【ノーベル物理学賞】物理学賞・真鍋氏「好奇心が研究の原動力」
真鍋淑郎さん 温暖化予測モデルを開発 2021年10月6日
真鍋淑郎さんら3人にノーベル物理学賞 温暖化予測モデルを開発
2021年10月6日 BBC
今年のノーベル物理学賞は、米プリンストン大学上級研究員の真鍋淑郎さん(90)ら3人に贈られることが5日、発表された。地球の気候変動など、複雑な仕組みを理論づけたことが評価された。
受賞するのは、真鍋さんのほか、クラウス・ハッセルマンさん(89、ドイツ)、ジョルジョ・パリーシさん(73、イタリア)。スウェーデン・ストックホルムの王立科学アカデミーが発表した。
真鍋さんとハッセルマンさんの研究は、地球温暖化の影響を予測するコンピューターモデルの開発へとつながった。
https://www.bbc.com/japanese/58812359
カルダシェフ・スケール
ウィキペディア(Wikipedia) より
カルダシェフ・スケール (The Kardashev scale) とは、1964年に旧ソ連の天文学者ニコライ・カルダシェフが考案した、宇宙文明の発展度を示す3段階のスケールである。
タイプⅠ文明は、惑星文明とも呼ばれ、その惑星で利用可能なすべてのエネルギーを使用および制御できる。
タイプⅡ文明は、恒星文明とも呼ばれ、恒星系の規模でエネルギーを使用および制御できる。
タイプⅢ文明は、銀河文明とも呼ばれ、銀河全体の規模でエネルギーを制御できる。
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人類、宇宙に住む 実現への3つのステップ
ミチオ・カク(著)
地球がいずれ壊滅的なダメージを受けることは避けがたく、人類は生き延びるために宇宙に移住する必要がある。
本書は世界的に高名な物理学者が、1)月や火星への移住、2)太陽系外への進出、3)人体の改造や強化、の3段階で宇宙の進出の方途を示す。NASAやイーロン・マスク、ジェフ・ベゾスらの宇宙開発への挑戦を追いながら人類の未来を見通す、最高にエキサイティングな一冊!
第Ⅰ部 地球を離れる
第1章 打ち上げを前にして
第2章 宇宙旅行の新たな黄金時代
第3章 宇宙で採掘する
第4章 絶対に火星へ!
第5章 火星──エデンの惑星
第6章 巨大ガス惑星、彗星、さらにその先
第Ⅱ部 星々への旅
第7章 宇宙のロボット
第8章 スターシップを作る
第9章 ケプラーと惑星の世界
第Ⅲ部 宇宙の生命
第10章 不死
第11章 トランスヒューマニズムとテクノロジー
第12章 地球外生命探査
第13章 先進文明
第14章 宇宙を出る
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『人類、宇宙に住む 実現への3つのステップ』
ミチオ・カク/著、斉藤隆央/訳 NHK出版 2019年発行
第Ⅲ部 宇宙の生命
第13章 先進文明 より
タイプ0からタイプⅠへの移行
宇宙の文明を分類したからには、これをもとに銀河系の先進文明の数を見積もることができる。たとえば、タイプⅠにドレイクの方程式をあてはめ、そうした文明が銀河系にどれほど多くあるかを推定すると、かなりありふれていそうだ。それなのに、存在する確たる証拠は見当たらない。なぜだろう? いくつか考えられる要因がある。イーロン・マスクはこう考えた。文明は、高度なテクノロジーをものにするほど、みずから滅ぼす力も高め、タイプⅠ文明が直面する最大の脅威はみずから招くものだろう、と。
われわれがタイプ0からタイプⅠへ移行するには、いくつか難題がある。少し例を挙げれば、地球温暖化、生物テロ、核の拡散だ。
まず最も差し迫った問題は、核の拡散である。核兵器は、中東やインド亜大陸や朝鮮半島といった、世界でも有数の不安定な地域にまで広がっている。小さな国も、いつか核兵器を開発する力を手にするかもしれない。
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地球温暖化でバングラデシュなど多くの貧困層の経済が破綻したら何が起こるかを分析した。結論は、最悪の場合、何百万という飢えた難民たちが必死に越境してくるのを阻止すべく、国家が核兵器を使用するかもしれないというものだった。たとえ核戦争が起こらなくても、地球温暖化は人類の存亡にかかわる脅威である。
地球温暖化と生物テロ
およそ1万年前に最後の氷河期が終わって以降、地球は次第に暖かくなっていった。だがここ半世紀、地球の気温上昇は驚くべきペースで加速している。その証拠は多方面で見つかる。
・地上のどの大型氷河も縮小しつづけている。
・北極の氷が過去50年間に平均で50パーセント薄くなった。
