じじぃの「科学・地球_188_宇宙の終わりとは・ビッグバンから現在まで」

Dark Matter May Have Come Before the Big Bang?! | SciShow News

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=mJMWbzDYoTg

Dark Matter May Be Older Than the Big Bang


Did dark matter arise before the Big Bang?

August 08, 2019 NEW ATLAS
Few things are as mysterious as dark matter, the strange substance that appears to outnumber ordinary matter by a ratio of five to one.
Now, a physicist from Johns Hopkins University has outlined a new theory that helps to explain the stuff but at the same time makes it seem even more bizarre. According to the study, dark matter may have originated before the Big Bang.
https://newatlas.com/dark-matter-appear-before-big-bang/60960/

宇宙の終わりに何が起こるのか

ケイティ・マック (著)
この宇宙は必ず終わる。―いつ、どうやって!?「万物が究極的に破壊される」瞬間を描く5つのシナリオ。19ヵ国で翻訳!話題の最新宇宙論に待望の邦訳登場!
第1章 宇宙について大まかに
第2章 ビッグバンから現在まで
第3章 ビッグクランチ―終末シナリオその1 急激な収縮を起こし、つぶれて終わる
第4章 熱的死―終末シナリオその2 膨張の末に、あらゆる活動が停止する
第5章 ビッグリップ―終末シナリオその3 ファントムエネルギーによって急膨張し、ズタズタに引き裂かれる
第6章 真空崩壊―終末シナリオその4 「真空の泡」に包まれて完全消滅する突然死
第7章 ビッグバウンス―終末シナリオその5 「特異点」で跳ね返り、収縮と膨張を何度も繰り返す
第8 未来の未来
第9章 エピローグ

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『宇宙の終わりに何が起こるのか』

ケイティ・マック/著、吉田三知世/訳 講談社 2021年発行

第2章 ビッグバンから現在まで より

「ビッグバン」を見る

ビッグバンは、一種の爆発のようなものとして描かれることが多い──たった1つの点から突然、光と物質が火の玉状に膨張しはじめ、怒涛のように宇宙全体へと広がったイメージだ。
だが、じつはそうではない。ビッグバンは宇宙の中で起こった爆発ではなく、宇宙の爆発だ。また、「たった1つの点」で起こったのではなく、すべての点で起こった。現在の宇宙の中で存在するすべての点──遠方の銀河の端に存在する1つの点、逆方向の同じくらい遠方の銀河間空間の一部分、そして、あなたが生まれた部屋──これらのすべての点は、その1つひとつが、時間が始まった瞬間には、触れ合うほど接近していたが、まさにこの最初の瞬間に、急速に互いに遠ざかりはじめた。
ビッグバンの理屈はいたって単純だ。
宇宙はたしかに膨張している──銀河と銀河のあいだの距離が徐々に大きくなっているのが観察される──ということは、銀河間の距離は過去においては短かったわけである。
思考実験として、今日起こっている膨張を巻き戻して、百数十億年の時間を遡ってみると、銀河間の距離がゼロだったはずの瞬間にいたる。現在の私たちが観測できるすべてのものを含んだ観測可能な宇宙は、はるかに小さく高密度で、高温の空間に閉じ込められていたはずだ。しかし、観測可能な宇宙は、広大な宇宙のうち、私たちがいま見ることのできるほんの一部でしかない。宇宙がそれよりもはるかに広がっていることはわかっている。実際、現在のわたしたちの知識に基づいていえば、宇宙の大きさは無限である可能性があり、おそらくそうであるらしいのだ。だとすると、宇宙は最初から無限大だったのだ。ただ、もっと高密度だったのである。
これを頭の中で描くのは容易ではない。無限大にはそういう難しさがある。無限大の宇宙があるとはどういう意味だろう? 無限大の宇宙が膨張しているとはどういう意味だろう? 無限大の宇宙が、いかにしていっそう無限大になるというのか?
残念だが、これに関しては私がみなさんの理解を助けることはできない。

