRNA」と呼ばれている。配達人? まさに、核の中の遺伝子からリボソームへ、遺伝子の情報をコピーを携え、物理的に輸送するんだ。リボソームは、メッセンジャーRNAを「鋳型」と利用し、遺伝子の指示通りの順序でアミノ酸を一列に並べてタンパク質を作る。周囲から独立した、高度に組織化されたミクロ環境を形成することで、リボソームは、複数の段落と複数の酵素が関与するプロセスを、正確かつ迅速に実行する。
それぞれのリボソームが、300個程度のアミノ酸を含む平均的なタンパク質を作るのにかかる時間は、僅か1分だ。
リボソームよりもずっと大きいけれど、それでも、人間に身近なスケールよりはめちゃめちゃ小さいのが細胞小器官だ。細胞小器官は、それぞれ固有の脂質膜で包まれている。脂質膜は、真核生物の細胞内で、大切な区画の層を提供してくれる。細胞の中心にあるのが「核」として知られている細胞小器官だ。顕微鏡のもとでは、核は通常、最も見やすい細胞小器官なんだ。