・グリーンランドの大部分は世界で2番目に広い氷床で覆われているが、それが解けつつある。
・南極の一区域で、デラウェア州ほどもあるラーセンC棚氷が2017年に割れて分離し、いまやあちこちの氷床や棚氷の安定性が問題視されている。
・ここ数年は、記録に残るなかで人類史上最も暑かった。
・20世紀に地球の平均気温は摂氏1.3度上昇した。
・かつてと比べ、一般に夏が1週間ほど長くなった。
・森林火災、洪水、干ばつ、ハリケーンなど、「100年に一度の災害」が増えている。
こんなおそれもある。この地球温暖化が今後数十年たゆまず加速していったら、世界の国々が不安定化し、大飢饉が起き、沿岸地域からの大移動が生じ、世界経済がおびやかされて、タイプⅠ文明への移行が妨げられるのではないか。
一方、人類の98パーセントを死滅させうる細菌兵器の脅威も存在する。
世界の歴史を通じて、人間を最も多く殺したのは戦争ではなく、疫病だ。残念ながら、天然痘のような死病の病原体を秘密裏にたくわえている国々が存在する可能性もあり、それをバイオテクノロジーで兵器化すると大惨事をもたらすだろう。さらにこんなおそれもある。何者かが生命工学で既存の病原体──エボラウイルス、HIV、鳥インフルエンザウイルスなど──をいじり、致死性を高めたり、すばやく容易に広まるようにしたりして、世界を破滅させる兵器を作ってしまうのではないか。
将来、ほかの惑星へ行ってみたら、滅びた文明の残骸を目にすることになるかもしれない。放射線量の高い大気の惑星、暴走温室効果によって非常に熱くなった惑星、強力な生物兵器を自分たちのあいだで使ったためにだれもいない都市だけ残った惑星などだ。すると、タイプ0からタイプⅠへの移行は保障されたものではなく、実のところ新興の文明に突きつけられる最大の課題となる。
超空間に住む
ご存知のとおり、宇宙のどんな物体も、縦、横、高さという3つの数で記述できる。これに時間を加えると、4つの数で宇宙のどんな事象も記述できる。私がだれかとニューヨーク市で会いたいとき、たとえば42丁目、5番街の10階で正午にお会いしましょうと言うだろう。だが数学者から見て、座標が3つか4つしか必要ないというのは恣意的に映るだろう。3次元や4次元には何も特別なことがないからだ。物理的な宇宙の最も根本的な特徴が、そんな平凡な数で記述されるはずがないではないか。
だから数学者はひも理論に抵抗を感じない。しかし、この高次元を視覚化するために、物理学者はたとえを用いることが多い。子どものころ、私はよくサンフランシスコのジャパニーズ・ティー・ガーデン[1894年の国際博覧会に合わせて造成された日本庭園]を何時間も眺め、浅い池で泳ぐ魚を見ながら、子どもならではの自問をしていた。「魚になったらどんな感じがするのかな?」。どんなに奇妙な世界を魚は見ているのだろう、と私は思った。魚は宇宙にはふたつの次元しかないと考えているはずだ。この狭いスペースで、泳げるのは横方向だけで、上下には動けない。池の外の3つめの次元の話などしようとしたものなら、いかれていると仲間に思われるだろう。そこで私は、だれかが超空間の話をするたびにいつもばかにしている魚が池にいると想像してみた。その魚にとって、触れて感じることのできるものだけが宇宙だからだ。私がその魚をつかみ、「上」の世界へ持ち上げたら、魚は何を目にするだろう? ひれがなくても動いている生き物を目にする。新たな物理法則の発見だ。その生き物は、水がなくても呼吸している。今度は新たな生物学の法則である。それからこの科学者となった魚を池に戻したら、ほかの魚たちに「上」の世界には驚くべき生き物が住んでいると語らずにはいられないだろう。
これと同じで、われわれは魚なのかもしれない。ひも理論の正しさが証明されれば、住み慣れた4次元世界の向こうにまだ見ぬ次元があることになる。だがそんな高次元がどこにあるのか?
ひとつ考えられるのは、もともとの10次元のうち6つは「巻き上げられて」いるため、見れなくなっているという可能性だ。紙を巻き上げて細い筒を作るとしよう。元の紙は2次元だが、巻き上げることで1次元の筒ができる。遠目には1次元の筒にしか見えないが、実際には2次元のままなのだ。
同様に、ひも理論によると、宇宙はもともと10次元だったが、なんらかの理由で6つの次元が巻き上げられた結果、われわれは世界に4つの次元しかないと錯覚させられている。このひも理論の特徴は現実離れしたものに思えるが、いまや実際にそうした高次元を観測しようという試みがなされている。
ところで、高次元がどうやって相対性理論と量子力学を結びつける役目を果たすのだろうか?
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