じじぃの「科学・芸術_285_量子トンネル効果」

宇宙創生の瞬間 動画 Youtube
https://www.youtube.com/watch?v=nhNES27rpN8
 量子トンネル効果

【宇宙の神秘】 「無」からの宇宙創成 2016年07月13日 ヤスコヴィッチのぽれぽれBLOG
●エネルギーの山 (障壁)をこえる「トンネル効果」
量子論にもとづいた現象に「トンネル効果」がある。
宇宙の誕生には大きな“障壁”が立ちはだかっており、この“障壁”を超えてようやく宇宙は誕生するという。
この“障壁”をこえるときに、「トンネル効果」が起きたと考えられている。
http://yascovicci.exblog.jp/25786634/
『多世界宇宙の探検』 アレックス・ビレンケン/著、林田陽子/訳 日経BP社 2007年発行
捨て去るには美しすぎる より
真空が崩壊する過程は水の沸騰によく似ています。真の真空の小さな泡がランダムに出現して、偽の真空うの真ん中で膨脹します。泡が成長するとき、泡の内部はほとんど空のままです。偽の真空が真の真空に姿を変えることから生まれたすべてのエネルギーは、拡大してゆく泡の壁に集中します。泡同士が衝突してくっつくとき、泡の壁は崩壊して素粒子が放出されます。最終的には、物質の熱い火の玉で満たされた真の真空が姿を現します。
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温度のように方向を持たない場(空間の中のあらゆる点でなんらかの値をもつ量)はスカラー場と呼ばれます。スカラー場の値はひとつの数字で示すことができます。つまり、場の強さです。スカラー場は素粒子物理学で重要な役割を果たしています。現代の素粒子理論によれば、宇宙の空間には多くのスカラー場が充満していて、その値が真空エネルギーや、素粒子の質量や、素粒子の間の相互作用などを決定します。言いかえると、私たちがいま向き合っている真空の性質を決定しているのは、スカラー場なのです。いま、スカラー場は真の真空の値を持っています。しかし、宇宙では違っていました。
真空崩壊の物理を図式化に示すために、ひとつのスカラー場だけを取り上げて、スカラー場がどのように真空エネルギーに影響するかということに焦点を当ててみましょう。1立方センチメートルの空間にはエネルギーがあり、そのエネルギーは場の強さに依存します。その正確な依存関係はいまのところよくわかっていませんが、一般的な形式としては、起伏のあるランドスケープのようなものだと考えられています。図(画像参照)に示したような、いくつかの丘(極大値)と谷(極小値)のあるランドスケープです。スカラー場の振舞いは、エネルギー・ランドスケープの傾斜に沿って転がるボールの動きと非常によく似ています。場の値はボールの水平軸上の位置で表されます。ボールの行き着く先は最初の位置によって違いますが、いずれにしてもボールは図の中でエネルギーが極小のところへ転がり落ちていきます。図の中で低い方の極小値はほぼゼロのエネルギー密度を持っています。これは真の真空に相当します。高い方の極小値は高エネルギーの偽の真空に相当します。
いま、空間内のどの点も偽の真空であるとしましよう。この状況は、高い方の極小値にあるボールによって表されます。誰かがボールを上へ蹴り上げて、ボールが障壁を乗り越えて低い方の極小値にたどり着くだけのエネルギーを与えなければ、ボールはずっとそこに止まっているでしょう。ところが量子力学の理論によれば、物体はエネルギー障壁を「トンネルして」通り抜けることができるのです。もしもそんな出来事を観察できたとしたら、ボールが消えた瞬間に障壁の反対側に出現するのが見えるはずです。
量子トンネル効果は確率的な過程です。それがいつ起こるかを正確に予言することはできません。しかし、それが一定の時間内に起こる過程を計算することができます。ボールのように巨視的な物体の場合、トンネル効果が起こる確率はごくわずかです。たとえば、自動販売機からトンネル効果で出てくるコーラの缶をほしいと思ったら、現在の宇宙の年齢よりもずっと長い間待たされることでしょう。しかし素粒子の微視的な世界では、量子トンネル効果ははるかによく起こるのです。