ジム・アルカリリ:量子生物学は生命の最大の謎を解明するか? 動画 ted.com
https://www.ted.com/talks/jim_al_khalili_how_quantum_biology_might_explain_life_s_biggest_questions/transcript?language=ja
【紹介】量子力学で生命の謎を解く (ジム・アル・カリーリ,ジョンジョー・マクファデン,水谷 淳) 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=BIMHaTTw1Mo
量子トンネル効果
『量子力学で生命の謎を解く - 呼吸、光合成、嗅覚、磁気感覚…。生命の秘密は、量子の世界に隠されていた!』 ジム・アル=カリーリ、ジョンジョー・マクファデン/著、水谷淳/訳 SBクリエイティブ 2015年発行
生命のエンジン より
生物がやっていることはすべて、原子の押し合いへし合いで理解できる……。
リチャード・ファインマン
酵素は生命のエンジンだ。そのなかでも我々におそらくもっとも馴染みの深いものとしては、しみを取り除く「酵素入り」洗剤に加えられているプロテアーゼやジャムに加えて安定化させるペクチン、あるいは牛乳を凝固させてチーズを作るために加えられるレンネットなど、日々ありふれた使われ方をしているものがある。また知っている人もいるかもしれないが、我々の胃や腸のなかではさまざまな酵素が食物を消化する役割を担っている。しかしそれらは、自然界のナノマシンの働きのなかでもかなり些細な例だ。原始のスープのなかで姿を現した最初の微生物から、ジュラ紀の森を闊歩していた恐竜、そして現在生きているすべての生物に至るまで、あらゆる生命は酵素に頼っている。あなたの身体のなかにある1個1個の細胞は、何百や何千というこのような分子マシンで満たされており、それらが生体分子の組み立てと再利用のプロセス、我々が生命と呼ぶプロセスを、絶えず手助けしているのだ。
ここで鍵となるのが、酵素の働きを指す「手助け」という言葉だ。酵素の仕事は、本来ならあまりにも遅いさまざまな生化学反応を加速させる(「触媒する」)ことである。つまり、洗剤に添加されているプロテアーゼは、しみに含まれるタンパク質の分解を加速させ、ペクチンは果実に含まれる多糖の分解を加速させ、レンネットは牛乳の凝固を加速させる。同じように、我々の細胞のなかにある酵素は、細胞内の何兆個という生体分子を絶えず何兆個という別の生体分子へ返還することで我々を生かしつづけている、「代謝」というプロセスを加速している。
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生命は、量子世界の基準から見れば高温で活動している。そのため生化学の歴史のほとんどを通じて、酵素による陽子の移動は、エネリギー障壁を乗り越える非量子的なメカニズムのみによって起きていると考えられていた。しかし1989年、カリフォルニア大学バークレー校のジュディス・クリンマンらが、酵素反応で陽子のトンネル効果が起きている直接的証拠をはじめて示したことで、その見方は変わった。クリンマンは生化学者として長年にわたり、生命の分子的仕掛けには陽子のトンネル効果は生物学全体でももっとも重要で広く用いられているメカニズムだと主張する。クリンマンの大発見は、酵母が持っているアルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)という酵素の研究によってもたらされた。この酵素は、アルコール分子からNAD+という別の小分子へ陽子を移動させて、NADH(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、細胞の主要な電子の運び手として前に登場した)を生成する働きをする。クリンマンの研究チームは、「速度同位体効果」と呼ばれる巧妙な手法を使って、陽子のトンネル効果が起きていることを裏付けた。
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どうでもいい、じじぃの日記。
生命活動の主役は「酵素」だ。
酵素は生体で起こる化学反応に対して触媒(反応を加速する働きをする)として機能する分子だ。
「生命の分子的仕掛けには陽子のトンネル効果は生物学全体でももっとも重要で広く用いられているメカニズムだと主張する」
生体内での量子的な振る舞いは、細胞の中で触媒の働きをする分子なのかもしれない。