じじぃの「科学・地球_53_SDGsの世界ハンドブック・森林保護とREDD+」

Climate 101: Deforestation | National Geographic

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=Ic-J6hcSKa8

Deforestation and Forest Loss

2015 Our World in Data
Before we look at trends in deforestation across the world specifically, it’s useful to understand the net change in forest cover. The net change in forest cover measures any gains in forest cover - either through natural forest expansion or afforestation through tree-planting - minus deforestation.
This map shows the net change in forest cover across the world. Countries with a positive change (shown in green) are regrowing forest faster than they’re losing it. Countries with a negative change (shown in red) are losing more than they’re able to restore.
https://ourworldindata.org/deforestation

『地図とデータで見るSDGsの世界ハンドブック』

イヴェット・ヴェレ、ポール・アルヌー/著、蔵持不三也/訳 原書房 2020年発行

86 森林保護とREDD+ より

1992年のリオデジャネイロ会議以来、森林は「気候変動に関する国際連合枠組条約(UNFCCC)」の締約国会議における交渉議題に組みこまれている。[開発途上国における]森林減少・劣化からの温室効果ガス排出の削減施策(REDD)は、森林の保全や持続可能な森林経営、森林の炭素蓄積(カーボン・ストック)の強化などによる排出削減に関する取り組み(REDD+)へと進化している。

森林による炭素の隔離

森林による炭素の隔離は、大気中のCO2を制御するうえで重要なファクターである。周知のように、樹木は植物性物質をつくるために用いるために大量のCO2を吸収する、一種の「炭素の井戸」ともいえる。この植物性物質は地中に戻り(落ち葉、枯れ木など)、そこにCO2がストックされる。こうして熱帯林は地上の炭素の40%近くをストックしている(植物性バイオマスと土壌をふくむ)。

だが、南半球の国々では、木材や耕地の需要が増加して森林減少が広まっており、これが温室効果ガスの削減に重大な影響をおよばしている。1990年、世界の森林面積は41億2800万ha(陸地全体の31.6%)だったが、2015年には39億9900万ha(同30.6%)に減ったという(FAO、2015年)。この森林減少はとくにブラジルやインドネシア中央アフリカでいちじるしい。

REDDとREDD+

森林の破壊や衰退に起因する温室効果ガスを削減しようと施策(REDD)は、気候変動にかんする国際的な協議の中心議題のひとつとなっている。
REDD+の戦略は開発途上国にその森林資源を保全し、森林経営を向上させることを目的とするが、それはまた温室効果ガスを削減して気候変動を抑制することにも寄与する。REDD+はREDDと同様の目標をもつが、+という記号は、持続可能な森林経営や生物多様性の維持といった重要なプロジェクトを考慮することを示しており、森林炭素パートナーシップ基金(FCPF)や世界銀行の森林投資プロジェクト(FIP)、国連REDD(森林減少・劣化に起因する温室効果ガスの排出の削減)プログラムの支援を受けて、各国が接続可能な森林経営や炭素の蓄積を保全することぉうたっている。2008年に正式に発足した[COP14(ポーランドポズナニ開催)]このREDD+プロジェクトは、現在アフリカや南米およびアジアの49ヵ国で実施されている。

実施の困難さ

しかし、REDD+メカニズムの実施は容易ではない。広大な森林空間の変移はどうすれば制御し、確認できるのか。当該国にとって、森林を保護することと、森林伐採後にアブラヤシ[パーム油の主要な供給源の栽培源]の栽培などの活動を展開することは、はたしてどちらが儲かるのか。脆弱な国々に普遍的な関心を課すにはきわめてむずかしいものがある。
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REDD+システムによって当該国に支払われる所定の補償は、主たる努力を供与する人々に届くのだろうか。そこにはもっとも影響力のある行為者たちが、この補償を不当に手に入れるという大きなリスクすらある。
ありていにいえば、REDD+自体の組織と機能は真に持続可能な投資を通じて、途上国への積極的な支援をさらに拡大しなければならないが、おそらくREDD+は脆弱かつかなり腐敗した国家の政治状況のなかでは、所期の目標を実現することはできないだろう。したがって、そこでは重要な社会的再配分をもたらす政治改革が必要となるのだ。