じじぃの「新型コロナウイルス・新規の感染者・なぜ急減したのか?報道1930」

【急激なピークアウト 変異の末「自壊」か?】報道1930 まとめ21/9/21放送

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=TmGfDgds88M

報道1930 新規の感染者 なぜ急減したのか

サイトカイン IL-6 (大阪大学より)

クラリベイトがノーベル賞有力候補16名を発表、日本からは3名が受賞

2021/09/22 TECH+
選出された3名の日本人のうち、2名が医学・生理学部門での受賞となり、「インターロイキン-6(IL-6)の発見とその生理的・病理的作用機序の解明により、医薬品の開発に貢献した功績」として大阪大学 免疫学フロンティア研究センターの岸本忠三 教授と量子科学技術研究開発機構の平野俊夫 理事長(大阪大学 名誉教授)が表彰された。
また、化学部門から「金属触媒を用いたリビングラジカル重合の発見と開発」の功績で、中部大学 先端研究センターの澤本光男 教授(京都大学 名誉教授)が受賞者として選出された。
https://news.mynavi.jp/article/20210922-1979486/

「エラー・カタストロフの限界」を超えるコロナウィルス変異への対応

東京大学先端科学技術研究センター がん・代謝プロジェクトリーダー 児玉龍彦

1) 当初は変異が少ないと考えられ、ワクチン、抗体医薬が期待された

新型コロナウィルスは当初、一本鎖のRNAウィルスとしては遺伝子の変異のスピードが遅く、これまで知られるインフルエンザやAIDSの原因となるHIVよりも少ない、毎月2-3カ所くらい、1年で20カ所をやや上まわると考えられた。そのため、ワクチンや抗体医薬品の効果が期待された。
一本鎖のRNAウィルスは複製してコピーを作るときにエラーが多いが、コロナウィルスは、nsp14というタンパク質があり、これが複製のチェックをするエキソヌクレアーゼ活性を持つ。そのため複製ミスはチェックされ変異は少なくなる。コロナウィルスは遺伝子のサイズが約3万塩基とインフルエンザやHIVより3倍大きいので、nsp14が欠損すると変異率は15倍に上がり、そのウィルスは増殖が困難になり自壊する考えられてきた。

ノーベル賞受賞者のEigenが1971年に予言した進化生物学の基本の「エラー・カタストロフ(ミスによる破局)」の限界として知られる。

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3) 一人の人体内で急速に変異する

多くの人が感染した中でこのように多くの変異が急速に固定化されて広がったことは考えにくい。そこに一人の免疫不全の人の中で急速に変異が起こること、特に治療薬に抵抗性の変異が起こることがCell誌にアメリカのNIHから報告された。
この論文では、慢性骨髄性白血病で制がん剤を投与中の患者さんで起こった変異の集積を報告している。この患者さんではコロナウィルスは症状なく増殖し続け、ポリメレース阻害剤のレムデシビルも効果なかった。それに対して回復期患者血漿が投与され、2回目の投与で肺などのウィルス量は減少した。だが、鼻咽頭の粘膜には治療をエスケープする欠失変異を持つウィルスが残っていた。この論文の著者らは、変異の加速化よりはむしろ免疫不全でコロナの症状がないため、気づかれないウィルス増殖への警戒を呼びかけている。
https://www.ric.u-tokyo.ac.jp/topics/2020/ig-20210824.pdf

報道1930

2021年9月21日 BS-TBS
【キャスター】松原耕二 【コメンテーター】堤伸輔 【ゲスト】武見敬三(元厚生労働副大臣 自民党参院議員)、児玉龍彦東京大学先端科学技術研究センター名誉教授)、松本哲哉(国際医療福祉大主任教授)

なぜ急減? 新規感染者~コロナ 「自壊」が要因か

東大先端研名誉教授 児玉龍彦が最新分析。感染急減のインドも…なぜ“自壊”は起きるのか? 第6波の前に…“徹底検査”で「幹ウイルス」を撃て。
●感染者急減 ウイルスが“自壊”したのか
9月21日、東京都で新たに253人が感染。300人を下回るのは6月21日以来92日ぶり。
8月13日には1日で5773人の感染が確認されていた。1ヵ月ほどで約20分の1に減少。
児玉龍彦、「感染の上昇期は、オリンピックなどもあって一般に人流などの1つの警戒心が薄らいでいた。そのところで突然増えていったら人が死ぬ。特に入院できないことが猛烈なショック。それから妊婦が感染し新生児が亡くなる。そういうことが行動変容を起こす1つのきっかけになっている。そういうことが一旦起こりだして再生産の数というのが減り出すと、ものすごい勢いで上がってものすごい勢いで落ちてくる」
●インドでも感染者急減 “自壊”したのか
インドの感染者数の推移を紹介。
インドでなぜ急激に減少したのかについて、生物学者アミット・ダットによると、地域的な“手段免疫”獲得の可能性、ウイルスが自壊の可能性。
ただし、今後ウイルスが適応し生存力高める可能性。
波を描く変異ウイルスについて解説。
児玉龍彦、「がんの研究をやっていても、がんの幹細胞という言い方があって、わーっと増えてくるがんは比較的簡単に治療できるが、転移とか浸潤していって増えていくやつはなかなかやっつけられない」
●免疫不全患者の体内で“異例の変異”
米国の免疫不全患者の45歳男性が新型コロナウイルスの感染したときのケース。
免疫抑制剤を打っている患者でレムデシビルや抗体カクテルなどを投与。
その経過を見ると、感染の初期と比べて、遺伝子に多くの変異が起きている。
アルファ株やデルタ株、ベータ株の特徴である変異も発生。
児玉龍彦、「人間の酵素がウイルスのRNAをどんどん変異させていってしまう」
免疫不全の患者は、ワクチン接種後の抗体産生やワクチン有効性も低い傾向がある。

松本哲哉、「変異が起こりやすいのは、免疫不全の人の体の中で起こりやすいということが言われている。なぜかというと、ウイルスを排除できないのでかなり長い間体の中にウイルスを持ち続ける。ウイルスは体の中でずっと増殖を繰り返していくので、ずっとコピーを作り続けていけば当然コピーエラーは起こっていく。免疫不全の方に対してどのように対応してするかということは非常に大事」

●“第6波”は来るのか どう備えるべきか
東京の新規感染者数推移を紹介。
いま何をすべきかについて。
武見敬三、「減ってきたときにこうした全ゲノム解析というのを充実させて、それによって変異の状況を的確に把握することは、これからまさにやらなきゃいけない。同時に医療のひっ迫を回避するということをしっかり準備しておかなければいけない」
https://www.bs-tbs.co.jp/houdou1930/