コロナワクチン3回目を接種 バイデン大統領 (2021年9月28日)
コロナワクチン3回目を接種 バイデン大統領 (2021年9月28日)
新型コロナワクチン 本当の「真実」
宮坂昌之【著】
免疫学の第一人者として絶大な信頼を得ている著者が、最新の科学的エビデンスをもとに新型コロナワクチンの有効性と安全性を徹底分析。
これ1冊読めば、ワクチンに対する疑問と不安がすべて解消する新型コロナワクチン本の決定版!
序文
プロローグ 新型コロナウイルスはただの風邪ではない
第1章 ワクチンは本当に効くのか?
第2章 ワクチンは本当に安全か?
第3章 ワクチンはなぜ効くのか?
第4章 ワクチン接種で将来不利益を被ることはないのか?
第5章 ワクチン接種で平穏な日常はいつ戻ってくるのか?
第6章 新型コロナウイルスの情報リテラシー
第7章 「嫌ワクチン本」を検証する
第8章 新型コロナウイルス感染症の新たな治療法、そして未来
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『新型コロナワクチン 本当の「真実」』
宮坂昌之/著 講談社現代新書 2021年8月発行
第2章 ワクチンは本当に安全か? より
日本で現在接種が始まっているファイザー製とモデルナ製のワクチンの有効率は90%台半ばであることがすでに示されています。これは予想もしなかったほどの見事な数字ですが、ここで気になってくるのがワクチン接種に伴って発生する副反応です。どんな優れた効果のあるワクチンであっても、深刻な副反応が出るリスクが高いと安心して接種することはできません。はたして新型コロナワクチンは「安全」といえるのでしょうか。最新のデータをもとに分析してみました。
慎重だった私も、副反応のデータを見てワクチン接種を決意
「はじめに」でも書きましたが、ファイザー製とモデルナの臨床試験の最終結果が発表された2020年11月時点では、私は安全性についてもう1つ確信が持てませんでした。両社が当時公開していたデータからどちらのワクチンにもきわめて高い発症予防効果があることはわかりましたが、副反応についての情報が不足しているように感じられたのです。
その後、世界的に権威がある医学論文誌の『New England Journal of Medicine』や『Lancet』等々にも臨床試験についての論文が出たのですが、ここでも発症予防効果や重症予防効果についての臨床データではしっかりしていたものの、安全性に関するデータの書き方は甘いものでした。「重篤な、生命に関わるような副反応は少なかった」と書かてはいるものの、それではもう少し軽い副反応にはどのようなものがあり、そしてどのくらいの頻度であったのかには触れられておらず、全体に安全性に関する記載が乏しかったのです。
加えて、ファイザー製とモデルナ製のワクチンは、ウイルスの遺伝情報の一部を主成分として使うまったく新しいタイプのmRNAワクチンです。本格的な臨床使用は世界で初めてで、しかも通常は10年近くかかるワクチン開発を1年未満で終えるという異例のスピードで作られたものです。それゆえ、信頼できるデータが集まるまでに安全性については慎重に判断したいと考えました。
2020年末に承認されたmRNAワクチンは、イスラエル、英国、そして米国で集団接種され、その後さらに実績を重ねてきました。
米国CDC(疫病対策センター)の調査によると、米国で新型コロナウイルスを少なくとも1回接種した人の数は、7月25日時点で1億8847万人余り、人口比56.8%と半数を超えています(2回接種は49.1%)。ワクチン接種が進んだ結果、米国の感染者数は減少に転じており、1日当たりの新たな感染者は、7月25日時点の1週間平均でおよそ4万7455人と、ピークのおよそ25万人と比べて大幅に減少しています。
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接種開始から約半年経過して、米国CDCを始めとして信頼すべき研究機関からの調査結果も次々にあがっており、ファイザー製とモデルナ製のワクチンがともに深刻な副反応のリスクは低いことがわかりました。そこで、私自身ワクチンを打つことへの抵抗感がすっかり消えて接種を受けることにして、事実、先日、2回の接種を無事終えています。
