じじぃの「アルコールは細胞膜に入り込む・飲み過ぎは危険らしい!迷走生活の方法」

書籍版 NHKスペシャル 人体~神秘の巨大ネットワーク~

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=KORmPMMPb7g

全身の血管網 (NHK HPより)

NHKスペシャル「人体」 命を支える“神秘の巨大ネットワーク”

2017年9月30日
【MC】タモリ山中伸弥京都大学iPS細胞研究所所長)
●“メッセージ物質”が 健康常識や医療を変える!
このインクレチンのように何らかの“メッセージ”を伝える物質が、人体のあらゆる臓器や細胞から放出されていることが、いま次々と発見されています。
医学の世界では、そうした物質を「ホルモン」や「サイトカイン」、「マイクロRNA」などさまざまな名前で呼んでいますが、今回の「人体」シリーズでは、よりわかりやすく“メッセージ物質”と呼ぶことにしました。その数は、数百種類にものぼると言われています。これまで、脳などごく限られた臓器がそうした“メッセージ物質”を出していることは知られていましたが、実は脳からの指令を待たずして、全身の臓器たちは直接メッセージをやりとりし、情報交換しながら、私たちの命や健康を支えていたのです。
https://www.nhk.or.jp/kenko/special/jintai/sp_2.html

『迷走生活の方法』

福岡伸一/著 文藝春秋 2021年発行

お酒の失敗は誰のせい より

福岡ハカセ、お酒で失敗したことありますか? はい。あります。ハカセはわりといける口だと自分では思っているのですが、やはり飲み過ぎはいけませんね。ちょっといい気分になっていらないことまで口走ってしまうことがよくあります。えっ、ハカセはいったいどんなことを言ってしまうんですか。いや、そんな悪口とか暴言とかじゃないんです。
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ところで、アルコールはどうしてかくも人間を油断させてしまうのだろうか。アルコールとは化学的には、炭化水素の水素原子(-H)を水酸基(-OH)で置き換えた物質、と定義される。すると何が起きるか。物質をどっちつかずの性格にする、ということが起きる。炭水化物とは石油みたいな油系。一方、水酸基は水に近い。この両者の性質を併せ持つアルコールは油にも水にも親和性がある。水と油はほんらい相容れないが、アルコールはそのどちらにも入り込んでしまう性質があるのだ。まあコウモリみたいなもの。
細胞は細胞膜というシートで被われることによって、外界と細胞膜とが隔離されている。この細胞膜は油分でできている。だから外と内の水をわけることができる。神経細胞の電気伝達も細胞膜の内外にイオンやシグナル物質が出入りすることによって制御されている。アルコールを飲むとまず水(血液)に溶けて全身をめぐり脳にも到達する。
そして今度は油に対する親和性を発揮して、アルコールは神経細胞の細胞膜にも入り込む。すると、がっちりシートを張っていた細胞膜がすこしだけ緩んでしまうことになる。細胞膜が緩むと細胞機能が低下し、一種の麻痺状態が起きる。これが「酔い」ということだ。アルコールはまず脳の高次機能を司る大脳皮質を酔わせる。デリケートな部分ゆえにそれだけ攪乱にも敏感ということ。
大脳皮質は、理性、判断、抑止などを担っているから、ここが麻痺すると、人間のより深い本性が姿をあらわす。気が大きくなる、感情が揺すぶられる、よい気分になる、というのはそのためだ。しかし、さらにどんどん飲むとアルコールは感情や欲求を司っていた大脳辺縁系をも麻痺させてしまう。ついには、呼吸や心臓のうごきなどを司っている脳の最深部である脳幹をも麻痺させてしまうと、生命の危機に陥ってしまう。これが急性アルコール中毒だ。
われわれおじさんたちは、たくさんの失敗によって自分がどれくらいまで飲めるかだいたい知っているが、それを知らない若い人はかえって危ない。グラスをあげた瞬間、無数のコウモリたちが飛び立っているのだと知ってほしい。

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どうでもいい、じじぃの日記。
2018年、NHKスペシャル 「人体 神秘の巨大ネットワーク 脳 ひらめきと記憶の正体」を観た。
インスリンは、すい臓から出る体内ホルモンの1つで、血糖値を下げる働きをする。
インスリンが血管の壁にある「小さな突起」にくっつくと、血管の細胞膜が小さなカプセルを作ってインスリンを包み込み、そのカプセルごと血管の壁の反対側、つまり脳の中まで運んでくれる、という仕組みが明らかになってきた。
インスリンは、『血液脳関門』を突破して、脳の中へと到達する仕組みがあるのだそうだ。
まあ、アルコールもインスリンのような作用があるのかもしれない。
「われわれおじさんたちは、たくさんの失敗によって自分がどれくらいまで飲めるかだいたい知っているが、それを知らない若い人はかえって危ない。グラスをあげた瞬間、無数のコウモリたちが飛び立っているのだと知ってほしい」
だそうです。