変異株9割で新局面か 国産ワクチン開発前進 早期承認と年内供給は 【後編】
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https://www.fnn.jp/articles/-/184238
日本が共催「ワクチンサミット」 6月2日開催へ
国産ワクチン開発前進 早期承認と年内供給は 【後編】
プライムニュース 「変異株9割で新局面か 国産ワクチン開発前進 早期承認と年内供給は」
2021年5月18日 BSフジ
【キャスター】新美有加、反町理 【ゲスト】武見敬三(自由民主党新型コロナ対策本部本部長代理 参議院議員)、岡部信彦(川崎市健康安全研究所所長 内閣官房参与)、森下竜一(大阪大学大学院臨床遺伝子治療学寄付講座教授)
政府は14日、北海道・広島・岡山を緊急事態宣言の適用対象に加えることを決定した。3道県については、当初、蔓延防止措置とする方針だったが、政府の分科会での意見を受けて、急きょ切り替わった形だ。外形的には、政府の意思決定が揺れているようにも見えるが、その背景には何があるのだろうか。
国立感染症研究所の推計によると、全国で9割以上が変異株に置き換わっている。重症度が従来型と比較して高いことを想定して、感染対策や治療を行う必要が生じており、日本のコロナ対策は、新たな局面を迎えているともいえよう。
また、変異株による“第4波”を迎え、今後、起こりうる“第5波”以降への備えも重要となっている。とりわけ、国産ワクチンの実用化は喫緊の課題だ。加速するためには、研究開発への支援に加え、承認などの仕組みも含めた、包括的な戦略の設計が不可欠だ。
日本が共催「ワクチンサミット」 6月2日開催へ
●全国で変異株9割超に “新局面”どう対応すべきか
12日、国立感染症研究所は厚生労働省「アドバイザリーボード」に対し、「英国株などの『N501Y』変異株に全国で9割以上置き換わった」と報告。
緊急事態宣言に伴う主な対策は「大型商業施設への時短要請」「大規模イベントの収容人数制限」「酒類提供の飲食店への休業要請」。
森下竜一、「今回の感染が緊急事態宣言で収まりが遅いのは変異株が中心で感染力が強い。重症化率が早く起きている。ベッドが埋まるのが予定よりかなり早い上に伸びている。緊急事態宣言を早期に解除するのは難しい。感染が多い都市部を中心にワクチン接種が進んでくれば、今回で緊急事態宣言を最後にするということも可能だと思う」
武見敬三、「内閣官房の中で数量分析の専門家がやっているシミュレーションの話を聞いても、今回はできるだけ抑えて安定した期間をしっかり確保した方が長期的に見ると経済に関わるダメージも少なく済むというシナリオを示している」
岡部信彦、「英国で流行したインド株は早そうだが、インドであればさらにいろんな条件があるので早い。人口、医療の状況、普段の医療に違いがある。変異は常に起きているので、英国、フィリピン、南アフリカなど出てくるのが早い。そのスピードに追いついていけるかどうか。一般の人にとってはインド株であろうが従来株であろうが、普通の生活の中での対策は同じ」
●全国で変異株9割超に “新局面”ワクチン有効性は
変異株への置き換わりが進む中、国内で接種を進めているファイザー社製のワクチンが変異株への効果に対して懸念が持たれていた。
今月12日、横浜市立大学の研究チームが調査結果を発表。
「中和抗体」、「中和活性」について。
ワクチンを2回接種した医療従事者105人を対象に、ワクチン接種によって作られた感染を防ぐ働きをする「中和抗体」ができる割合を調べた結果。
英国株が94%、南アフリカ株が90%、ブラジル株が94%、インド株が97%。
森下竜一、「変異株でも中和抗体ができる割合はあまり変わらない。問題は中和活性。英国型、ブラジル型に関してはあまり変わらないが、南アフリカ型は中和活性がファイザー社のもので半分くらい落ちるという報告が出ている。半分出たとしても効果がないわけではない。中和抗体の量が倍あれば半分におちても効くので現状ではなんとか効くのではないかと言われている。アストラゼネカ社のようにもともと若干弱いものだとアフリカ型では効果が落ちてしまう。しかし基本的には今のワクチンは安心して使ってもよい」
●国産ワクチン実用化の課題 「大規模」臨床試験は…
新型コロナウイルスに対する国産ワクチンの実用化に向け、承認前の最後の大規模治験(第3相試験)が大きな壁になっている。
世界中でワクチン接種が進み、未接種の参加者が集めにくくなっているからだ。
森下竜一、「今日本のワクチンは第2相と第3相の間だ。第3相の治験を国内でやるのは難しい。実際、全員に打ち終わっているが、それでもファイザー社のワクチンを打つ順番が回ってきたので治験をやめたいという方が出てくる。実際に試験を行うことが可能になるので、実現可能性も高まるし、国産ワクチンの承認のチャンスも増えてくるだろう」
