じじぃの「科学・芸術_923_遺伝子DNAのすべて・RNAの世界」

'Zombie gene' protects elephants from cancer

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=g6YYt3rTkz0

死後も人体の中で生き残り続けるゾンビDNA

【革命的】死後も活動するゾンビ遺伝子が人体で確認される! “死の定義”が激変する可能性も?

2018.02.15 TOCANA
死後、人体の中で活動する遺伝子が存在することが新たな研究で明らかになった。英国営放送「BBC」(13日付)が報じている。
https://tocana.jp/2018/02/post_15999_entry.html

『ビジュアルで見る 遺伝子・DNAのすべて』

キャット・アーニー/著、長谷川知子、桐谷知未/訳 原書房 2018年発行

RNAの世界

遺伝子活性の微調整から将来的な治療の基盤づくりまで、RNAはただの分子メッセンジャーというよりも、はるかに大きな役割を担っている。

ここまで、RNA(リボ核酸)を、遺伝子とそれがコードするたんぱく質の橋渡しをする分子メッセンジャーという形で見てきた。これはもちろん重要な役割だが、それだけではない。RNAは多様な形と大きさで現れ、細胞のなかでさまざまな仕事をしている。自ら対になって2本鎖RNAやもっと大きく複雑な3次元形状をつくることや、1本鎖DNAと結合してRNA-DNAハイブリッドを生み出すことができる。
また、タンパク質と組み、細胞内で重要な仕事をするリボザイムは、アメリカの科学者シドニー・アルトマンとトーマス・チェックが初めて発見した。ふたりはRNAの謎のいくつかを解明したことで1989年にノーベル化学賞を受賞した。
すべては、ヒトの細胞内に大量のRNAが漂っていることを示している。ヒトゲノムのなかで、伝令RNA(mRNA)に転写され、タンパク質をつくらせる遺伝子は2パーセント未満なのに、他にもDNAの領域の多くがRNAに転写されることがわかってきた。これらをすべてまとめるとゲノムのかなりの部分を占めるが、多くの場合、こういうRNAすべてが何をしているのか、なぜそんなに大量につくられるのかはまだわかっていない。
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科学者たちの現在の考えでは、マイクロRNA(小さなRNA断片)は遺伝子活性を微調整する役割を務め、すべてが適切な働き続けるのを助けている。したがって、ある種のマイクロRNAの不具合が、がんや心臓病などの病気、肥満やアルコール依存症などの健康問題につながっていても不思議ではない。サイズは小さくても、マイクロRNAは間違いなく大きな影響力を持つが、この小さな分子がどのように遺伝子と健康の制御に役立っているかについては、まだ学ぶべきことがある。

DNAよりRNA? より

もし細胞内の分子すべてが人気コンテストを開催したら、きっとDNAが勝つだろう。メディアや広告キャンペーン、テレビ番組、映画のなかで、DNAのことはよく耳にする。いったい誰が、”自分のRNAのなか”にある歌や絵の才能について話すだろう? しかし、RNAはDNAやタンパク質が登場するよりはるか昔に地球上にあったという証拠が次々に見つかっている。40年前、フランシス・クリック(DNA構造の共同発見者のひとり)のような科学者たちは、RNAが形づくる複雑な3次元構造が、分子同士を結合させるなどの生物学的な仕事に利用されているのかもしれないと考えた。
これはリボソーム(細胞内の主要なタンパク質合成マシン)のおもな機能部分がタンパク質ではなく、RNAからなるという事実に裏づけされている。RNAは、文字配列の情報をコード化し、自らを精確に複製できる。それはなんといっても、生命の基本原理なのだ。RNAがDNAやタンパク質より先に現れたことは広く受け入れられているが、進化したいちばん最初の複雑な分子なのかどうかはまだはっきりしない。異論はあるものの、そこにいたるまでに、DNAやRNAよりもっと単純な分子に基づいた別の段階があったかもしれない。

ゾンビ遺伝子 より

ヒトゲノムには、いわゆる偽遺伝子が散らばっている。これらは”死んでいる”遺伝子で、もともとタンパク質にコードする機能的遺伝子として出発したが、進化の歴史のある時点で傷つくか壊れるかしたものだ。ホラー映画で死んだ人間がゾンビとしてよみがえるように、この死んだ遺伝子も一部がふたたび動き出して、RNAに転写されることがある。
もうタンパク質はつくらないが、ゾンビ遺伝子から生じたRNAは”生きている”遺伝子に
干渉して、その活動パターンを変え、細胞の機能に影響を与えるかもしれない。ホラー映画の登場人物ほど刺激的ではないが、このゾンビ遺伝子は生物学的に大きな影響力を持つ可能性がある。