元素の誕生

ビッグバン理論の最大の証拠の1つが、宇宙の観測結果と、ビッグバンから期待される元素の存在量──ビッグバンの原初の火の玉の温度と密度の推測値に基づいて計算された値──とが、非常によく一致していることである。完全に一致しているわけではない──リチウムの存在量をめぐって混乱が長引いているのは確かだ。リチウム量の問題は、初期宇宙では他にも何か奇妙なことが起こっていたと教えてくれているのかもしれないし、そうではないかもしれない。だが、水素、重水素、ヘリウムに関しては、宇宙にどれだけ存在しているかという観測値を、宇宙全体を原初の核融合炉の中に押し込んだなら何が起こるはずかを計算した値と比較すると、完璧に美しく合致しているのである。
余談だが、宇宙に存在する水素のほぼすべてが最初の2~3分のあいだに生み出されたという事実は、あなたや私をつくっているものの大部分が、宇宙が存在してきたのとほぼ同じ長さの期間、なんらかの形態で宇宙の中に存在してきたということを意味する。
「私たちは星屑でできている」(あるいは、カール・セーガンの言葉なら星屑の代わりに「星の材料」)という言葉をお聞きになったことがあるのではないだろうか。この言葉は、質量で量るなら完全に正しい。あなたの体内にある重い元素──酸素、炭素、窒素、カルシウムなど──は、のちに恒星の中心においてか、恒星の爆発の際に生じた。
しかし水素は、最も軽い元素である一方で、個数で比べるなら、あなたの体内に最も多く存在する元素である。だから、確かにあなたは、自分の中に大昔の世代の恒星たちの星屑を含んでいる。しかし、あなたはまた、非常に大きな割合で、実際のビッグバンの副産物でできているのである。そして、カール・セーガンが述べた、より包括的な言葉はいまなお正しく、しかも、より深い意味で正しい。彼が残したその言葉によれば、「私たちは、宇宙が自らを知るための手段なのだ」。

宇宙の夜明け

ガスに満ちた暗い宇宙から、銀河や恒星の光できらきらと輝く宇宙への移行をもたらしたおもな要因は、今日では「ダークマター」とよばれている。きわめて奇妙な物質だ。あまりに奇妙なので、最も強力な衝突型粒子加速器の中でも再現することのはまだ成功していない。放射、水素、ガス、そしてあちこちに点在する他の原初の元素からなる混合物の中に、この奇妙な「ダークマター」という物質が存在しているのだ。
「ダーク」という名前ではあるものの、実際に暗いわけではない。むしろ、「見えない」のである。ダークマターはどうやら、光とはいかなるかたちにおいても相互作用しようとしないようなのだ。放射することも、吸収することも、反射することもない。私たちにわかるかぎりでは、ダークマターの塊に向かって進む光は、その塊をただ通過してしまうだけだ。
だが、ダークマターがほんとうにすごいのは、それがほとんど重力相互作用しかしないことだ。ふつうの物質が自らの重力に引かれて塊として凝集しようとするとき、その物質は圧力をもつので、引かれることに抵抗して押し返す。しかしダークマターは、この力を感じることなく凝集することができる。光と相互作用しないことの副次的効果は、何物とはほとんど相互作用しなくなることだ。なぜなら、たいていの場合、物質の粒子どうしの衝突は静電反発力に由来し、それが起こるには、光との相互作用が必要になるからである(光子は光の粒子だが、同時に、電磁力を媒介する粒子でもあるため、何かが見えないのなら、その何かは電磁的な引力も斥力(せきりょく)も経験しない)。電磁力も圧力も、ダークマターにははたらかない。
インフレーションが終わったときのゆらぎによってあちこちに生じた、高密度の物質の小さな塊は、放射、ダークマター、そして通常の物質の混合物を含んでいた。通常の物質には圧力があり、それが放射と混合状態にあったので、最初に重力によって凝集できたのは、圧力によって即座に反発して広がってしまうことがないダークマターだけだった。
やがて、宇宙がさらに膨張して、冷却していく物質から放射が分離して遠ざかると、ガスがこの重力の井戸の中に流入できるようになり、凝集して恒星や銀河を形成しはじめた。今日なお、最大の尺度もおける物質の構造──銀河や銀河団が織りなす宇宙のウェブ──は、ダークマターの塊や筋の骨格によって支えられている。宇宙の夜明けにおいて、これらの見えない塊や筋が最初に輝きはじめた──恒星や銀河が光を放ちはじめて輝き、ウェブに沿って煌(きら)めいた。さながら、暗闇のなかの妖精の明かりのように。