じじぃの「科学・地球_213_5000日後の世界・アジアの世紀・中国とインド」

The Greater Bay Area: How will China’s answer to Silicon Valley push on?

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=rju-YKQ1rJI

Greater Bay Area: China's ambitious but vague economic plan

26 February 2019 BBC NEWS
The Greater Bay Area plan, unveiled this week, would link Hong Kong, Macau and nine other cities in southern China.
The project aims to foster growth in the world's second largest economy by developing technology and innovation, boosting infrastructure and increasing financial links between the cities.
Some say China is trying to create an innovation cluster to rival the likes of Silicon Valley.
https://www.bbc.com/news/business-47287387

5000日後の世界 すべてがAIと接続された「ミラーワールド」が訪れる

ケヴィン・ケリー(著)
『WIRED』誌創刊編集長として長年ハイテク業界を取材していたケヴィン・ケリー氏に言わせれば、今ほど新しいことを始めるチャンスにあふれている時代はない。
はじめに
第1章 百万人が協働する未来
第2章 進化するデジタル経済の現在地
第3章 すべての産業はテクノロジーで生まれ変わる
第4章 アジアの世紀とテック地政学
第5章 テクノロジーに耳を傾ければ未来がわかる
第6章 イノベーションと成功のジレンマ

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『5000日後の世界』

ケヴィン・ケリー/著、大野和基/インタビュー、服部桂/訳 NHK出版 2021年発行

第4章 アジアの世紀とテック地政学 より

中国とインドが世界の趨勢を左右する2大プレイヤーになる

第2章で、この時代を「AIの時代」「没入型コンピューティングの時代」「新生物学的な時代」と述べましたが、加えてこれらの時代は「アジアの世紀」と呼ぶべきかもしれません。
長らく相対的に貧しかったアジアの人々が中産階級化して成熟した期間が確かにあり、彼らの多くが非常に裕福になっています。最初に訪れたときは草ぶきの小屋に住んでいた人が、次に行ったときには大きなコンドミニアムに住んでいる、という姿を私もよく目撃しています。
私はずっとアジアを旅し、見聞きしてきたので、非常に楽観的な見方をしています。最初にアジアに行ったのは香港と台湾で、1972年のことでした。そして同じ年に日本や韓国にも行きました。そこで実際に人々がゼロから立ち上がって世界一の富豪になっていく姿を見ています。また中国やインドには、昔もいまも定期的に訪れて多くの時間を過ごし、何億人もの人が実際にどう動いたかをずっと追ってきました。
実はそうしたアジアの姿を見ていると、一抹の不安を感じました。現代のアメリカの、自国の政府は例外的な存在で、特別な役割を担うスーパーパワーで、世界の警察としてリーダーであり続ける、という考え方が通用しなくなってくると感じたのです。それこそがトランプ大統領が出てきた理由でもあります。アジアがずっと興隆し続け、アメリカが先頭に立つ時代が終ったことを認識できず、人々が感情的に抵抗しているのです。
中国やインド、韓国、ベトナムについていろいろ見てきましたが、この変容はまだ継続中で、これらの国は次の世代には完全に近代化されるばかりか、多くの点でアメリカやヨーロッパが成し遂げたものを上回ると思われます。私が中国やインドを定期的に訪れているのは、これから何が起きるのかを見届けたいというのも理由の1つです。
考えてみてください。中国とインドの人口を合わせると約28億人と、この2ヵ国だけで世界人口の3分の1以上です。この数はアメリカの人口の約10倍の規模で、数字上だけでも中国とインドの世界への影響力がアメリカを上回っています。彼らがエネルギー問題や公害、二酸化炭素排出、温暖化、気候変動にどう対処するかは、アメリカより大きな影響を世界に与えるのです。
そして、かなり近い将来に文化的にも大きな変容を遂げるでしょう。彼らが世界の人々が買って真似したくなるような、いままでと違った音楽や映画などを創り出すのです。

今世紀中に、ある産業に特化した都市のクラスターが出現する

長期的には、現在の深圳で起きているように、ある種の産業に特化した都市のクラスター(集団)ができていくでしょう。深圳ではソフトウェアではなく製造業に特化し、シリコンバレーにソフトウェア開発を集約するという感じです。こうした全体がエコシステムになります。
例えばボストンのような所がロボット開発の中心になり、ロボット関連のスタートアップが集まる。ロボット関連の起業をしたかったら、ボストンに行けばいい。家電関連の起業をしたかったら、深圳に行けばいいといった具合です。いまでは南カリフォルニアには映画のスタートアップのクラスターができています。ですから映画監督やスターになりたかったら、インドのボリウッドもいいでしょうが、ハリウッドの方がもっと大きくて有利です。
今世紀には産業別に中心となる都市ができ、その分野を目指すならそこに行くという話になるでしょう。デザインならアムステルダムということになれば、世界中のデザイナーがそこを目指すのです。東京はどういう中心になるのかわかりませんが、ロボット産業でしょうか?
メガシティークラスターができ、才能や資金をやり取りし合うんです。目がクラスターとは、人口が数千万人以上の規模で都市を囲む一帯ですね。個々の都市より広い地域です。

東京やサンフランシスコのベイエリア、広州、深圳、香港、メキシコシティといったところの一帯や、ボストンとワシントン、ニューヨークが集まって1つの都市のように機能するのです。