癌ウイルス療法最前線
『夕刊フジ』 2019年11月11日発行
【がん「第5の治療法」を探る】「毒をもって毒を制す」ウイルス療法
がん細胞だけに対する攻撃力が増したウイルスでがん細胞を破壊 より
「次の治療方法はもうありません」。がんの臨床現場でこのような“最終宣告”が毎日のように行われている。最近も、ある専門病院に紹介状を持っていったステージ4のがん患者が治療してもらえず、門前払いにあった話を聞いた。がんの治療は厳しい面があるが、希望も見える。“第5の治療方法”ともいうべき、がんの革新的な治療方法が承認を目指して先陣争いを繰り広げているからだ。
「実用化が近い」と目される第5の治療方法の筆頭候補はウイルス療法だ。ウイルスは種類によって、インフルエンザから重篤な伝染病までさまざまな感染症を引き起こす。発想を逆転させ、このウイルスを使ってがんを攻撃する方法を開発しているのが、東京大医科学研究所の藤堂具紀(ともき)教授らのグループだ。
「がん細胞にウイルスを感染させ、ウイルスを増やす。がん細胞だけに対する攻撃力が増したウイルスでがん細胞を破壊する手法」を藤堂教授は話す。
まさに毒をもって毒を制する方法だ。対象のがんは悪性脳腫瘍の中でも悪性度の高い膠芽腫(こうがしゅ)だ。ウイルスの名はヘルペスウイルス「G47Δ(デルタ)」と呼ばれる。
このウイルスは藤堂教授が米ハーバード大助教授時代に開発したもので、ヘルペスウイルスを遺伝子改変することによってがん細胞だけを狙って攻撃する特異的な性質を持つ。
藤堂教授らは、このウイルスを用いて治療効果の検討を目的とした医師主導の第Ⅱ相臨床試験(治験)を実施した。中間解析の結果、治療開始から1年経過した患者13人について、主要評価項目である治療開始後の1年生存割合が92.3%となり、他の複数の治験結果から算出された現行の標準治療の1年生存割合(15%)と比べ、高い有効性を示した。
「中間解析でこのような良好な成績を残すことができた。年内にもPMDA(医薬品医療機器総合機構)への承認申請を目指す」(藤堂教授)。
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どうでもいい、じじぃの日記。
ウィルスというと、インフルエンザやエイズなど人に害を与えるものと思われてきた。
「毒をもって毒を制す」ウイルス療法は、がん細胞に感染させたウイルスが増えることによって直接がん細胞を破壊する手法で革新的ながん治療法として期待されている。
現在、厚生労働省の先駆け審査指定制度および悪性神経膠腫を対象とした希少疾病用再生医療等製品の指定を受けているとのこと。
2018年、免疫の働きを抑えるブレーキ役となる物質を発見したことで京都大学特別教授の本庶佑さんがノーベル医学・生理学賞を受賞した。
第5の治療方法として開発されたウイルス療法は、「がん治療ウイルス薬」として来年中にも保険適用される可能性があるのだそうです。