懸念される3つの重篤な副反応
高い効果と安全性が確認された新型コロナワクチンですが、決してノーリストというわけではありません。可能性はきわめて低いものの、重篤な副反応が起きることもあります。こうした副反応のリスクを事前に把握したうえで、ワクチン接種することが望まれます。
一般的な治療薬の倍、主な薬理作用以外の好ましくない作用のことを「副作用」といいます。これに対して、ワクチンの場合には主な作用は「免疫を付与する(免疫を付ける)」ことなので、それ以外の作用は「副反応」といいます。すなわち、副反応はワクチンによる免疫反応の中で起きる付随的な反応なのです。どうしても大なり小なり出てくる反応です。
副反応が起こるタイミングは、
・接種直後~数日以内
・接種から2~4週間後
・ワクチン接種をした人が接種後に新型コロナに感染したとき
に分けることができます。
新型コロナワクチンで懸念される重篤な副反応は主に3つあります。
①アナフィラキシー
接種直後に起きる重篤な副反応です。急激に全身的に起こるアレルギー反応の一種で、アレルギーの原因となる物質を摂取したりあるいは投与を受けた後に、皮膚や粘膜が痒くなったり、息が苦しくなったり、吐き気がしたり立ち眩みが起きたりします。この状態がさらに進むと、血圧が下がり、意識障害が起こるようになります。この状態をアナフィラキシーショックとよびます。これは、生命の危険をともなう緊急事態で、エピペンとよばれるアドレナリンの筋肉内注射がしばしば必要となります。医師による迅速な対応が必要です。
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以上まとめると、ファイザー製やモデルナ製のワクチンでは、まれにアナフィラキシーが発生しています。一般的なワクチン接種に比べると、やや発生確率が高いかもしれません。
②脳炎、神経マヒ
一部の生ワクチンでは、接種後に脳症または脳炎がまれに起こることがあります。たとえば、おたふく風邪(流行性耳下腺炎)のワクチン接種により、数千人に1人(0.05%程度)の頻度で、無菌性髄膜炎が起こることが報告されています。麻しんワクチン接種後の脳炎発症頻度は100万回に10回程度です。一般的に生ワクチン中の弱毒化されたウイルスが脳を包む膜である髄膜に達して炎症を起こすと考えられています(インフルエンザワクチンは生ワクチンではありませんが、まれに脳症が起きます)。
生ワクチンではないファイザー製やモデルナ製のワクチンは、脳炎の報告はほとんどありません。神経マヒはイスラエルや米国でワクチン接種後に顔面神経マヒが出たという報告がありますが、その数は非常に少なく、顔面マヒはウイルス感染などでも起こることから、ワクチン以外の理由によって起きた可能性もあります。今後も注意して見ていくことは大事ですが、現時点ではあまり心配しなくてもよさそうです。
③抗体依存性感染増強
抗体依存性感染増強(ADE)は、ワクチン接種でききた抗体が、接種後にウイルス感染したときに、かえって病態を悪化させてしまうというものです。実はネコ向けに作られたコロナウイルスワクチンでは、このADEが見られました。
接種してはいけない人と注意すべき人
前述したようにワクチンの成分に対してアナフィラキシーなどの重度の過敏症などの既往歴のある人はワクチンを接種できません。それ以外に、明らかに発熱している人(通常は37.5℃以上、37.5℃未満でも平時の体温に比べて発熱している場合)、重度の急性疾患にかかっている人も対象外です。
妊娠中・授乳中・妊娠計画中でもワクチンを接種できるのか?
現時点では妊娠中、授乳中、妊娠計画中の方でも、mRNAワクチンを接種することができます。しかし生まれてくる子に影響が及ばないか不安に思われる方も多いでしょう。
実は、新型コロナワクチンの臨床試験の対象に妊婦は含まれていなかったため、これまで、ワクチンが妊婦や胎児にどのような影響が与えるか、安全性や有効性に関するデータはほとんどありませんでした。しかし海外の本格的な接種開始から半年が経過して、徐々に安全性に関するデータが集まりつつあります。