武見敬三、「国際標準を作るのは難しい。中和抗体の量が増えれば確実に免疫力が強化されて抑え込みができると素人は思いがち。ところが実際には複雑な条件が揃っている」
岡部信彦、「ワクチンはそれぞれのメーカーで特徴的なものができる。百花繚乱のように出てきているワクチンだが、全部がトップクラスにならないかもしれないが、スタンダードを決めておかないと皆がバラバラなもので粗悪なものが出てくるとやったというだけになるので共通の考え方は必要」
●国産ワクチン実用化の課題 緊急時の「承認」は…
新型コロナウイルスへの感染状況が悪化し、ワクチン接種も大きく出遅れる中、接種を証明する「ワクチンパスポート」の導入に向けた検討が始まった。
海外ではさまざまな形の取り組みが始まっていて、課題も見えてきた。
武見敬三、「国内のワクチンの承認手続きを整理しようとすると、新しい国際社会で作ろうとしている共通の基準に基づかなければ、国際的にも承認されないために国際貢献には使えないし、自国内でのみ通用するワクチンで終わってしまう。国際的にも通用するワクチンとして承認できるような手続きがあらゆる国で必要。途上国は遺伝子操作みたいな高度な技術を必要とするようなワクチンの製造、開発はなかなかできない。大量生産の能力もまだない。改めてそういう分野に関わる技術移転を即して、途上国の中でもワクチンが大量生産できる体制を支援して作らせる。国際協力のあり方を考え議論する場が6月2日に我が国がホスト国になってワクチンサミットが開かれる」
●「国際共同治験」の行方
国際共同治験の推進について。
森下竜一、「いち企業でできるとは思いづらい。国による買い取りをしてもらわないと製造施設も作れない」
武見敬三、「国が支援しないとできない。1000億円の資金は確保しないと実行できない」
森下竜一、「東南アジアの国でやったとしても、3万人であれば300億円から400億円はかかる。ワクチンを供給するというのは義務としてついてくる」
武見敬三、「海外でこういった治験をやる製薬企業の大手が世界に4社くらいある。委託をして支援をしてもらうことも考えても良い」
森下竜一、「外務省も入ってもらわないと負担が大きい」
武見敬三、「政府で助成をしたり、ODAを使ってワクチンを買い上げ、備蓄して置いておくなどいろんなことを考えている」
新型コロナワクチンの国際共同治験について。
2007年に厚生労働省は「ワクチン産業ビジョン」を策定し、業界に構造転換を求めた。
ウイルスがヒト細胞に感染することなどは確認されなかったが、ワクチンの接種によりウイルスに感染するリスクが懸念された。この情報を得て日本の審査当局が慎重になったことが、審査が進まなくなった原因とみられている。
岡部信彦、「日本はワクチン後進国だという話もある。中国でも今ワクチンを作ったりしている中心の人たちの多くは日本で勉強していた人たち。基本的なのは1つの国だけが健康でいてもだめ。協調性を持ってやっていくのが良い」
武見敬三、「研究開発能力を相当世界のトップレベルに引き上げ、日本のベンチャーが変異株に対応したワクチンを開発する形を整える必要性がある」
●研究開発費の支援は?
日本政府は去年国債100兆円を発行した。
ワクチン製造のための予算のパッケージはどのくらい必要なのか。
武見敬三、「まだ正確に見積もられているわけではないが、相当な額になる。これから定期的に感染症が発生する可能性が高い。投資には節約する考え方ではなく、将来を見据えた投資額を確保することが必要」
森下竜一、「日本はワクチン外交に乗り出すということだと思う」
武見敬三、「感染症に平時から準備をしておかないとならない。それぞれの国にとって安全保障上の危機。普段からお金をかけて準備をしないといけない」
●ワクチン接種”目標”達成へ 個別X集団X大規模…運用は
菅首相が掲げる高齢者へのワクチン接種目標
・1日100万回 ・7月中完了
接種方法
個別接種 集団接種 大規模接種
国が東京と大阪で予定する新型コロナウイルスワクチン接種の予約が17日に始まった。
インターネット限定で、東京会場分は午前11時、大阪会場分は午後1時からスタート。
まずは対象を東京23区と大阪市に住む65歳以上の高齢者に限り、徐々に拡大する。運営は自衛隊が担う。
森下竜一、「大規模接種を24時間やるなどすれば増える。大学病院も入ってくれば状況は動く。緊急事態宣言が出ているところで先行的にやれば医療状況のひっ迫がやわらぐ」
反町理、「モデルナとファイザーをチャンポンに打ったらどうなるのか」
森下竜一、「実際には問題がない。でもあまりいいかげんなのは良くない」
【提言】 「コロナ対策 直近の課題」
岡部信彦 「ワクチンは食糧と同じ。好き嫌いはあっても多くの人にとって必要なもの」
多くの人にワクチンを使ってもらいたい。
森下竜一 「一日も早い国産ワクチン。変異株に対する備えを!」
一日も早く国産ワクチンを。変異株に対してしっかり対応してもらいたい。
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